気候に優しいスマートウィンドウで全米の商業ビルを覆うというビジョンを持つビュー社のテクノロジーは、400棟以上のビルに導入されている。2008年にソラダイム(Soladigm)社として設立された同社は、2010年にミシシッピ州に1億3000万ドルの製造工場を開設し、300人の雇用をもたらすと宣言した。
アマゾンからドイツ銀行まで幅広い顧客を魅了したビュー社は、不動産投資家にとってもハイテク投資家にとっても魅力的なターゲットで、ブラックロックやコースラ・ベンチャーズなどからも数億ドルを集めた。その魅力の1つは、投資資本を投資家のESG要件にあてられることだった。
設立から10年近くが経過した2017年、ムルプリはTIAAが主導する2億ドルの資金調達ラウンドを発表し、ビュー社の評価額は10億ドルに達したが、投資家や顧客には今後も赤字が続く予定だと警告した。
「この会社は当分の間、資金調達モードを続けるだろう」とムルプリは当時、ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)に語っていた。
その1年後にソフトバンクから10億ドルを調達したビュー社は、カンター・フィッツジェラルドがスポンサーとなり同社を20億ドルを評価したSPACとの合併によって上場した。ムルプリは当時、CNBCの取材に対し、ビューのガラスは一般的なガラスよりも設置後のコストが50%高いが、オフィスのテナントに高い賃料を要求することが可能で、より良い職場環境を生み出せると語っていた。
「50年前に初めてエアコンが導入されたときのことを考えてみてください。割高でしたが、今ではそれなしではやっていけませんよね」と彼は述べていた。
しかし、2021年1月のピーク時に12.49ドルに達したビュー社の株価は、その数カ月後にはほぼ半減した。同年の11月、同社はSECに対し、不正確な財務情報を提供したかどうかについて内部調査を開始したと報告した。
また、新たな懸念も浮上している。直近のSECへの提出書類で、ビュー社は2022年12月の時点で「財務報告に係る内部統制に重大な弱点」が残っていることを認めていた。
ムルプリは5月の株主向けのメモで、商業用不動産業界における課題にもかかわらず、ビュー社が「大きな前進」を遂げたとして、バラ色の未来を宣伝した。「私たちは事業を黒字化することに集中しています」と彼は述べていた。
しかし、同社はこう付け加えていた。「当社は適切な資本を得ることができない場合、事業を継続することは不可能です」
(forbes.com 原文)