北米

2024.11.12 12:00

借金漬けの米国は「破産する」、マスクの発言で暗号資産DOGEが急騰

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米大統領選でトランプ次期大統領の選挙運動を支援してきたイーロン・マスクは、ここ最近、米国の「財政危機」を懸念する警告を発し続けてきた。

35兆ドル(約5380兆円)に及ぶ米国の債務に向けられる懸念の高まりは、ビットコイン価格が急騰したタイミングと重なったが、マスクが支援する「Dogecoin(ドージコイン)」と呼ばれる暗号資産の価格は、さらに大きく上昇している。また、このコインの名称は、トランプがマスクを起用するとされる政府機関の名称との関連が指摘されている。

トランプは、米国の債務を解消するためにビットコインを使う可能性があると報じられているが、マスクは、米国の債務の増加がもはや「持続不可能」だと述べている。

「政府の過剰な支出は、アメリカを破産に追いやっている。この債務の増加は持続不可能だ」とマスクは、米国時間11月9日にX(旧ツイッター)に投稿した。

彼のこの投稿は、「年間2兆ドル(約307兆円)の財政赤字は、持続不可能だ」という、ビットコイン支持派で共和党のランド・ポール上院議員の投稿に対するリプライだった。ポール議員は、2016年の大統領選に出馬した際に、トランプに先駆けてビットコインによる政治献金の受け入れを表明していた。また、2021年のインタビューで、「暗号資産が米ドルに取って代わる可能性があると信じている」と述べたが、その理由の1つを「米ドルに対する信頼の欠如」としていた。

米国の債務は、2024年初頭に34兆ドルを突破したが、その主な原因はコロナ禍とロックダウン時の景気刺激策だった。これによりインフレが制御不可能なほど急上昇し、米連邦準備制度理事会(FRB)は金利の引き上げを余儀なくされた。

トランプは、以前からビットコインを活用することで35兆ドルにおよぶ米国の国家債務を解消するというアイデアを語っており、7月の『ビットコイン2024』カンファレンスでは、暗号資産業界に対する民主党の「弾圧」を終わらせ、「大統領の就任初日に米証券取引委員会(SEC)のゲンスラー委員長を解任する」と宣言していた。

マスクによる米国の債務に対する警告は、政府の支出削減の取り組みを主導する機関のトップに彼を就任させるという約束をトランプから引き出すことにつながった。この機関は、一般的には「政府効率化省(Department of Government Efficiency)」と呼ばれているが、マスクはその略称の「DOGE」という呼び名を好んで使っている。マスクの言動に明るい人なら、この略称が、マスクが大好きなドージコインの呼び名であることにすぐ気づくだろう。このコインはマスクが経営するテスラの決済にも使用されている。

時価総額で6位に

以前は「ミームコイン」と総称される弱小コインの一つだったドージコインの価格は、ここ1カ月で2倍以上に急騰しており、上昇率はビットコインを超えている。また、ドージコインの時価総額は10日時点で397億ドル(約6兆1000億円)と、XRPの332億ドル(約5兆1000億円)を上回り、ステーブルコインのUSDCも追い抜き、すべての暗号資産の時価総額ランキングで6位となっている。

ビリオネアの投資家、マーク・キューバンは先日、マスクがドージコインを財務省の計画に組み込むかもしれないとジョークを飛ばしていた。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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