ビジネス

2018.03.07

フェミニズムに対するギャップを埋める、新動画メディアの挑戦

石井リナ BLAST Inc. CEO(左)と明石ガクト ONE MEDIA代表取締役


プラットフォーム vs コンテンツの行く末は

石井:ミレニアル世代向けだと、より広範囲な「届け方」が必要だと思います。「〇〇.com」とメディア名でドメインをとって自分たちのサイトだけで運営するのではなく、フェイスブックやインスタグラムなどのプラットフォームを使い分けたり、リアルイベントまでも開催する総合的な「体験」を提供するメディアがこれから求められると思うんです。

明石:「プラットフォーム・イズ・キング」なのか、はたまた「コンテンツ・イズ・キング」なのか、という議論が昔からされています。インスタグラムやユーチューブは視聴者が投稿することもできるプラットフォーム、ONE MEDIAやBLASTはコンテンツメーカーです。

インスタグラムのようなプラットフォームは、たしかに収益性が高いし、時代の主役になり得る。でも、5年以上続いたプラットフォームは多くないんです。フェイスブックやインスタグラムもいつか使われなくなる時代が来る。あるいは、もう既に始まっているかもしれない。「インスタ映えって書いてあるからこの化粧品買っちゃった」みたいな子はいないと思うんですよ(笑)。

ただ、ユーザーがどこかに消えるわけではない。どこかで必ず、新しいプラットフォームに乗り換えるはずです。そして、分散型メディアはプラットフォームを「選ぶ」立場にある。



石井:「どのプラットフォームを使うか」はあくまで伝える「手法」の問題です。それよりも、ミッションに沿ったメッセージを伝えられるかの方が大事だと思っています。

女性をかわいい、綺麗という枠に当てはめて考えるのは難しい時代ですし、ナンセンスですよね。だから、BLASTでは絶対に「モテ」を取り上げないと決めています。「モテ」って他人からの評価を気にする考え方。BLASTはもっと自分のままでいいという価値観や思想のもとメディアを運営していきたいので、絶対やりませんね。

明石:もう「モテ」とか「インスタ映え」とかはホントにどうでもいい。アメリカでRefinery29がすごい成功してるっていうのは、若い人たちの価値観がアップデートされているから。日本の現状を見ると、Refinery29のようなメディアはないので、BLASTは今の考えをブラさずにやってほしいですね。いろいろ大変なことはあると思いますが。

フォロワーではなく、ファンを増やせ



石井:メディアは信頼が何より大事だと思っています。それはtoB、toCに関わらず。まず1年はメディアの信頼を溜めていくことを最重要指標にして、メディアを成長させていくつもりです。

明石:大事ですよ。既存のメディアはフォロワー数、再生数など分かりやすいKPIをメディアの指標にしていますが、メディアはそんな単純なものじゃない。今、石井さんから信頼という言葉がありましたけど、やっぱりメディアはいかに視聴者、読者との間に信頼、約束をつくっていくかが大事だと思うんです。

やらなきゃいけないミッションがあり、そのミッションにふさわしいコンテンツをブラさずに提供し続ける。そうすることでBLASTのことを好きになるファンの数が増えていく。メディアにとっては、それが何よりも大切。ファンとフォロワーは違うので。

石井:人気と認知の違いということですよね。最初の1年ぐらいは信頼の積み重ねを大事にしていきたい。もちろん、追うべき数字もあるけど、何より大事なのは信頼をつくり、ファンの数を増やしていくこと。数年後の考えはまだ具体的になっていないですが、企業とのコラボレーションもしていきたいですし、自分たちでイベントも開催していきたいと思っています。目に見えるかたちでBLASTの世界観を打ち出していきたいです。

明石:すごくいいと思う。それが差別化要因になっていく。僕も石井さんから刺激を貰いつつ、頑張っていきたいと思います。

文=奥岡ケント 写真=小田駿一

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