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2017.01.19 15:42

ティファニー旗艦店の悲劇、トランプ大統領の誕生で環境が激変

Mario Tama / gettyimages

Mario Tama / gettyimages

米紙ワシントン・ポストは1953年、国際的な高級宝飾ブランド、ハリー・ウィンストンやヴァン クリーフ&アーペル、カルティエなどが軒を連ねるニューヨークの5番街を、「ジュエラーのショーケース」と呼んだ。もちろん、その中には米国発のブランド、国内で特に人気のティファニーも含まれていた。

だが、その5番街の727番地にあるティファニー本店周辺の様子は、明らかに変化している。警察のバリケードや検問所、ジャーナリストやデモ参加者たち、ぼうぜんと状況を見る観光客らに取り囲まれ、本店を取り巻く状況は突如、高級品店が集まるショッピングモールではなく、(2011年に政財界に向けて行われた一連の抗議運動)「ウォール街を占拠せよ(Occupy Wall Street)」を思わせるものに変わってしまった。

非難すべき対象は、本店の隣人だ。光り輝く58階建てのトランプタワーと同じブロックにあることは、以前はタワーに入居する富裕層や訪れる客たちを本店に呼び込む助けになっていたかもしれない。だが、最近では明らかに、ティファニーにとっては客足を遠ざける原因であり、不利益だ。

数字が“被害”を証明

大統領選でのトランプの勝利がティファニーの売上高に悪影響を及ぼしていることは、同社が1月17日に発表した昨年10月31日~12月末の売上高によって明確に示された。この間のティファニーの売上高は、世界全体では前年と比べ500万ドル(約5億7.390万円)増えている。だが、一方で米国では4%減を記録。さらに本店は-14%となった。

ティファニーは昨年11月29日に公表した8〜10月期(第3四半期)の決算でも、同月半ばにアナリストらが予想していたとおり、同期の本店の売上高が大統領選以降、国内のその他の既存店に比べて大幅に減少していることを明らかにした。

コンサルティング会社ベイン・アンド・カンパニーが昨年末に発表した報告書によれば、高級品市場は同年、世界的に縮小。特にアジアとアメリカでは、売上高が前年比で3%減少したとされる。ティファニー本店は、それと比べても相当の落ち込みようだ。

ティファニーは売り上げ不振の一因を、大統領選後の客足の減少だと指摘している。しかし、「一因」というのは“礼儀正しい”言い方だ。トランプタワー周辺で続く混乱は、クリスマス前からの繁忙期に旗艦店の魅力を減じ、客にとって足を踏み入れづらい場所に変えてしまったのだ。

ニューヨーク市は現在、トランプタワー周辺の警備に1日当たり100万ドル以上を費やしている。ドナルド・トランプの大統領就任後も、メラニア夫人と息子バロンはホワイトハウスには移らず、現在の住まいにとどまる予定だ。

昨年12月に連邦政府に対し、トランプタワーの警備費用として3,500万ドルを請求した同市のビル・デブラシオ市長は、「グッチやティファニーは私にとって主要な問題ではない」と発言。いくつかの高級品店の利益よりも、重要な問題があると述べている。

編集 = 木内涼子

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