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2025.03.27 16:00

NECのテクノロジーが命を救う GHIT Fundと考えるグローバルヘルスにおける技術活用のあり方

NECが今、その技術力をもってグローバスヘルスへの協力を進めている。顔認証技術から指紋認証システム、AI創薬まで、最先端テクノロジーがどのように現地の健康課題解決に貢献できるのか——NEC グローバル事業推進統括部長 前川健太郎をゲストに迎え、GHIT Fund CEO 國井修がアフリカをはじめとするグローバルヘルスの課題に対するデジタル技術の可能性について語り合った。


デジタル技術でグローバルヘルスを支える

前川健太郎(以下、前川):近年、デジタル技術があらゆる分野で活用されるようになり、NECとして、産業のDXだけでなく社会課題の解決にも貢献できると考えるようになりました。そうした中で、グローバルヘルス分野での活動を私たちが本格的に始めたのは2016年からです。当時は手探り状態でしたが、国際機関や政府関係者など多くの方々に相談しながら、アフリカや南アジアでの活動を模索してきました。

デジタル技術の面白いところは、グローバルヘルスの中核を担うものではないけれど、NECのPurposeにもある「安心、安全、公平、効率」という観点から支えられることです。国連機関との連携では、農家や女性支援向けの補助金事業をデジタル化する電子バウチャーシステムや空港などテロ・犯罪への水際対策が求められる主要施設での顔認証システムを導入し、Gaviワクチンアライアンスとの共同プロジェクトでは、幼児指紋認証によるワクチン管理システムの構築を行ってきました。

NEC グローバル事業推進統括部 統括部長 前川健太郎
NEC グローバル事業推進統括部 統括部長 前川健太郎

國井修(以下、國井):NECさんのような技術のある企業が、ビジネスとしての収益化が難しいグローバルヘルス領域に参画してくださることにとても感謝しています。健康はすべての活動の礎であり、この問題解決を加速するために今後DXは必須とも言えます。

世界では今なお、結核やマラリア、顧みられない熱帯病など年間約20億人が感染症に苦しみ、200万人以上が亡くなっていますが、実はこの死亡数はコロナの年平均と同程度、感染者は10倍もあります。しかし、多くの製薬企業が、感染症分野から撤退しつつあり、日本でも取り組む企業は少なくなり、アフリカなどの感染症に対する治療薬やワクチン開発が進まない現状があります。

こうした状況を変えるため、GHITでは顧みられない病気の研究開発の促進と加速化に取り組んでいます。従来、薬やワクチンの開発には10年以上の期間と数百億円の費用がかかりました。しかし、今後はAIなどのデジタル技術を活用することで、より早く、安く、製品開発を行い、成功確率を高められると考えています。

現地の課題に寄り添うデジタルソリューション

前川:バングラデシュでGavi・英国スタートアップSimprints社と共同実施した幼児指紋認証システムの実証実験では、大きな成果が出ました。それまで保健所では紙の台帳で管理していたため、受付から接種まで約20分かかっていましたが、システム導入後は90秒に短縮。遠方から来る母親たちの待ち時間が大幅に減り、確実にワクチン接種ができるようになりました。

また、ガーナでは外務省の予算を活用してWFP(国際連合世界食糧計画)と連携のもと、味の素ファンデーションさん、シスメックスさんと共同で母子栄養管理システムを導入しました。これは単に記録用紙をデジタル化するだけでなく、データをグラフで表示するなど視覚化することで、保健師の業務効率化とお母さんたちの健康意識向上につながりました。

ガーナでも幼児指紋認証システムの導入を進めている
ガーナでも幼児指紋認証システムの導入を進めている

國井:現場に適したソリューションを提供するには、地域特有の課題を理解しなければなりません。アフリカでは電力供給や通信が不安定な地域が多いため、オフラインの環境でも動作し、通信環境が整ったときにデータを同期させるハイブリッドなアプローチが必要です。

また、初めはすべてをデジタル化することは難しいので、紙と併用しながら少しずつ進めることも大切です。技術そのものよりも、それを現場でどう導入し使いこなせるかが課題といえるのではないかと。

前川:おっしゃる通りだと思います。システムを導入してもすぐには使いこなせないことが多い。だからこそ、私たちは現場に行き、ユーザーの声を聞いて改善を重ねています。国際機関やパートナーからヒアリングするだけではなく、弊社自身でもアフリカに足を運び、実際の使用状況を観察し、フィードバックを得ています。このようなきめ細かい対応が、システムの定着と改良には欠かせないのだと実感しています。

