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2023.03.06

オープンイノベーションの存在感が増し、身近になったいま、スタートアップはどのように向き合えばよいのか|e-book無料配信中

第4回日本サービス大賞を受賞したオープンイノベーションプラットフォーム「AUBA」を提供し、多くの企業のマッチングとコンサルティングを実践してきたeiiconの代表取締役である中村亜由子。「起業の科学 スタートアップサイエンス」の著者であり、日本、シリコンバレー、東南アジアなどのスタートアップ事情に精通しているユニコーンファームの田所雅之。このふたりが、スタートアップにおけるオープンイノベーションの意義や留意点について語り合った。

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オープンイノベーション成功の鍵は正しい目的設定


中村亜由子(以下、中村):岸田内閣が発表したスタートアップ育成5カ年計画“3つの柱”では、スタートアップ創出に向けた支援、そして“オープンイノベーション”も柱として掲げられています。

スタートアップの創出・育成の文脈においてもオープンイノベーションが注目されている今、スタートアップといえば「起業の科学」でおなじみの田所さんとともにお話を進められればと思います。

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岸田内閣が発表したスタートアップ育成5カ年計画“3つの柱”

1. スタートアップ創出に向けた人材・ネットワークの構築

2. スタートアップのための資金供給の強化と出口戦略の多様化

3. オープンイノベーションの推進
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田所さんには、本日、国内のスタートアップ環境における数年の変化と、オープンイノベーション活用についてお伺いしたいと思っています。

田所雅之(以下、田所):例えば、10年前のスタートアップへの投資が600億でしたが、昨年は7800億円で、約13倍に膨れ上がっています。この7800億円の7割が人件費に使われている想定すると、人件費は5000億円。平均年収600万円と仮定すると8万人採用できる。それだけ、スタートアップに人材が流入し、以前に増してスタートアップ企業にメジャー感が出ているのは間違いないです。

ただ、コロナに象徴されるように外部環境が変化する中、消費者心理も変化しています。例えば、コロナが収束するとコロナ禍とはまったく違った時間の使い方になるはずです。今後もスタートアップが成長し続けるには、その時にどう対応していくのかというように、つねに市場に対して最適化し続けていくことが求められます。

つまり、顧客の課題を解決する製品・サービスを提供し続けていくプダクトマーケットフィット(PMF)をしていくことが大事で、その常に市場に対し最適化していくための手段としてオープンイノベーションは有効だと捉えています。

中村:なるほど。確かに人材が流入することで「スタートアップ」そのものがキャズムを超えてきている感覚はありますね。

AUBAは、オープンイノベーションできる相手を探せる場を提供しており、以前からスタートアップにも多くご活用いただいていましたが、この1、2年でさらに活用が増えてきています。

田所:ビジネスモデルによって一概には言えないのですが、オープンイノベーションという手段は、イノベーションを生むための有効な手段であることは間違いないと思いますからね。

その時にポイントになるのが自社の目線だと思います。スタートアップの成功を定義するのは難しいですが、PMFをして数億円の売り上げを上げることなのか、それより先の上場することか、それとも上場後も成長し続けて消費者の行動変容を起こせるような企業になるのかなどいろいろあると思います。そうした目指すべきゴールを明確した上で取り組むことが必要でしょうね。

中村:おっしゃる通りですね。スタートアップとしての成功の定義は非常に難しく思いますが、大目的として言語化しておく必要性はあるように感じます。

そのうえで、大目的の到達に至るまでのマイルストーンを設計し、その都度のタイミングを細分化して考え目的を設定していくことも大切ですよね。

AUBAではオープンイノベーション成功の鍵は、正しい目的設定にある点はスタートアップの方々にお伝えしています。さらにスタートアップの事業フェーズによりある程度、実践の目的も分類できると考え、各フェーズにおけるオープンイノベーションの実践目的を「型化」し、コンサルティングも提供しています。

事業フェーズでオープンイノベーションの目的は変化する



中村:
AUBAでは、スタートアップの事業フェーズを「プレシード」「シード」「プレシリーズA」「シリーズA」「シリーズB」「シリーズC」の6段階に分類して、それぞれのフェーズでのオープンイノベーションの目的や共創パートナーを想定しています。こうした各フェーズでの留意するポイントなどを確認したいと考えています。

プロダクトの開発前に当たる「プレシード」はオープンイノベーションの積極活用は対象外と設定しています。まず、自社のプロダクト開発に注力しなければならない段階だからです。逆に「シード」からは、自分たちの事業やソリューションが市場に受け入れられるのかを試す、実証の場としての有効性を伝えています。

田所:確かに「シード」は実証する場のリソースや、資金を持っているCVCや事業会社ととの共創は必要ですね。

一方で、その時に気をつけたいのはスタートアップ自身が自分たちを過大評価しないこと。どうしても「自分たちはすごいことをしている」という勘違いをしがちになります。しかし、意外と自分たちのバイアスがかかっていてマーケットにフィットしないことも多いので留意してほしいですね。つまり、そのプロダクトは汎用性があるのかという視点です。

