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2023.03.29

経営者に伝えたい「若手育成への覚悟」

2019年に施行された働き方改革関連法を皮切りに、日本企業は労働時間削減を始めとする労働環境改善へと舵を切った。しかしその結果、意外にも有望な若者が離職するという事態が起きている。働きやすさは担保された一方で、若者は「ゆるい職場」に対し、自分の将来を案じている表れとも言える。そんな中、エン人材教育財団は、若手を「どんな環境でも活躍できる人材」に育てる企業にスポットライトを当てる「CSA賞」を創立。正しい環境下で“若手を鍛える”重要性、そして経営者が若手を育てる決意を持つことの重要性について、審査員を務める2人に話を聞いた。

「これからの優秀人材」を増やす採用・育成のノウハウはこちら:「次世代型人材戦略

日本企業に蔓延する「やさしさ競争」

「意欲ある若者の成長するチャンスを奪っているのではないか」と、企業の現状を危惧している者がいる。

エン人材教育財団の理事長で、エン・ジャパン創業者でもある越智通勝(以下、越智)と、一橋大学 ビジネススクール 国際企業戦略専攻 客員教授の名和高司(以下、名和)だ。2人は、20代に薦めたい「次世代型人材」創出企業を表彰する「CSA賞」で、審査員を務めている。

企業は働き方改革の名のもと、無駄をなくし、「働きやすさ」を追求しているのが、今の風潮だ。一方で、「働きがい」についてはどうだろう。

2023年1月にエン人材教育財団は、転職経験のない社会人を対象に「働き方改革関連法施行以前・以後の職場環境の比較調査」を発表。働き方改革関連法施行以前に社会人1年目だった26歳以上(大卒・転職経験なし)に会社の風土について聞いた。

すると、入社1年目に比べて現在の会社の風土が「働きやすいが、働きがいがない」と答えた割合は22.4%から31.8%と増加した。つまり、日本の企業の働き方は、働き方改革関連法施行以後、「働きがいがない」ものへと転がり始めている。


「現在の企業は若者にとても気を遣う。働きやすさばかりが重視される風潮はおかしい。配慮は大事だが、遠慮は必要ない。本質的に何が大事なのかを忘れているのではないだろうか。これからの日本を支えていく存在となる若者が、働きがいを感じることが重要だと考えています」(越智)

仕事は人を育てるフィールドである

名和は、自らが教鞭をとる一橋大学の学生と接していて感じることがあるという。

「私が所属するビジネススクールには意欲の高い若者が多く集まっています。彼らはできるだけチャレンジングな環境で働くことを望んでいます。しかし企業がゆるい方向に進むことで、こうした有望な若者の成長機会を奪うだけでなく、30代以降の仕事に対するマインドにも悪い影響を与えます。これは絶対に避けなければなりません」(名和)

20代の若者を困難な現場に体当たりで挑戦させることは、経験や達成感、時には挫折を経て、自らの成長につながる。そのような人材が活躍することが、企業を成長へと導く。だからこそ「あえて若者に挑戦の機会を与え、実績を上げている会社を表彰したい」という思いがCSA賞の根底にあると2人は口を揃える。

CSA賞審査員・一橋大学ビジネススクール国際企業戦略専攻 客員教授 名和高司

CSA賞審査員・一橋大学ビジネススクール国際企業戦略専攻 客員教授 名和高司


CSAとは「Career」「Select」「Ability」を掛け合わせた造語『CareerSelectAbility®』(キャリア自⼰選択⼒®)の略称だ。その名を冠したCSA賞の選定基準は3つ。

1つ目は「20代人財輩出性」。若いうちからどこでも活躍できる人材を育て、その人材が社内で活躍していること。2つ目は「本業主観正義性」。業界や社会に対する独自の問題意識を持ち、その想いをかたちにしようとしていること。そして3つ目は「収益性」。一定以上の収益性を継続的に担保していることである。

「20代から鍛えられる環境があると同時に、本業そのものに主観正義性が伴っているか、そして収益性にもこだわっているか。以上の点に注目して選出しています」(越智)

CSAが提示する若者に必要な4つの職場環境

では、若者は社会で活躍するために何を会得するべきなのか。

「CSA」とは、様々な選択肢の中から自分が望む道を選べるほどの力のことをいうと、エン人材教育財団は定義している。CSAで唱える実力とは、転じて、どんな環境に置かれても活躍できるだけの力を示す。一般的に言われるEmployabilityは「雇用されうる力」という受動的な意味だが、CSAは「自らキャリアを選択する」という能動的な意味が込められている。

「社員が『どこでも活躍できる力』を身に付ければ、環境変化が激しい現代の経営において非常に頼もしい存在になります。『社員にCSAを身に付けさせてしまったら、社外に出て行ってしまうのではないか?』と危惧される経営者の方もいますが、そうではありません。どこでも活躍できる優秀な人材が、それでも社内に残って働きたいと思える会社を創ることが、経営者の仕事です。優秀な社員から選ばれ続ける会社であろうと決意する。それが経営者にとって良い緊張感になるのです」(越智)

CSAは自己変革性や多様受容性、主観正義性などを含む7つの「考え方」と、他者活用力や新規アイデア創案力、問題分析力などを含む20の「能力」、この2つを高める4つの「環境」で成り立っている。この4つの環境が、CSA賞の審査項目「20代人財輩出性」の条件である。

