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2018.08.25 12:00

急成長するeスポーツを脅かす「八百長」、関係者の多くが懸念

OHishiapply / Shutterstock.com

eスポーツ業界は、今年末には10億ドル(約1113億円)近い規模にまで成長すると見込まれている。米プロバスケットボール(NBA)、ゴールデンステイト・ウォリアーズのステフィン・カリー選手やヒューレット・パッカード・エンタープライズ(HPE)のメグ・ホイットマン元最高経営責任(CEO)など、個人的に同業界に投資する人も増えている。

一方、eスポーツ関連ビジネスの情報を提供する「The Esports Observer(イースポーツ・オブザーバー)」と国際法律事務所のフォーリー&ラードナーが先ごろ発表した報告書によると、業界関係者の多くはeスポーツの今後の成功を妨げる最大の脅威として、八百長を不安視しているという。

eスポーツプレーヤー、プロスポーツチームとリーグ、テクノロジーやメディア関連企業の関係者など124人を対象に行った調査の結果、回答者の78%が八百長について、「業界の健全性と成長の維持にとって、深刻な(または中程度の)リスクだと思う」と答えた。

eスポーツプレーヤーが得られる収入がプロスポーツ選手に比べてはるかに少額であること、若いプレーヤーが非常に多く、金銭と引き換えに試合の結果を操作することに応じてしまいやすいと考えられることなど、八百長に対する懸念はさまざまな要因から、伝統的なプロスポーツよりもeスポーツの方が大きくなっている。

八百長はeスポーツ業界の成長の速度だけでなく、ブックメーカーとの関わりにも影響を及ぼす可能性がある。調査結果では、回答したプロのうち71%が、eスポーツを対象とした賭けが八百長につながる危険性があると述べている。

同様の不安は、その他の人たちの間にもある。例えば、米ネバダ州、デラウェア州に続いて米国で3番目に州内でのスポーツベッティング(スポーツ賭博)を合法化したニュージャージー州は、当面eスポーツを賭けの対象とはしないことを決めている。

フォーリー&ラードナーの関係者はこうした状況について、次のように指摘している。

「eスポーツの試合に賭けられる金額と1人のプレーヤーがチームの勝利の可能性に及ぼし得る影響力から考えれば、八百長の問題は明らかに、誰もが認識していながら話したがらない重大な問題だ」

「…不正行為が頻繁に行われている、試合結果が不当だ、といった見方がファンの間に広まれば、eスポーツの人気にとって悪影響となり得る」

一部では実際に、意図的に試合に負けたプレーヤーが処罰されることはないと噂されている(「リーグ・オブ・レジェンド」についてサイト上で、故意に負けたプレーヤーが責任を問われていないとして議論されている)。こうしたことは、eスポーツ試合の品位を落とすことになりかねない。ファンが関心を失うことや、eスポーツ全体の価値を下げることにもなる。

八百長の懸念は、急速に拡大するeスポーツ産業に深刻な問題を提起しているのかもしれない。だが、それは一方で、そうした行為を効果的に抑制できる個人・企業への需要を拡大させることにもなるはずだ。疑わしい行動を特定する監視ツールや不正を検出するサービスには、賞金が与えられるべきだ。

編集=木内涼子

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