この論文は、米国疾病対策予防センター(CDC)の研究者が執筆し、学術ジャーナルのJEMA Pediatricsに掲載したもので、1999年から2020年までの間の17歳未満の殺人被害者約3万8000人のデータを分析している。
それによると、子どもの殺人事件の発生件数は、2013年から2022年にかけて年平均4.3%で増加したが、2019年から2020年にかけては27.7%の急増となった。特に、著しい増加が見られたのがこの期間に16.1%の急増となった「少年」や、19%の急増となった「11歳から15歳」のカテゴリだった。また、6歳から10歳(5.6%)やヒスパニックの子ども(4.7%)、南部の子ども(6.4%)も増加していた。さらに、黒人の子供の殺人事件の件数は、2018年から2020年にかけて16.6%増加していた。
一方、「女児」や「幼児」、「1から5歳の子供」の殺人事件は、同期間にそれぞれ1.4%、1.3%、1%減少した。さらに、白人の子供の件数も0.7%減少した。
米国では先日、2012年に26人が死亡したコネチカット州のサンディフック小学校銃乱射事件の10周年の追悼イベントが開催された。バイデン大統領は声明で「議員には銃乱射事件を防ぐための道徳的義務がある」と述べた。
「子どもの安全に関しては、数多くの新たな措置が講じられているにもかかわらず、これらの悲劇的な事件は少なくなるどころか、近年ますます増えている」と論文を執筆した研究者は述べている。
今年5月にテキサス州ウバルデの小学校で発生した銃乱射事件では、児童19人と教師2人が射殺された。事件を生き延びた11歳の少女のミア・セリヨは、殺されたクラスメートの血を体に塗り、死んだふりをして過ごした後、亡くなった教師の携帯電話で警察に助けを求めて救出された。
バイデン大統領は6月に新たな銃規制法案に署名し、約30年ぶりに規制を強化したが、先週の声明では、銃乱射事件への対応の遅さに「社会的罪悪感」を持つべきだと付け加えた。今回の論文の研究者らは、銃による子供の殺人事件の増加の背景に、コロナ禍でさらに拡大した社会の格差があることを指摘した。
(forbes.com 原文)