(1)社内外の競争が激しく、成長基調で活気がある
(2)20代からチャレンジングで困難な非定型業務を求められる
(3)性別、国籍、学歴、在籍年数に関係なく、実力で正当に評価される
(4)本業の商品・サービスで、自社独自の「主観正義性」を実感できる

詳細(CSAについてはP17~21):「次世代型人材戦略」

詳細(CSAについてはP17~21):「次世代型人材戦略」


社内外から適度なプレッシャーがあり、若いうちから実力より難易度の高い仕事を任され、成果が正当に評価される。さらに家族や親友にも薦められる商品・サービスを扱い、その社会性の高さに誇りが持てる。これこそが若者が成長・活躍するためにあるべきものだとエン人材教育財団は提示する。

この4つの環境に身を置くことで、「考え方」と「能力」がより高まっていく。越智は、「能力はもちろん大事だが、特に大切なのは考え方であり、その中でも『心を高める(主観正義性と自発利他性)』が最も大切だ」と語る。

「『マネジメントの父』と称されたピータードラッカーや『投資の神様』と呼ばれるウォーレンバフェットも同じように言っていますが、活力や知力があったとしても、人間性、すなわち『心を高める』ことができていない人を、重要なポジションに登用してはいけません。活力や知力がなければ論外ですが、人間性に欠ける活力と知力はいずれ組織に大きな損害をもたらします。最終的にビジネスパーソンの価値は人間性で決まると思います」(越智)

越智の話に大きく頷く名和は「生き方が多様な時代だからこそ、人間として本来あるべき本能を大切にする必要がある」と続ける。

「社会的動物である人間は、自分の周りだけでなく、そこから広がる大きな関係性を自覚することができる。こうした想像力があれば、自分さえよければいいという発想ではなく、利他的に動くことはごく自然なこと。大切な人や社会とのつながりを再認識できれば、やりがいを持って仕事をすることができる」(名和)

2022年度、第3回CSA賞を受賞したのは次の2社。

20代から大きな役割やプロジェクトを与える風土と、本部ビジョン(主観正義性)の浸透を評価された豊田通商 アフリカ本部。そして20代から経営者視点を持ち、多くの挑戦ができる環境と、ソーシャルビジネスでありながら収益に対するこだわりの強さが認められたボーダレス・ジャパンである。

「豊田通商アフリカ本部の若者は、アフリカという先が見通せない厳しい環境の中で本気で仕事に邁進している。またボーダレス・ジャパンの若者は、収益化するのが難しい社会課題に向き合い、黒字化を達成している。こうした経験はまさに学校では教えられないこと。多くの企業は受賞企業の取り組みをぜひ参考にしてほしい」(名和)

今こそ若者を鍛え、若者を生かす国に

CSA賞審査員 エン人材教育財団 理事長 越智通勝

CSA賞審査員 エン人材教育財団 理事長 越智通勝


「鍛えるとは、叱ることでも長時間労働を強いることでもない。若さに期待を込め、少し高い要望を出し続けること、チャレンジングな仕事を与えることです。受賞企業が、成長を求める20代の人々にとって憧れの企業となり、多くの企業にとってのロールモデルとなることを願っています」(越智)

「三つ子の魂百まで」「鉄は熱いうちに打て」など最初の数年が肝心だという格言があるが、こうした考え方は時代錯誤だと捉えられるかもしれない。しかし仕事に対し、まっさらな状態である20代に多くの経験をさせることが、30代、40代に大きなことを成し遂げるための土台を築くことになるのもまた事実だ。

「経営者は、日本の国を良くするために若者を鍛えていってほしい。それはプロの組織だからこそできること。経営者に、その使命感を持ってほしいと思っています。社員に対し信念を持って厳しくする、それは若者たちの未来のため。愛情があるからこそ厳しくするのが我々経営者の役目です。同じ志を持つ経営者の皆さんには、ぜひCSA賞にエントリーいただきたいです」(越智)


CSA賞HP:https://csa-award.or.jp/
「これからの優秀人材」を増やす採用・育成のノウハウはこちら(CSAについてはP17~21):「次世代型人材戦略」
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越智 通勝◎一般財団法人エン人材教育財団理事長。求人広告代理業である株式会社日本ブレーンセンターを1983年に創業後、就職・転職情報サイト「縁」エンプロイメントネットの運営を開始。 2000年に同事業部をエン・ジャパン株式会社として独立させ、2008年代表取締役会長、2022年3月に取締役会長に就任。一般財団法人 エン人材教育財団を2011年に設立。

名和 高司◎一橋大学ビジネススクール国際企業戦略専攻客員教授。東京大学法学部卒。三菱商事に入社後、ハーバード・ビジネススクールにてMBA取得。日本人として2人目の「ベーカー・スカラー」を授与される。その後、マッキンゼーにて約20年間コンサルティングに従事。自動車・製造業分野におけるアジア地域ヘッド、ハイテク・通信分野における日本支社ヘッドを歴任し、2010年6月より現職。

Promoted by 一般財団法人 エン人材教育財団 / text by Rikako Ishizawa / photographs by Daichi Saito / edit by Aya Ohtou (CRAING)

連載

次世代を担う若手人材育成の秘訣─CSA賞─

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