大会では、「サッカー対決」「競技解説」「記事作成」の3分野で人工知能の精度が競われたが、ひと際大きな注目を集めたのが「サッカー対決」だった。
ルールは実際のサッカーと似ており、両チーム5名ずつ、合計10名の選手が“仮想ピッチ”でゴール数を競い合うというもの。競技時間は、前後半合わせて10分。競技が始まる前、大会に参加する各チームからは「アメリカンフットボールからインスピレーションを受けた攻撃的なプレイを目指す」、「仮想の監督を学習させ最高のチームプレイを実現する」などの抱負が語られた。
観戦におけるポイントは、“AI選手”たちがディープラーニングをベースに相手チームの戦力や作戦を学習する点だった。AI選手たちは、能力を高め続ける相手よりさらに優れたパフォーマンスを発揮するため、常に更新されたプレースタイルを獲得していった。
ただし、学習がすべて成功したわけではなかった。ゴールを奪われそうな状況で相手陣に暴走した挙句、関係ない選手にタックルしてしまう選手や、ひとり関係ない場所で“震えている”だけの選手もいた。万能というイメージが強いAIだが、とんでもないミスをするというユーモラスな面も確認されたようだ。
なお今回、決勝に進出したのはKAISTのチーム「WISRL」と、全北大学校のチーム「AR LAP」。試合はホイッスルが鳴るやいなや雪崩のように攻め込んだAR LAPのAI選手が、最後までWISRLの追撃を寄せ付けず。最終的に13対6というスコアで優勝を飾った。
KAISTのハ・ドンス教授は「AI選手が学習を通じてプレースタイルを多様に変化させる姿が印象的だった。今年は国内で行われたが、来年から国際大会として拡大させる予定」と今後の計画について語っている。
余談だが、韓国勢はこれまで、オンラインゲームやeスポーツの世界大会で無類の強さを見せてきた。特に「スタークラフト」という戦略シミュレーションゲームにおいては、長らく世界ランキングを独占してきた経歴を持つ。そんな韓国勢を相手に、前述のグーグル ディープマインドが、スタークラフトでの対戦も考えているという噂がある(グーグルは韓国人に恨みでもあるのだろうか)。いずれにせよ「AI×ゲーム」という分野では、韓国の動向は見逃せそうにない。
12月22日には、政府省庁のひとつ科学技術情報通信部が主催する「VRゲーム対戦2017」の開催も決まっている。こちらは、韓国内初の大規模なVRゲーム大会となる見通しだ。