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2016.09.13 14:00

マクドナルド、KFCが進める中国事業の改革 アリババとの連携も

Joe McNally /gettyimages

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ファストフード大手のヤム・ブランズは、より多くの中国人顧客を獲得するために、現地企業への中国事業の株式売却を決めた。

KFCやピザハット、タコベルなどを運営するヤム・ブランズとマクドナルドは、中国事業の回復に向け現地資本の導入に動いている。かつて彼らの事業拡大を牽引した中国市場は、食の安全を巡る不祥事の多発や消費者の好みの変化により不振にあえいでいる。両グループは中国をよく知る現地企業に、ブランドイメージの向上と消費トレンドの把握を期待する。

市場調査企業ユーロモニターによると、KFCの中国のファストフード市場でのシェアは、2012年に40%あったのが、2015年には23.8%まで落ちた。一方マクドナルドの昨年のシェアは13.8%で、2012年の14.9%から微減にとどまっている。

アリババと提携で復活狙うKFC

9月2日、ヤムは中国事業の一部を、アリババグループの金融サービス会社アント・フィナンシャルと、プリマベーラ・キャピタル(春華資本集団)に計4億6,000万ドル(約472億円)で売却すると発表した。ヤムは中国事業を「ヤム・チャイナ」として分社し、11月にニューヨーク証券取引所で上場する。その後は中国での売上高の3%をライセンス料として受け取る計画となっている。

ヤムにとって、4億5,000万のアクティブユーザーを擁するモバイル決済首位のアント・フィナンシャルと手を組むメリットは大きい。店頭での支払いの利便性向上に加え、アリババのプラットフォームでKFCやピザハットを宣伝してもらえる。ゴールドマン・サックスの中国部門のトップを務めたフレッド・フー(胡祖六)が率いるプリマベーラとの連携も、ヤムにとっては有益なものだろう。

一方、マクドナルドへの出資企業としては、北京三元食品や三胞集団(サンパワー・グループ)、北京首旅集団などが名乗りを挙げているという。

両グループはメニューの現地化も進める。KFCはおかゆや中国伝統の朝食メニューを、マクドナルドは中華クレープや豆乳を提供している。

チャイナ・マーケット・リサーチグループ(CMR)のベン・キャベンダーは「中国の飲食業界の競争は以前よりかなり激しくなっており、マクドナルドやヤムは、中国で稼ぎつつも、オペレーションを切り離そうとしている」と説明した。

2014年にはレノボグループ系の投資会社、弘毅投資(ホニー・キャピタル)が英大手ピザチェーン「ピッツァエクスプレス」を15億4,000万ドル(約1,581億円)で買収するなど、現地企業への事業承継は初めてのケースではない。ピッツァエクスプレスはローカル化を進め、中国のホワイトカラーの取り込みに成功したという。

キャベンダーは、「中国の投資家は現金を持っているが、中国には良い投資先がなかなかなく、出資先を探している」と語った。


編集=上田裕資

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