中国の自転車シェア企業「ofo」は7月18日、米国の社員の大半を解雇し、海外の市場から撤退を開始した模様だ。関係筋によると約100名の米国社員のうち70%程度がレイオフの対象となるという。
ofoは米国の数都市のサービス拠点を閉鎖するという。今年6月時点で同社は米国の30都市に拠点を構え、シアトルやワシントンD.C.などで事業を運営していた。
「世界の各都市に自転車シェアサービスを拡大していくなかで、ofoは各市場の再評価を行ない、事業を継続させていく」と同社は声明で述べた。
ofoは年内に米国の100都市にサービスを拡大する計画だったが、今回のレイオフにより大きな転換点を迎えたことになる。6月時点でofoは、4万台以上の自転車をアメリカに配置しており、電動バイクやスクーターの導入計画も進めていた。
関係筋によると、電動バイクサービスの立ち上げは延期になったが、担当チームには何も告げられていなかったという。スクーター事業の今後も現時点では不明だ。7月初旬にはofoの米国事業を統括するChris Taylorが、2名の幹部とともに会社を離れていた。
ofoの関係者によると、背景には中国企業が海外よりも国内市場を重視する方向に進み始めたことがあげられるという。報道によるとofoは7月に入り、インドやイスラエル、オーストラリア、ドイツからも撤退したという。
関係筋によるとofoの米国事業は順調に伸びており、中国やシンガポールに次いで有望な市場になりつつあったなかで、今回の決定は非常に衝撃的だという。しかし、同社は米国で潤沢な資金を持つ競合らとの戦いに直面していた。
ウーバーは今春、自転車シェア企業の「Jump」を買収しており、先週には自転車とスクーターのシェア事業を手がける「Lime」への出資をアナウンスしていた。また、スクーターシェアの「Bird」も昨年、4億1500万ドルの資金調達を実施し、企業価値は20億ドル(約2250億円)に達していた。Lyftもこの市場に参入し、今月に入って「Citbike」運営元の「Motivate」を買収した。
ofoは米国で当局の規制の問題にも直面していた。米国の各都市はofoの強みである駐輪場を持たない、ドックレス形式の自転車シェアを規制する方針を打ち出していた。同社の広報担当者によると、今後は当局の規制に沿う形のサービス運用に向けて、事業の見直しを進めていくという。
調査会社「PitchBook」のデータでは、北京本拠のofoは世界に1500万台の自転車を配置し、企業価値は推定30億ドルとされている。