それから23年の月日とトランプが勝利した1度の大統領選を経た今、そのティファニー本店はトランプの名前と(自社とトランプ・オーガナイゼーションの)本社所在地であるという事実とは、もう少し距離を置きたいと願っているかもしれない。
11月29日に今年8〜10月期(第3四半期)の決算を発表したティファニーによれば、同月8日の大統領選以降、5番街で反トランプの抗議活動を行う人たちと警備のおかげで、旗艦店の売上高に悪影響が出ている。
5番街周辺には検問所が設けられ、通りが封鎖され、警察がバリケードを設置するなど、辺りの様子は一変した。次期米大統領にとっては警備の問題かもしれないが、ティファニーをはじめその他の事業主たちからすれば、決して小さいとは言えない業務上の混乱を招く事態だ。
ただ、ティファニーは第3四半期と年初から10月末までの本店の売上高について、世界全体の純売上高に占める割合は「10%以下」だとしている。また、市場もトランプの影響をそれほど深刻にはみていないもようだ。
一方、金融サービス会社コーウェン・グループのアナリスト、オリバー・チェンは、ティファニー本店への客足はデモ活動によって周辺の警備が特に強化される日には、前年と比べて半数ほどに減ることもあるだろうと指摘。客足が半減することがあれば、第4四半期には米国内の利益には悪影響が出かねないと述べている。チェンは11月に発表したリサーチノートで、第4四半期のティファニーの1株利益の予想を下方修正した。
ティファニーの第3四半期の決算は、会社全体ではアナリストらの予測を上回る結果だった。売上高は前年比1%増の9億4,900万ドル(約1,070億円)。アナリスト予想の9億2,370万ドルを上回った。純利益は5%増の9,500万ドル。1株利益は76セントで、アナリスト予想の平均67セントよりも高かった。既存店売上高は2%減少したが、アナリストらは2.8%減を予想していた。
問題は警備より抗議活動
チェンと同僚たちは大統領選の投票日の後、来店する時刻を変えて、週末の本店の様子を調査した。その結果、周辺の警備以上にデモ活動が原因で店舗に入りづらくなっている状況が確認できたという。
チェンは、「店員に聞いたところ、客はデモ参加者らが最も増える午後の遅い時間帯や夕方を避けて、より早い時間に来店するようになっている。抗議活動は大抵、始まると数時間は続く」と説明している。
ティファニー本店だけではなく、トランプタワー周辺のその他の事業主たちからも、設置されたバリケードや警備に対する苦情が寄せられている。