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2018.03.07 08:00

フェミニズムに対するギャップを埋める、新動画メディアの挑戦


石井:メディアの中の話をすると、海外ではトランプ大統領の女性蔑視へのデモ「ウィメンズマーチの行進」への是非が、当たり前のようにメディアで議論されたりする。アメリカのオンライン英語辞典メリアム・ウェブスターが発表した2017年の「今年の言葉」には「フェミニズム」が選ばれたにも関わらず、日本の女の子のほとんどはその言葉すら知らない。

日本と海外で大きなギャップがあることに驚きましたし、これはきっと日本の女の子が抑圧されてることに気づけていないんじゃないかな、と思ったんです。だからこそ、BLASTではジェンダーの問題もそうですし、これからの働き方や新しい家族のあり方なども取り上げる。

BLASTが掲げるステートメントは、“There Is No Wrong, There Is No Right”です。意味は「間違いも正解もない」。私たちが配信する動画を通して、日本の女の子にフェミニズムの現状を知ってもらいたいですし、自分らしく自由に生きる世の中になっていければいいな、と思っています。

明石:言葉を濁さずに言うと、日本の女性向けメディアはみんな「かわいい」「綺麗」しか取り上げない。ステレオタイプの女性像でしか女性を見ていないわけです。Refinery29はそんな社会のアンチテーゼ的なメディアですよね。グローバルでフェミニズムの機運が高まっているのだから、日本にもRefinery29のようなメディアがあっていいはずだと思う。

石井:BLASTは基本的にインスタグラムのフィードとストーリーズ、ユーチューブを使って動画を配信していきます。なぜ、この2つのプラットフォームを選んだのか。それはBLASTのターゲットユーザーである、アーリーアダプターでグローバルな思想を持っている人たちがインスタグラムのストーリーズとユーチューブにいるからです。

もちろん、この2つだけに終始するつもりはありません。もしかしたら今後、テキストメディアを持つかもしれないし、ポッドキャストやラジオをやるかもしれない。届けたい人が今そこに居るから選んだ、という感じですね。

ミレニアル世代は「よっぽど好きなもの」しか、文章を読まない

明石:なぜ今になってアメリカでフェミニズムの機運が高まっているのか。その背景には「ビジュアルメディア」の存在があると思っています。

いまの若い子たちはデジタルネイティブ世代。小さい頃からLINEのような短文メッセージのやり取りが当たり前の環境でコミュニケーションをとってきた。加えて、ユーチューブやインスタグラムのストーリーズなど、ビジュアルストーリーテリングが新しく生まれ、もはや1万字もあるようなテキストはよっぽど関心のある出来事しか読まなくなってきています。

文章はもう、大人しか見ていないわけです。たとえば大きな社会問題があったとして、「それを知るためにニュースを読め」と言っても意味がない。テキストメディアが、本当に若者に対して伝えるべき情報を伝えきれていないんです。


ONE MEDIA代表取締役 明石ガクト氏

インターネットがない青春時代を過ごして、情報を入手する媒体は新聞や雑誌が当たり前の時代に育った人たちの感覚で、「今の子たち」とコミュニケーションをとってはいけない。僕のようなオッサンが若者に情報を伝えようと、テキストでいくら発信してもそれを読むのもオッサン。言ってしまえば、中高年の中でしか情報が回らない、オッサンの輪廻ですよ。
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文=奥岡ケント 写真=小田駿一

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