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2023.01.16 08:45

廃棄物処理に価値を見いだす、元マッキンゼーの敏腕経営者

若きバンダー・アークは、リパブリックの当時のCEOドン・スレイジャーを相手に、ゴミ運搬業者への請求料金の大幅値上げを提案した。新しい廃棄場を開業するには高額の費用が必要になるからだ。高い料金は払えないという業者は、ほかの廃棄場を探せばいいし、値上げ後の料金でも支払える業者は、買収先候補になるだけの収益性があるということだった。最大の競合「ウェイスト・マネジメント」でさえ、リパブリックのレベルにまで料金を引き上げたのは19年になってからだったという。

業界1位のウェイスト・マネジメントと2位のリパブリックは、いずれもビリオネアのウェイン・ハイゼンガ(18年没)が立ち上げた。ハイゼンガは同業他社の買収を重ね、1971年にウェイスト・マネジメントを上場させた。84年に同社を去ると、自動車販売のオートネイションなどを経営。オートネイションから廃棄物処理事業を分離独立、上場させたのがリパブリックだ。



成長、そして収益確保を見据えたバンダー・アークのアプローチは、22億ドルでのU.S.エコロジー買収にも表れている。U.S.エコロジーは有害廃棄物処理の市場シェアでトップの36%。化学廃棄物、医療廃棄物、低レベルの放射性廃棄物用の処理場を5カ所運営している。有害廃棄物の発生量が一般ゴミと比べハイペースで増えている一方で、新しく有害廃棄物用の処理施設を開設することは不可能に近い。買収前株価の70%のプレミアムがついても、バンダー・アークに躊躇はなかった。市場を制し、廃棄料金を引き上げ、利ざやを拡大する力を手に入れようというのだ。


リパブリック・サービス◎米国の廃棄物処理会社。41州でゴミ収集を行い、198の廃棄場、71のリサイクルセンターを展開。残飯から採掘ゴミの石、プラスチックゴミまで、可能な限り資源として活用、利益を上げている。業界1位のウェイスト・マネジメントとともに、ビリオネアのウェイン・ハイゼンガ(故人)が設立した。1998年にNY証券取引所に上場。

ジョン・バンダー・アーク◎リパブリック・サービスの社長兼CEO。ハーバード大学で法学博士号を取得。2009年からマッキンゼー・アンド・カンパニーのパートナーとしてリパブリックを担当した後、13年に入社。マーケティングやオペレーションの責任者として経営に大きくかかわり、19年から社長、21年から現職。ゴミのもつ価値に早くから着目してきた。

文=クリス・ヘルマン 写真=Courtesy of Republic Services 翻訳=フォーブス ジャパン編集部 編集=森 裕子

この記事は 「Forbes JAPAN No.100 2022年12月号(2022/10/25発売)」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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