パートナーシップでスケールアップを実現する

國井:グローバルヘルスの課題解決には、GHITのDNAである「パワー・オブ・パートナーシップ」が不可欠です。研究開発から現場へのアクセスと届け方まで、多様なパートナーと連携することで初めて実現できます。

例えば、先ほどのガーナでの母子栄養管理プロジェクトは、日本が提唱する「アフリカ健康構想」の好事例です。こうした取り組みをどうスケールアップするかが次の課題で、パイロット段階から国際機関や現地政府を巻き込み、彼らに「これはいい」と言ってもらって普及してもらえるような協力関係を早期に構築することが重要でしょう。

また、GHITが進める創薬の加速化にもデジタル技術は欠かせません。AIを活用することで、薬の候補となる化合物を効率的に探索したり、より効果的な薬の設計ができたりするようになります。NECさんはCEPI(感染症流行対策イノベーション連合)からの委託で、感染症の将来のパンデミックへの対応としてAI技術を活用したワクチン開発に取り組まれていますよね。

グローバルヘルス技術振興基金(GHIT Fund)CEO 國井 修
グローバルヘルス技術振興基金(GHIT Fund)CEO 國井 修

前川:はい、CEPIからの委託でAI創薬の事業に取り組んでいます。新型コロナのような感染症が発生した際、変異するたびに新たなワクチンを開発するのは時間もコストもかかります。これをAIで解析し、より短期間で変異に強いワクチン設計ができるよう研究中です。すでに動物実験段階まで進んでおり、次のステージに向けて準備中です。

國井:国際機関であるCEPIと連携し、NECの優れた技術力、テクノロジーが活用され、日本企業がもつイノベーション力を発揮していることはとても嬉しく思います。世界中の企業やアカデミアが参画する中で、グローバルレベルで競争力を持つ日本企業が限られているのが現状です。日本には優れた技術があるのに、グローバルな動向やニーズ、活用・応用の仕方を把握しきれていない課題があります。

前川:確かに国際的なつながりが重要ですね。私たちも最初は何もわからない状態でしたが、別プロジェクトで協業させていただいたゲイツ財団からの紹介でCEPIとつながることができました。こうした国際的なネットワークこそが、グローバルヘルスの分野で活動する上での大きな財産です。

國井:そういった点でもGHITは、グローバルヘルスに貢献したいと考えている日本企業の皆さんと国際機関や海外の企業・アカデミアとの橋渡しができます。NECさんをはじめ、連携させていただけたらと考えています。

もうひとつ言及しておきたいのは、アフリカのポテンシャルです。紛争地域のソマリアでさえ、難民の半数以上が携帯電話を持っていて、一度浸透すればその拡散力はとても大きなものになります。インフラがないからこそ、デジタル技術やガジェットが急速に普及する可能性がある。この流れをビジネスチャンスととらえ、日本企業にはもっと積極的にアフリカに進出してほしいと思います。デジタル技術を活用すれば、多くの命を救えます。ビジネスの活性化で助けられる命がたくさんあります。

前川:私たちは今後も、現場に足を運び、ユーザーの声を聞きながら、グローバルヘルスのインフラづくりに貢献していきたいと考えています。それぞれの強みを生かし、社会全体をより良くしていけるといいですね。

國井:その通りですね。NECさんのようなデジタルやテクノロジーでの貢献、薬を届けるという点で流通産業からの貢献、はたまた母子栄養や感染予防という観点で食品産業や衛生産業など様々なセクターからの参画が必要です。共にタッグを組み、グローバルヘルス課題解決のために取り組んでいきたいと思います。

GHIT Fund
https://www.ghitfund.org/jp


前川健太郎(まえかわ・けんたろう)◎NEC グローバル事業推進統括部 統括部長。中東・アフリカでの豊富な経験を活かし、デジタル技術を通じたグローバルヘルス課題解決に取り組む。南アフリカでの駐在経験を経て、アフリカにおけるICTインフラ構築や国際機関との連携プロジェクトを主導している。

國井 修(くにい・おさむ)◎グローバルヘルス技術振興基金(GHIT Fund)CEO。医師、医学博士。UNICEFやグローバルファンドでの経験を活かし、日本発の創薬イノベーションを通じて、世界の保健医療課題の解決に取り組む。感染症対策における国際協力の重要性を訴え続けている。

Promoted by GHIT Fund | Text by Kenji Yoshinaga | Photographs by Tomohisa Kinoshita | Edited by Miki Chigira