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2024.05.15 11:00

【米国株ウォッチ】イーライリリーの競合分析、アムジェンとの比較

イーライリリーの増収は、マンジャロ(Mounjaro)、ベージニオ(Verzenio)、ジプレキサ(Zyprexa)などの製品がシェアを拡大したことによるものである。イーライリリーの糖尿病治療薬であるマンジャロは2022年に米国FDAに承認され、ロイターの報道によれば、2029年までに年間330億ドル(約5兆1000億円)近い売上が見込まれるという。イーライリリーの肥満症治療薬ゼップバウンド(Zepbound)は、昨年11月に米国FDAの承認を取得し、2029年までに年間160億ドル(約2兆5000億円)以上の売上が見込まれている。

イーライリリーの新薬開発パイプラインは非常に幅広く、さまざまな治療分野で臨床試験中の医薬品がある。同社のアルツハイマー病治療薬であるドナネマブ(Donanemab)は、薬事承認の遅れに直面しているが、同社はその結果に前向きな姿勢を崩していない。ドナネマブのピーク時の売上高は100億ドル(約1兆5000億円)と予想されている。

収益性と安全性

イーライリリーの営業利益は、2019年の49億ドル(約7667億円)から75億ドル(約1兆1000億円)へと55%増加した。アムジェンの営業利益は同期間に104億ドル(約1兆6000億円)から75億ドル(約1兆1000億円)へと28%減少している。イーライリリーの直近1年間の営業利益率は32.9%で、アムジェンの23.6%より良い。

財務リスクを見ると、両社は同程度である。アムジェンの負債比率38.5%はイーライリリーの3.4%よりはるかに高い。一方、アムジェンの資産に占める現金の割合は11.3%で、イーライリリーの4.6%より高い。

私たちの結論

イーライリリーの方が収益成長率が高く、利益率も高く、負債も少ない。一方、アムジェンは比較的低いバリュエーションで取引されており、手元のキャッシュ残高も厚い。将来性に関しては、パイプラインがより強固で多様であるイーライリリーの方が有利であると考える。アムジェンにとって、マリタイドは現在最も期待されているパイプラインのひとつだ。アムジェンはまた、キイトルーダ(Keytruda)やオプジーボ(Opdivo)などの、抗がん剤のバイオ後発薬を開発しており、今後同社が売上高を大きく伸ばすのに貢献する可能性もある。

AMGNについては、アナリストの予想株価の平均は315ドル前後で、現在の市場価格とおおむね一致している。とはいえ、同社がマリタイドの後期臨床試験に成功すれば、評価倍率も上方修正されると思われる。

現在のバリュエーションはLLYの方が高いものの、我々はLLYの方がAMGNよりも良い選択だと考えている。さらに、LLYのバリュエーションは、現在の売上高や利益よりも、むしろ将来のパイプラインの可能性に大きく依存していることを考えると、投資家は売上高の20倍を超える高いバリュエーション倍率を額面通りに受け取るべきではないと考える。LLYは前述のように数年間で高い上昇率を見せているものの、アナリストの予想価格平均855ドルは、現在の市場価格約770ドルを10%ほど上回っている。

forbes.com原文

翻訳=江津拓哉

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