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2016.12.08

東南アジアで勃発のEコマース戦争 アマゾンVSアリババの死闘

photo by Andrew Burton / gettyimages

世界で繰り広げられている最も重要なEコマースの戦いは、アマゾン対ウォルマートでも、アマゾンとその他の米国Eコマース業者の戦いでもない。それは中国のアリババとアマゾンの間の“冷戦”だ。この戦いは今後10年以上続くだろうし、ここしばらくは東南アジアが主戦場となる。

インドではFlipkartとSnapdealがアマゾンとの競争に直面している。アマゾンはインドに30億ドル(約3,400億円)の投資を計画中で、インドネシアには6億ドル(約680億円)をつぎ込むと噂される。アマゾンは西でインド、東でインドネシアを攻略し、真ん中にあるシンガポールも視野に入れ、注意深く場所を選びながら戦いを進めている。

アリババも手をこまねいていない。ドイツのロケットインターネット傘下だった東南アジアのEC企業Lazadaを10億ドル(約113億円)で取得し、45億ドルを金庫に保有する子会社のアント・フィナンシャルを通じて東南アジアへの投資を拡大する。米中のEコマースの巨人の激突はどのような結果をもたらすのだろうか。

両社はマーケットシェアを取るために、できる限りのことをするだろう。消費者目線では疑いなくよいことだ。しかし、両社の競争相手となる東南アジアの小売業者やECサイトにとってはどうなのか。

小さなECサイトはアマゾンとアリババの猛攻への備えをしていない。インドではFlipkartの企業価値が減少している。東南アジアのECサイトが手を打っている様子は見られない。

米国ではウォルマートが、アマゾンの猛追に反撃するためにIT投資に105億ドル(約1兆1,900億円)を投じた。しかし、東南アジアの小売業者にウォルマートのような対応は取れない。そして彼らのマーケットには、アマゾン、アリババが迫っている。

東南アジアのコングロマリットや政府は何もせず見ているのか。それとも巨人と戦えるよう、現地のイノベーションやスタートアップを育成する動きに出るのだろうか。適切な対応が取られなければ、アマゾンとアリババは全てを踏み潰すだろう。

東南アジア市場の行方はアマゾンとアリババのグローバル展開の命運も左右しうる。中東、南米、そしてアフリカも長期戦略の中にあるだろうが、東南アジアは成熟した市場だ。中国と米国は既に地元勢力による構図が固まっている。東南アジアは今後の世界のEコマース市場の動向を考える上で最も注目すべき地域だ。

編集=上田裕資

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