テクノロジー

2017.09.13 14:30

大企業と次々に協業する「プリファード・ネットワークス」のこだわり

プリファード・ネットワークス CEO 西川 徹氏 (photograph by Tsukuru Asada)

「機械学習やディープラーニング(深層学習)により、賢くなった機械をどう賢くつなげていくか。コンピュータの強みは、コミュニケーションや能力共有を一瞬で大量に行うことができること。僕らはコンピュータ同士をつなげることで新しい産業が生まれるのではないかと思っています」

最先端の人工知能(AI)関連技術の研究開発やビジネス活用を展開するプリファードネットワークス(以下、PFN)社長の西川徹はそう話す。2014年3月の設立以降、トヨタ自動車、ファナック、NTT、米シスコシステムズ、国立がん研究センターなど国内外の幅広い産業領域の企業・組織と提携、協業、共同研究開発を行っている。

今年4月、米インテルと、PFNの深層学習フレームワーク「Chainer」の開発での協業を発表。汎用CPU上でディープラーニングを可能にし、画像認識や機械制御といったAIによる機能を様々なIoT機器でも実装できるようにする。5月には、米マイクロソフトとディープラーニング分野での戦略的協業を発表。マイクロソフトのクラウドサービス「Microsoft Azure」とPFNの深層学習テクノロジーの連携を推進し、ソリューション提供を目指すなど、世界を視野に入れ、事業を加速させている。

同社の特徴は、世界的企業とも“対等なパートナー関係”にこだわること。自動運転で共同研究を行うトヨタ自動車、産業用ロボット同士の協調に向けた協業を行うファナックでも同様だ。

「誰も解けていない問題を解決するためには、お互いの能力を全力で掛け合わせる必要がありますから」(西川)

西川はIoT分野以外にも「AIの可能性」を感じている。その一つが、5月に行ったピクシブとの協業だ。お絵かきプラットフォーム「pixiv Sketch」にAI技術による線画自動着色サービス「PaintsChainer」の機能を追加し、エンターテインメント分野にも参入した。

米グーグルなどとの熾烈な人材獲得・研究開発競争がある中、独自のAI技術と大企業との協業関係を生かし、その先に進もうとしている西川が考える未来像─。

「様々な産業で、我々の技術を用いながら、コンピュータの持つ価値を最大限に引き出すことで、人類がこれまで解けなかった問題についても、誰もが想像できなかったような方法で解決できると思います」

文=Forbes JAPAN編集部 写真=浅田 創

この記事は 「Forbes JAPAN No.38 2017年9月号(2017/07/25発売)」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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