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2023.05.02 20:00

【イベントレポート】特別トークセッション『進化思考』から考えるイノベーションを起こす場づくり・まちづくり 

2023年2月28日、Forbes JAPAN 別冊「ようこそ、世界に誇る縁(Enishi)エコシステムへ」発刊記念特別イベント「イノベーションを起こす場づくり・まちづくり」が開催された。

第1部では、Forbes JAPANの別冊「ようこそ、世界に誇る縁(Enishi)エコシステムへ」の発刊を記念した特別トークセッションを実施。Forbes JAPAN編集長の藤吉雅春がモデレーターを務め、著書『進化思考』で知られるデザインストラテジストでNOSIGNER代表、日本インダストリアル協会 理事長の太刀川英輔と早稲田大学ビジネススクール教授・入山章栄(リモート登壇)をゲストに迎え、イノベーションを「場づくりとまちづくり」の観点で深掘り。イノベーションを成功に導くヒントや八重洲・日本橋・京橋ー通称「YNK(インク)」エリアの魅力を聞いた。記事最下部では、セッションの様子を動画にてお届けする。


偶発性を必然にすることで生まれるイノベーション

八重洲、日本橋、京橋はこの頃、八重洲(Yaesu)のY、日本橋(Nihonbashi)のN、京橋(Kyobashi)のKを取って「YNK(インク)エリア」と呼ばれている。かつて、江戸城の城下町として栄え、ものづくりの拠点、芸術文化の拠点、食文化の拠点として発展してきたエリアだ。

近年、アイデア創出や入居者たちのコラボレーションを引き出すオフィスやコワーキングスペースが次々と誕生している。今回のイベント会場となった 「City Lab TOKYO」もオープンイノベーションプラットフォームだ。「YNKエリアの強みをイノベーションの観点で考えると、大企業や老舗の企業とスタートアップが『ご縁で繋がる』というキーワードが浮かび上がり、その仮説をもとに完成したのが2月に発売されたForbes JAPANの別冊『ようこそ、世界に誇る縁(Enishi)エコシステムへ』です」と、モデレーター・藤吉が説明する。
トークセッションでは、Forbes JAPAN編集長の藤吉雅春がモデレーターを務めた

トークセッションでは、Forbes JAPAN編集長の藤吉雅春がモデレーターを務めた

では、イノベーションを創出する場やまちの解とは、どこにあるのだろうか。

約44万社を対象に文部科学省が行ったイノベーションに関する調査では、「イノベーション活動を実行している」と回答したのは49%、そのうち商品やサービスを市場投入できたのは10%だったという結果があるという。

その結果を受けて、太刀川は「そもそもイノベーションとは、偶発的に起こるものと捉えるべき」であり、能動的に起こせるものではないと指摘すると、入山も「イノベーションを起こそうとする会社ほどイノベーションは起こらない。相対的にやっている中で出てくるものだ」と続く。ふたりは「イノベーション活動」という言葉に、違和感があると訴える。

また、企業の中でイノベーションが起こらない要因を聞いたアンケートでは、「自社内の人材不足」「優先事項」「自己資金不足」といった理由が挙げられたという結果に対して、「イノベーションは偶発的に起こるのが前提とするならば、ビジネスの中に偶発性を取り入れる努力をすれば発生確率は上がる。それを取り入れる仕組みがないことが根本的要因ではないか」と太刀川は分析する。
YNKエリアについては、山本山のリブランディングを担当するなど、造詣の深い太刀川英輔

YNKエリアについては、山本山のリブランディングを担当するなど、造詣の深い太刀川英輔


これを受けて入山は、「私たちの研究では偶発性を『戦略的無駄』と表現する。その無駄をつくるには『縁(えにし)』つまり人のつながりが必要だ」と本セッションのテーマにイノベーションのヒントがあると続ける。

入山によれば、ソーシャルネットワーク研究によるアンケートにおいて、アメリカと日本でビジネスの成功の理由を尋ねるとアメリカでは「人脈」、日本では「運が良かった」という回答が上位を占めたという。

