しかし、中国市場においてiPhone Xは善戦を見せている。iPhone Xは特に中国の都市部のユーザーに人気だという。
「高価格な端末であるにも関わらず、iPhone Xは我々の予測を大きく超える売上を達成した。Xは世界の他のどの国よりも、中国で売れている」とカウンターポイントリサーチのMengmeng Zhangは述べた。
アップルは2月2日の決算発表で、2017年12月30日を末日とするQ1(2018年度第1四半期)の業績を発表した。今年のQ1の世界のiPhoneの売上は7730万台で、前年同期から約100万台の減少となった。
しかし、調査企業「Canalys」のデータによると、iPhone Xの中国での出荷台数は昨年第4四半期に700万台に到達し、世界最大のスマホ市場で最も売れ筋の端末になっていた。また、11月時点で中国におけるiPhone Xの市場シェアは6%に達していた。
リサーチ会社「Kantar Worldpanel ComTech」のDominic Sunneboは、次のように述べる。「iPhone Xの売上は欧州や米国市場では主に、既存のアップルユーザーからもたらされている。しかし、中国の都市部ではファーウェイやシャオミ、サムスンのユーザーらがiPhone Xに乗り換えるケースが多い」
また、中国ではアップルへの忠誠度が他の諸国よりも強い傾向にあるとZhangは話す。「アップルのプレミアムブランドとしての価値は、中国では依然として強力だ。ハイエンドのスマホ市場で、アップルは主要なポジションを獲得している」
また、中国でのiPhone X好調の背景には、アップルの「スーパーサイクル」がうまく機能したことがあげられる。中国ではiPhone 7の売れ行きが低調で、多くのユーザーが今もiPhone 6や6 Plusを使用しており、これらのユーザーが乗り換える端末がiPhone Xになっているという。
史上最大のiPhoneは中国に照準
そして、中国でのiPhone Xの好調ぶりを追い風に、アップルがさらなる期待を注ぐのが今年発売する一連の最新モデルだ。
ブルームバーグの報道によると、アップルは今年3機種のiPhoneを発売する。その一つはiPhone Xの廉価版モデルで、これによりシャオミやファーウェイのシェアを奪うことを狙う。さらに、“史上最大のiPhone”と噂される6.5インチの大型スクリーンを搭載した「iPhone X Plus」が、中国ユーザーに特に支持されると見込まれる。
アップルが社内で「D33」とのコードネームで呼んでいるiPhone X Plusについては、まだ限られた情報しかない。しかし、この端末が中国の富裕層にアピールすることはほぼ確実と言えそうだ。
調査企業「IDC」のデータでは、2016年のアップル初の“ファブレット端末”であるiPhone6 Plusの売上の50%は中国でのものだったという。
「中国の消費者は画面サイズの大きいスマホを好む傾向がある。2017年のQ4に中国で販売されたスマホの26%近くが6インチ以上の大画面のものだった。この数値は米国市場ではわずか10.7%でしかない」とCanalyst Researchの担当者は述べた。
この傾向はiPhone 7 Plusの売れ行きを見ても明らかだ。iPhone 7 Plusは昨年、中国で2番目に売れた端末になっていた。
「多くの中国人にとってスマホは、インターネットにアクセスするための唯一のデバイスだ。そのため、ゲームや動画の再生などあらゆる目的に使える大きな画面が好まれる傾向にある」と、別の関係者は話した。
中国の都市部のユーザーにとってアップル製品の高価格さは、それほど大きな障害にはならない見通しだ。アップルがこれまで以上に営業利益を重視するなかで、中国はますます同社にとって重要なマーケットになりそうだ。