1950年から2015年の65年間で、世界で製造されたプラスチックは83億トンにのぼるそうだ。
日本でも2019年だけで850万トンものプラスチックが廃棄されており、1人当たりのプラスチック容器の廃棄量は、1位のアメリカに次いで2位となっている。
プラスチックに苦しめられる海洋生物
海には毎分トラック1台分のプラスチックが流れ込んでいる。
それらのプラスチックを海洋生物が誤飲してしまい、死亡してしまうケースが世界中で報告されている。国連環境計画(UNEP)によると、プラスチックによって毎年数十万もの海洋生物が死んでしまっているようだ。例えば2018年、タイの南部で衰弱した状態で発見されたクジラの胃からは、80枚以上のビニール袋が見つかった。
プラスチック問題が深刻化し、解決が急がれる中、画期的な技術が続々と生み出されている。
廃棄プラスチック生まれのバニラアイスが誕生
「捨てられる予定だったプラスチックごみから、バニラ味のアイスクリームを作る」
そんなユニークな新技術を開発したのは、イタリア出身のデザイナーであるエレオノーラ・オルトラーニさんとイギリスの大学の研究チームである。研究チームによると、プラスチックから食品が作られるのは世界初のようだ。
研究チームは、ペットボトルに利用されているプラスチックをバクテリアや酵素で分解し、バニラエッセンスに使われている化合物を作り出すことに成功した。
まだ食品の安全検査を受けていないため一般販売はされていないが、研究チームは今後も研究を進め、廃棄プラスチックの活用に取り組むそうだ。
プラスチックが人体に与える影響は解明されていない部分が多いため、慎重に進めなければならない。
日本では納豆から海にやさしいプラスチックを開発
日本の大学でもプラスチック問題の解決につながる面白い技術が開発されている。高知大学の芦内教授は、納豆のネバネバ成分のもととなる「ポリガンマグルタミン酸」と、歯磨き粉に含まれる陽イオンを組み合わせることで、プラスチックを分解する機能を持つ新物質「PGAICs」を開発した。
一般的なプラスチックは海中だと半永久的に残り続けるが、PGAICsを混ぜたプラスチックは海中で5年ほど経てば完全に消えるようだ。
「PGAICs」についてより詳しく知りたい方は、こちらの記事も併せてご覧いただきたい。
私たちにできること
今回紹介したような紹介したような画期的な発明が世界に広まるのを待ちながら、私たちは根本的な問題であるプラスチックの大量生産・大量廃棄の解決に取り組まなければならない。
具体的には、エコバッグを使ってレジ袋の消費を減らしたり、マイボトルを持ち歩いてペットボトル飲料を買わないようにしたりすることが挙げられる。
1人1人が行動を変え、大きな消費の流れを変えていこう。
【参照】
・テレ朝news
https://news.tv-asahi.co.jp/news_international/articles/000319555.html
・sciencedirect
https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S154996342300031X?via%3Dihub
・TuftsNow
https://now.tufts.edu/2023/06/09/what-microplastics-might-be-doing-our-intestines
・science alert
https://www.sciencealert.com/microplastics-may-pose-a-serious-danger-to-the-intestine
・GREENPEACE
https://www.greenpeace.org/japan/explore/plastic
・GOV.UK
https://assets.publishing.service.gov.uk/government/uploads/system/uploads/attachment_data/file/411982/Assessing_the_impact_of_exposure_to_microplastics_in_fish_report.pdf
・横浜市
https://www.city.yokohama.lg.jp/kurashi/sumai-kurashi/gomi-recycle/pla-taisaku/plastic_mondai.html
※この記事は、2023年10月にリリースされた「エシカルな暮らし」からの転載です