空撮データの機械学習で「住宅保険」を変えるスタートアップ

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米国の住宅保険業界で企業は検査員を現地に派遣し、家の広さの測定や屋根の形状の検査といった手順を経て保険料を決定している。

データ分析スタートアップの「Cape Analytics」は空撮画像データを用い、家の屋根の広さや形状、増改築の履歴を分析する。同社のAPIからデータを得ることにより、保険会社は検査の手間を省くことができる。

同社は4月2日、アメリカ本土の7000万軒以上の住宅を網羅するサービスの提供を開始するとアナウンスした。すでに「XL Catlin」や「Security First Insurance」などの保険会社が同社のサービスを利用中という。

衛星データ解析分野では「Orbital Insight」が有名だが、Cape Analyticsは特定分野にフォーカスすることで差別化を果たしていると、共同創業者でCEOのRyan Kottenstetteは語る。「我々は特に保険会社などの企業に対し、不動産物件に関するインテリジェンスを提供しているという意味でユニークな存在だ」

Kottenstetteによると、データはドローンから得たものや「DigitalGlobe」から入手したものもあるが、大半は航空機で撮られた画像だという。同社はグーグルとも提携し、「Earth」の画像を利用している。これらの情報を機械学習のアルゴリズムで解析し、住宅関連のデータをまとめている。

同社は膨大なデータを処理するため、コンピュータビジョンや機械学習、データサイエンスを専門とするチームを設置。建物の専有面積やプールやソーラーパネルといった詳細なデータを提供可能だ。

そのチームには共同創業者でCTOのSuat Gedikliもいる。コンピュータサイエンスで博士号を取得しており、以前に「Willow Garage」でロボットのコンピュータビジョンのモデルを開発した。データアナリティクス担当の副社長Olivier Collingnonは複数のデーターサイエンスプロジェクトに携わった経験があり、「RMS」で働いていた時には初めての災害危機管理モデルの開発にもかかわった。

Cape AnalyticsのAPIを使えばこれまで検査員が収集していたデータのほとんどを瞬時に取得でき、保険会社が適切な保険料を決定するのに役立つという。

「我々が第一に考えるのは保険に関するデータ解析を効率化することだ」とKottenstetteは語る。「個々の家を検査するのにはコストがかかりすぎるし、住宅は変化していくものだ。我々のサービスは適正な保険料を決定する手助けになる」

編集=上田裕資

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