このことは次のフェーズである「プレシリーズA」や「シリーズA」でもいえることで、ちゃんとマーケットに最適化しているのかを冷静な視点から捉えてほしいですね。

中村:確かにそうですね。共創相手が大企業である場合、一度GOサインが出たモノに関しては、実証中に懐疑的になったとしても、途中でプロジェクトをストップすることなくやりきる傾向にあるように思います。これは実証という点でしっかり検討を進められればよいことも多い大企業の特性だと思いますが、プロジェクトが継続することをよいことに、実証の結果を見誤ったり、深く検証せずにスタートアップが「このままで大丈夫」と思ってしまったりするのは危険ですよね。

次の「プレシリーズA」では、一定プロダクトが商流に乗り始めるタイミングを想定しており、ビジネス領域によるので一概には言えませんが、目安として事業規模が2~3億円程度からの段階を想定しています。

ここでは事業を軌道の乗せていくためのパートナーとして、例えばサプライチェーンの改善や販路の拡大、ソリューションのパワーアップ・改善など、自社で保有していないリソースやノウハウを持つ企業との共創は有効だと考えています。

田所:
ビジネスモデルにより多少の違いはあるでしょうが、有効な共創のあり方ですね。例えば、ベースフードは1食で必要な栄養素がとれる「完全栄養食」というコンセプトのパスタやパンを開発したスタートアップですが、2年前にファミリーマートに商品を置いて一気にメジャーになりました。ファミリーマートというチャネルを得たことが事業拡大につながった。当然、自社でサプライチェーンを構築していたら、時間もかかるし、コストもかかるわけですから、あそこまで急拡大することはなかったでしょう。

中村:まさに自社にないリソースを共創で補い、事業を加速させた事例ですね。

「シリーズB」くらいになるとオープンイノベーションを有効に使えているスタートアップは多いように感じます。資本業務提携などで事業を加速させている事例も目立ってきているかと。

「シリーズC」以降になるとスタートアップといえど、しっかり拡大・成長して次の成長戦略として新規事業を考えるフェーズに入っている企業になりいますので、新規事業を社外のスタートアップや、大企業、官公庁と共創していくケースが考えられると思います。

田所:スタートアップの経営者は、成長フェーズによって求められることが変化してきます。初めは起業家、そして事業家、次が投資家です。スケールして、いよいよ上場手前になる「シリーズB以降」においては投資家の視点を持つことが大事です。自社をポートフォーリオで見た時に、「今後はどの分野が伸びるのか」という目線から新規事業を考えるということです。新規事業は、新しい株主がいない上場前に取り掛かった方がスムーズに進むというメリットもありますから。

ただ、この規模になると、さすがに社長一人ではすべてを見ることは難しい。アライアンスができるCOOや役員を入れて担当させる体制にすることもポイントです。また、最近は成長したスタートアップが後発のスタートアップに投資するというケースも増えており、先輩が後輩を支援するという好循環が生まれています。

身近になった日本のオープンイノベーション


中村:ここまで田所さんと成長フェーズに沿って、社外との共創のあり方、そしてオープンイノベーションをする際のポイントなどを話してきました。田所さんからご覧になってスタートアップのオープンイノベーションはどんな状況にあると捉えていますか?
 
田所:まず挙げられるのが人材の流動化です。冒頭に申し上げたように多くの人がスタートアップで働いています。総合商社や金融機関など大企業からスタートアップに転職した人も多く、それだけメジャー感も出てきています。つまり、大企業の論理や商習慣を知っている多くの人がスタートアップで働いている。だから大企業との共創もしやすい環境になりつつある。

また、「シリーズB以降のスタートアップ」の新規事業でのアライアンスで担当する役員などを大企業出身者が担当するなど適材適所で活躍できる体制構築が重要になると思います。

中村:確かにAUBAを利用するスタートアップには大企業出身者も増えています。また、以前に比べて、社内情報を開示することを厭わない傾向も強くなっています。そういう意味ではオープンイノベーションはこれからさらに活性化すると感じています。

田所:AUBAのようなプラットフォームが生まれたことでオープンイノベーションがかなり身近になったと思います。例えば、私が共創相手に探そうと大企業にアポ入れしてもなかなか会えないと思うんです。ところがAUBAがあることで気軽に会えるようになった。しかもプロフィールで共創に関する詳細情報もわかるので相手を選びやすいなど使い勝手もいい。これからもどんどんスタートアップの他企業とのマッチング支援をしていただき、日本のイノベーション創出に貢献していただきたいと思います。

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中村亜由子(なかむら・あゆこ)◎代表/founder。2015年「eiicon」事業を単独で起案創業し、パーソルグループ内新規事業として、リリースを果たす。18年よりcompany化。現在は、年間60本以上のイベントにおいて講演・コメンテーターなども務め、多くのアクセラレータープログラムのメンター・審査員としても幅広く活動。エンジェル投資家として複数のスタートアップに投資・支援もしている。

田所雅之(たどころ・まさゆき)◎ユニコーンファーム代表取締役CEO。関西学院大学大学院経営研究科 客員教授。日本と米国シリコンバレーで合計5社を起業してきたシリアルアントレプレナー。国内外のスタートアップ数社の戦略アドバイザーやボードメンバーを務めながら、事業創造会社のブルーマリンパートナーズの社外取締役も務める。累計20万部以上を売り上げた「起業の科学」の著者である。
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Promoted by eiicon / text by Tetsuji Hirosawa / Photographs by Yuji Kanno / edit by Hirotaka Imai

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