パンデミックが世界経済に大打撃を与える直前の2019年にIPOに失敗し、昨年10月にニューヨークで上場したWeWorkは9月6日、シンガポールの金融街のラッフルズプレイス地区に最新の物件「WeWork 21 Collyer Quay」を正式にオープンさせた。この物件には、WTW(ウイリス・タワーズワトソン)と金融サービスプロバイダーのCapital Cがテナントとして入居する。
WeWorkのオーストラリア・東南アジア担当ゼネラルマネージャーのBalder Tolは、「当社はグローバル企業として年末までに完全な収益性を達成することを公言しており、シンガポールはその目標に貢献する中核的存在だ」と述べた。同社は先月、第2四半期の売上高が前年同期比37%増の8億1500万ドルに増加し、純損失が31%減の6億3500万ドル(約900億円)に縮小したと発表した。
Tolによると、シンガポールの他に、ロンドン、ニューヨーク、サンフランシスコ、シドニーがWeWorkの主要市場だという。
以前はHSBCが使用していた21階建ての高層ビルのWeWork 21 Collyer Quayは、同社にとってアジア太平洋地域で最大の施設で、総床面積は2万400平方メートル以上という。WeWorkにとってシンガポールはアジア太平洋地域における総オフィス面積の約半分を占める国で、14の拠点を置いている。
シンガポール政府は来年1月に、月収3万シンガポールドル(約300万円)以上を条件に、通常より長い5年間の滞在を認める新たなビザを導入する。これにより、優秀なグローバル人材の流入の増加が予想され、都心部のオフィス需要も伸びている。WeWorkのシンガポール市内の物件の稼働率は約90%で、グローバルの平均稼働率の72%を上回っている。
(forbes.com 原文)