このペースで増え続ければ、2016年は2007年以降で最も自動車事故による死者の多い年になる可能性がある。レイバー・デー(9月の第1月曜日)の3連休には438人が自動車事故で死亡すると推定されており、そうなればこの連休での死者数は2008年以降で最も多くなる。
この推定値は8月下旬、非営利の公共サービス機関である全米安全評議会(NSC)が公表したものだ。1月以降、アメリカでは約1万9,100人(スクールバス382台分に相当)が自動車事故で命を落としており、さらに220万人が重傷を負っている。推定損失コストは2,050億ドル(約20兆9,800億円)だ。
NSCは2015年の冬、同年に交通事故で死亡した人の数が2014年に比べて8%増加したとの推定値を発表。対前年比で、この50年で最大の増加率だった。
「私たちの油断が、私たちを殺している」と、NSCのデボラ・A・P・ハースマン会長兼CEOは声明で述べた。「毎日100人が命を落としている現状を、私たちは許してはならない。アメリカ人は安全のための行動を最優先にするよう変革を求め、回避可能な主な死因である自動車事故から自分たちを守らなければならない」
NSCによれば、自動車事故による死者数が増加傾向に転じた2014年以降、最も死者数が増えている州はフロリダ(43%増)、ジョージア(34%)、インディアナ(33%)、カリフォルニア(31%)、ノースカロライナ(26%)、イリノイ(24%)とケンタッキー(24%)だ。
死者数の増加に影響を及ぼしている要素には、景気の回復、失業率の改善、ガソリン価格の低下などが挙げられるという。死亡事故を減らせる簡単な解決法はないが、NSCでは、よく知られている以下6つのような安全策を奨励している。
・車に乗ったら必ず、乗車している全ての人がシートベルトを締めること
・必ずアルコールや薬物を摂取していない人が運転をし、それができない場合は代わりの交通手段を手配すること
・疲れないように十分な睡眠をとっておき、運転中は定期的に休憩をとること
・ハンズフリー機能がついていても、運転中は携帯電話は使用しないこと
・10代の子どもがいる人は、子どもの運転の癖に関心を持つこと。10代の若者は、より経験のあるドライバーに比べて3倍事故を起こしやすい
・自分の車の安全システムと、その使い方を知っておくこと。
NSCでは、適応走行制御システムや後側方死角警報システム、車載カメラなどの機能についての理解を助けるウェブサイト、マイカー・ダズ・ワット(My Car Does What)を推奨している。