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2016.06.06

「雑草」が自動車の原材料に!? たんぽぽや大麻での開発相次ぐ

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「雑草」で自動車が製造できる日が近づいてきたのだろうか──ドイツでは科学者たちが、雑草を原料としたタイヤの開発に成功したと発表。米国では、実際に雑草でつくったスポーツカーが公開された。

独コンチネンタル・タイヤはこのほど、トレッドに「タンポポ」から採集した天然ゴムポリマーを100%使用したタイヤの試験に成功したと発表した。同国のフラウンフォーファー分子生物学・応用生態学研究所とジュリアス・キュエン・インスティテュートなどと共同で開発した。ただ、製品化には5~10年かかる見通しだ。

使用したのは、庭に生えているおなじみのタンポポではない。主にロシアに生息する丈夫な種類のタンポポで、根に天然ゴムを構成する成分のラテックスが含まれる。

コンチネンタルによると、従来使用してきたゴムノキではなくタンポポを使うことには、多くの利点がある。多くの人が知っているとおり、タンポポは繁殖力の強い植物だ。特にこの品種は、赤道の南北を問わず地球上の広範な地域に生息。ゴムノキより気候の変化に強い。また、ラテックスが採集できるようにまでにゴムノキは7年かかる一方、このタンポポはわずか1年でそれが可能になる。

コンチネンタルのカーラ・レッカー博士によれば、「タンポポは少ない労力で育てることができる。北半球でも温暖な気候であれば育ち、食用作物の栽培が不可能な土地にも生息する」。つまり、例えばコンチネンタルのタイヤ工場のすぐそばの土地でも、ゴムを生産できるようになるのだ。輸送にかかる時間も二酸化炭素の排出量も大幅に削減することができる。

大麻製ボディのスポーツカー

一方、車に関するさまざまな情報を提供する「ボールドライド・ドットコム(Boldride.com)」がバークロフト・カーズ(Barcroft Cars)の情報として伝えたところよると、フロリダ州キーウエストの起業家ブルース・ディーツェンがこのほど、ボディがマリフアナでできた(正確にいえば、「大麻の繊維」を使用した)車を発表した。

同社のウェブサイトによると、「リニュー(Renew)」ブランドとして発表されるこの車は、初代マツダMX-5 Miata(ロードスター)をモデルにした軽量のスポーツカー。ボディの曲線美を実現するため、約45kgの大麻繊維からできた織物を3層にして使用した“グリーン・カナビス・カー”だ(カナビスも「大麻」の意味)。

大麻繊維は自動車のボディに使用されている繊維ガラスや鋼鉄よりも軽量かつ頑丈で、くぼみやへこみには鋼鉄の10倍強いという。

ただし、大麻の繊維を樹脂で固めて車のボディに使うという考えは、ヘンリー・フォードも試したものだ。そのため、ディーツェンのアイデアがまったく新しいものだという訳ではない。また、安価に仕上がる車でもないはずだ。ディーツェンが試作品の製作に費やした金額は、20万ドル(約2,140万円)に上るという。

編集=木内涼子

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