IRENAは、再生可能エネルギーの発電コストが、大半の化石燃料の発電所を下回っていると述べている。陸上風力発電の世界平均コストは1キロワット時あたり3.3セントにまで低下し、前年から3%低下した。また、ユーティリティ規模の太陽光発電のコストは、1キロワット時あたり4.4セントで、前年から12%低下した。
一方、IRENAの報告によると、2023年の化石燃料を用いた発電のコストは、1キロワット時あたり10セントに上昇したという。
IRENAの事務局長を務めるフランチェスコ・ラ・カメラは、技術コストの継続的な低下によって、世界が化石燃料からの転換を進めていると述べている。
「再生可能エネルギーのコストの競争力の高まりが、大規模な導入につながっている」とこの報告書は述べている。IRENAによると、2010年から2023年にかけて、再生可能エネルギーへの「地殻変動」とも呼べるほどの大きなシフトが起きており、このトレンドはCOP28で合意された「2030年までに再生可能エネルギーの容量を3倍にする」という目標の達成に向けて、今後も続くとされている。
一方、再生可能エネルギーが化石燃料や原子力を用いたエネルギーと競合するためには、再生可能エネルギーのダウンタイムを補うための貯蔵システムの整備が重要になる。IRENAのレポートは、この分野の進展について、下記の3つのポイントを挙げている。
バッテリー貯蔵容量の拡大は、急速に進んでおり、年間の容量の増加分は、2010年の0.1ギガワット時から2023年には、95.9ギガワット時に急増していた。
バッテリー貯蔵プロジェクトのコストは、材料の効率の向上や製造プロセスの改善、スケールメリットによって2010年から2023年にかけて89%低下した。
中国はバッテリー貯蔵の新規の追加容量で世界をリードしており、2023年には46.5ギガワット時を追加し、世界全体の増加分の約半分を占めていた。
中国の影響力
中国は、再生エネルギー分野で世界最大の市場となっており、2023年の太陽光発電市場の63%、陸上風力発電市場の66%、洋上風力発電市場の65%、水力発電市場の44%を占めたとIRENAは述べている。また、中国の大規模な再生可能エネルギーの追加が、世界的な技術コストの低下を引き起こしたとされている。中国は、いくつかの大規模な太陽光開発プロジェクトを抱えており、テンゲル砂漠で開発中の新たなエネルギーベースは、すでに周辺の省に20億キロワット時以上の電力を供給していると報じられている。
IRENAは、再生可能エネルギーのおかげで電力会社とその顧客が2000年から2023年にかけて4090億ドル(約59兆3000億円)の燃料コストを節約したと推定している。
(forbes.com 原文)