「実はこの回答は、いずれも『ご縁』と言えるのではないでしょうか。それをアメリカ人は『人脈』といい、日本人は『運が良かった』と表現する。我々が『運が良かった』という時には、『(運良く)誰かに助けてもらえた』というニュアンスが含まれることが多々あります。それは人とのご縁による結果とも言えますよね。アメリカ人も日本人も、人とのご縁によって成功を収めてきたことに変わりはない」(入山)

つまり、国民性による捉え方こそ違うものの、イノベーションや成功の根底には、人のつながりにあることは万国共通であるという話だ。これに太刀川も「言い換えれば『必然的偶然』となる。ご縁で言えば『奇遇ですね』となる状態でしょう。その意味で、偶然の変異から始まるけれど、結果的に必然性を伴った適応へと至る『進化』とイノベーションは似ている」と自身の著書『進化思考』での進化の考え方も織り交ぜつつ、同調する。

では、太刀川の述べる偶然性も必然性も備わった状況を生み出すようなイノベーションの実装や結果を出すためには、ビジネスパーソンや経営者が最も意識すべきことは何か。その答えを、両者共に「ぐちゃぐちゃ」という言葉を用いて多様であることの重要性を説明する。
 当日はフィリピン・マニラと中継を繋いで、入山章栄が参加した

当日はフィリピン・マニラと中継を繋いで、入山章栄が参加した


太刀川は「多様というのはさまざまなものが同時に存在している状態のことだと言える。これはイノベーションを生みやすい人の経験にも言えることで、ひとつの組織や状況だけにとどまらないことが大事なのではないか」と話すと、入山も「イノベーションの原石はまさに多様性だ。既存の知と別の知が組み合わさることで生まれる。多様な人がぐちゃぐちゃに混在していることが大事」と強調した。

「組織やビジネスの課題は、選ばれたものがそのまま残るといわゆる多様性が減るということになる。多様性を意図的に生み出すことが必要で、そのひとつが『まち』だ。まちには面白い人が集まってくる。YNKエリアには高層ビルと雑居ビルが混在し、スタートアップも大企業もあり、よいカオス状態にあるまちだ。天ぷらや寿司など食の美味しさも多様な人が集まる圧倒的な優位性につながっている」(入山)

YNKエリアがエコシステムとしてバランスのとれたまちだという入山の指摘に対して、太刀川もこう続ける。

「YNKエリアはおいしい店が集まってて、長い歴史もある。これは多様な店の中から勝ち残って美味しい店が生き残ったということだ。これと同じような現象を、ビジネスや商品など食以外にも様々な領域で誘発させられれば、YNKはますます複合的なクオリティを備えた場所になるだろう。

YNKは、日本を代表する場所。我々のこれからを占う場所でもある。江戸というまちはかつてサステナビリティを徹底して都市を回復させた場所であり、それが伝われば海外からもかっこいいまちと評価される可能性がある。今後もケーススタディになるまちになっていってほしい」(太刀川)
会場には多くの参加者が集まり、トークセッションの内容に真剣に耳を傾けていた

会場には多くの参加者が集まり、トークセッションの内容に真剣に耳を傾けていた


最後に、YNKエリアのイノベーションに期待するもうひとつの理由として、入山が「味覚・嗅覚・触覚」の重要性についても加える。

「コロナ禍で人々の生活が変容し、オンラインによるコミュニケーションの模索が一気に進みました。五感のうち視覚と聴覚については、すでにデジタルで事足りるようになったと思います。ただ、味覚・嗅覚・触覚については、デジタル化が難しい。しかし、信頼関係をつくる上ではこの3つが非常に大事なんです。打ち合わせ自体はオンラインでできたとしても、本当に重要なプロジェクトを共に進めていく際には、きっと酒を飲み交わして、おいしいものを一緒に食べると思う。一緒においしいものを食べることはイノベーションを起こす上で大事です。ぜひ、味覚・嗅覚・触覚が使って『縁』をつくっていってほしい」(入山)

