しかし、ウクライナ軍の反撃がウクライナにとって大躍進とロシア軍の急足での後退をもたらしたのに対し、ロシア軍の反撃は残忍で血生臭く、ウクライナ人よりもロシア人を多く殺しているようだ。ロシア軍にとってさらに悪いことに、領土を大して獲得していない。
3週間前、ロシア軍は分離主義派によるドネツク人民共和国の首都ドネツクの西側を攻撃した。目的は、ウクライナ人からドネツク州の全領土を奪うことだ。ロシア軍と分離主義派の連隊、ロシアの民間軍事会社ワグネル・グループの傭兵は、バフムート、シベルスク、パブリフカ、その他ドネツク西部の集落に展開していたウクライナ守備隊を攻撃した。
その攻撃は、ロシア軍とその同盟軍にとってうまくいっていない。米陸軍大将で米統合参謀本部議長のマーク・ミリーは11月16日「ウクライナ軍は非常にうまく機動防御を展開している」と記者団に述べた。
ドネツクの南西約40キロに位置するパブリフカで進行中の戦いは、ロシアの失敗した作戦の悲劇的な縮図となっている。ロシアの第155独立親衛海軍歩兵旅団、第40独立海軍歩兵旅団とその他の部隊は3週間にわたってウクライナ軍の第72独立機械化旅団を、戦前の人口2500人というパブリフカ村から退却させようとしているが失敗している。
パブリフカ村への攻撃において最初の数日だけでロシア海軍歩兵の300人もの兵士が死傷、または行方不明になっている。ウクライナの迫撃砲が無防備なロシア軍の歩兵を爆破し、ウクライナのミサイルがロシア軍の戦車を破壊し、ロシア軍ではその後数週間は損失が続いた。
ドネツク州の悪名高い分離主義者の司令官アレクサンドル・ホダコフスキーは、パブリフカ村はロシア海兵旅団にとって「溶鉱炉」だと表現した。海軍歩兵の司令官が、防衛線の要所でウクライナ軍を撃破して突破口を開くために、残っている兵力を集中させることができないことが問題だとホダコフスキーは指摘する。「計画の誤りが、不当な損失とわずかな成果につながった」とホダコフスキーは述べている。
ロシア軍がパブリフカの南端にまだ残っている可能性はある。それがホダコフスキーのいう「わずかな成果」だ。しかし、小さな村の数ブロックの占領は、ロシア軍の数少ない無傷の旅団のうちの2つの何百、何千もの兵士の命を犠牲にする価値はない。第155と第40の海軍歩兵旅団は、ピーク時にはそれぞれ3000人の部隊を率いていたが、もちろんこのような損失には長く持ち堪えられないだろう。
ウクライナの反撃が勢いを増し、ロシア軍の反撃に対する反撃は弱まっており、ロシア政府にとって見通しは暗い。「ウクライナ軍は成功に次ぐ成功を収め、ロシア軍はことごとく失敗している」とミリーは話した。「彼らは戦略的に負け、作戦的に負け、そして繰り返すが、戦術的に負けたのだ」
(forbes.com 原文)