仮想通貨の本当のリスクについて評価し、公表する組織が存在しなかった間、非常に多くの投資家たちはビットコインとイーサリアム、ライトコイン以外はどれもほぼ同じだろうと考えていた。
実際に仮想通貨を取引しているのは誰なのか(そして目的は何なのか)、理解している人がほとんどいないことが、投資家たちを懐疑的にさせる幾つもの理由を生み出してきた。トレーダーの中には、市場を操作している者もいるかもしれない。
シンプルな評価で格付け
こうしたことを背景に、保険会社などの格付けを数十年前から行ってきた米ワイス・レーティングは、仮想通貨の格付けを開始した。シンプルで分かりやすい同社の評価は、「A」が最高、「E-」が最低となっている。
評価の基準についてワイスは、仮想通貨の投資リスクと利益、テクノロジーとファンダメンタルズを考慮している。また、債券の格付け会社とは異なり、同社は発行者や発注主から一切の報酬を受け取っていない。格付けや調査の結果を消費者や投資家、その他のエンドユーザーに販売して得る売り上げが、唯一の収入源だ。
そのワイスは、次の7種類を「最も危険な仮想通貨」と評価している──コメット(Comet)、エクスパンス(Expanse)、マッチプール(Matchpool)、メガコイン(Megacoin)、ノヴァコイン(Novacoin)、クォーク(Quark)、Salu$。
投資における注意点
仮想通貨が投資に値するかどうか判断するにあたって、格付けはどのくらい信頼に足るものなのだろうか。それを明確にすることはできないが、ワイスの創業者で最高経営責任者(CEO)のマーティン・ワイスは、まず次の点に注意することを呼び掛けている。
・全財産を賭けない──高額所得者ではない限り、投資するのは流動資産の5%までにしておくこと。
・急騰している通貨を避ける──確かに魅力的には見えるが、買うには最悪のタイミングだ。値下がりしているときに少しずつ買い増しながら、購入していくべきだ。
・「取引量が最大=最も値上がりしそうな仮想通貨」ではない──ビットコインなど最も人気のある仮想通貨が常に、潜在的な投資価値と最新テクノロジーの双方を併せ持っているわけではない。イオス(EOS)やネオ(NEO)のような新しい仮想通貨への投資も検討すべきだ。
・取引所に仮想通貨を預けてはいけない──ハッキングや事故の被害に遭う危険性が高まる。自分の秘密鍵で管理するウォレットを使うべきだ。
・相続人を指名しておく──遺産相続においてのみ必要なことではない。仮想通貨の保有者に何かあった場合などのために、信頼できる人にログイン認証情報や鍵が分かるようにしておくことが重要だ。
ワイス・レーティングの格付けが、仮想通貨への投資で利益を上げるか損失を出すかを決めるわけではない。仮想通貨がどのように資本化され、取引されるようになるかもう少し明確になるまで、極めて慎重であることが原則だ。