第2部の「食」を通したネットワーキングを価値ある時間にしてほしいと、参加者へ願いが伝えられた。

人とのつながりやまちの歴史を「食」で実感する 

「場づくり・まちづくり」の観点で太刀川、入山がそれぞれの知見から語ったイノベーションを生み出す考え方は多くの参加者を惹きつけた。トークセッションを終え、第2部は東京都主催のグローバル・スタートアップ・イベント『City-Tech.Tokyo』のコラボレーション企画として『宝物絶品グルメNIGHT in YNK』(企画:にっぽんの宝物)が開催され、ネットワーキングの時間が設けられた。
「にっぽんの宝物」代表兼総合プロデューサーの羽根拓也

「にっぽんの宝物」代表兼総合プロデューサーの羽根拓也</ p>


企画をした「にっぽんの宝物」は、全国の商品発掘、国内外へ紹介、販売支援を行う地方創生プロジェクトを行なっている。代表で総合プロデューサーの羽根拓也から地方の隠された宝物として、プロジェクトで手がけたさまざまな「食」の名品が紹介され、参加者にふるまわれた。


 
イベントに参加していた、サイボウズ 執行役員の中根弓桂に話を聞くと、「YNKエリアはさまざまな人が集まるまちだと認識していたが、集まりやすいまちの理由を知ることができ、どんな場でも応用できることだと感じました。また、イノベーションが起きる場のひとつとして、『食』の場についても共感を覚えましね。当社はオフィスづくりに力を入れていて社内にキッチンスペースをつくっているのですが、正しかったんだなと。そこで共通の話題で盛り上がることで楽しさや一体感が生まれる。改めて五感の大切さを感じられる時間でした」と、参加を喜んだ。
 Forbes JAPAN 3月号別冊にも登場いただいたサイボウズ 執行役員の中根弓桂。トークセッションの内容を聞き、「サイボウズの本社をYNKに移動させた理由に確信がもてた」と話してくれた

Forbes JAPAN 3月号別冊にも登場いただいたサイボウズ 執行役員の中根弓桂。トークセッションの内容を聞き、「サイボウズの本社をYNKに移動させた理由に確信がもてた」と話してくれた


愛知県豊田市から参加したという藤田医科大学 連携地域医療学 助教で、総合診療科・コミュニティドクターの近藤敬太は、疾患だけでなく患者の人生までみるまちづくりにも関わる医師として活動している中で、イノベーションが起こる場に興味関心があり参加したと言う。「特に『味覚・嗅覚・触覚』の話には感銘を受けました。医療の世界でもオンライン診療が進んでいますが、信頼関係は画面よりも直接の触れ合いによって得られる情報で生まれるものだと実感しています。そこを再認識したイベントだった」と晴れ晴れとした顔で感想を語った。

同行していた同大学連携地域医療学 助教で、藤田総診プログラムチーフレジデント・次世代医療プロジェクトリーダーも務める医師で保育士の中込雅人も「印象的だったのは『イノベーションはぐちゃぐちゃした場で生まれる』という言葉。まさにこのイベントも多様な人が参加している。『医学×何か』を生み出すきっかけにしたい」とふるまわれた料理に舌鼓をしながら、交流を楽しんでいた。
藤田医科大学の近藤敬太氏(右)と中込雅人氏(左)。以前は京橋エリアの医療機関に勤務していたというふたりは、医療にも共創によるイノベーションが大事だと語ってくれた

藤田医科大学の近藤敬太氏(右)と中込雅人氏(左)。以前は京橋エリアの医療機関に勤務していたというふたりは、医療にも共創によるイノベーションが大事だと語ってくれた


本イベントを通して、参加者たちは人と人が生み出す「縁(えにし)」によって生まれるイノベーションを体感したはず。明日から活かせるビジネスのヒントやエッセンスが散りばめられた有意義なイベントとなった。


【イベントの様子はこちら】

Promoted by 東京建物 / Text by Asuka Kusano / Photographs by Yoshinobu Bito / Edit by Miki Chigira

連載

ようこそ、世界に誇る縁(えにし)エコシステムへ