業界1位のウェイスト・マネジメントと2位のリパブリックは、いずれもビリオネアのウェイン・ハイゼンガ(18年没)が立ち上げた。ハイゼンガは同業他社の買収を重ね、1971年にウェイスト・マネジメントを上場させた。84年に同社を去ると、自動車販売のオートネイションなどを経営。オートネイションから廃棄物処理事業を分離独立、上場させたのがリパブリックだ。
成長、そして収益確保を見据えたバンダー・アークのアプローチは、22億ドルでのU.S.エコロジー買収にも表れている。U.S.エコロジーは有害廃棄物処理の市場シェアでトップの36%。化学廃棄物、医療廃棄物、低レベルの放射性廃棄物用の処理場を5カ所運営している。有害廃棄物の発生量が一般ゴミと比べハイペースで増えている一方で、新しく有害廃棄物用の処理施設を開設することは不可能に近い。買収前株価の70%のプレミアムがついても、バンダー・アークに躊躇はなかった。市場を制し、廃棄料金を引き上げ、利ざやを拡大する力を手に入れようというのだ。
リパブリック・サービス◎米国の廃棄物処理会社。41州でゴミ収集を行い、198の廃棄場、71のリサイクルセンターを展開。残飯から採掘ゴミの石、プラスチックゴミまで、可能な限り資源として活用、利益を上げている。業界1位のウェイスト・マネジメントとともに、ビリオネアのウェイン・ハイゼンガ(故人)が設立した。1998年にNY証券取引所に上場。
ジョン・バンダー・アーク◎リパブリック・サービスの社長兼CEO。ハーバード大学で法学博士号を取得。2009年からマッキンゼー・アンド・カンパニーのパートナーとしてリパブリックを担当した後、13年に入社。マーケティングやオペレーションの責任者として経営に大きくかかわり、19年から社長、21年から現職。ゴミのもつ価値に早くから着目してきた。