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2022.09.30 16:00

グローバルの仲間と思い描く、都市の未来。メンバーが躍動するアンバサダープログラム

写真左から デロイト トーマツ グループ フィナンシャルアドバイザリー 波多野寛子/有限責任監査法人トーマツ 大庭沙紀/デロイト トーマツ コンサルティング 桑島美幸

2021年に始動したアンバサダープログラムは、世界各国でスマートシティビジネスを展開するデロイトのグローバルコミュニティ。14か国から集まった若手メンバーが議論を交わし、ナレッジを共有している。日本から参加する3名がプログラムのねらい、参画から得た気づきと学びと、今後の展望を語る。


各国のチームと知見を共有 グローバルの横串を通す

─2021年にスタートしたアンバサダープログラムはどのような取り組みでしょうか。プログラムのねらいと併せてお聞かせください。

桑島美幸(以下、桑島)
アンバサダープログラムは、デロイトのグローバルネットワークでスマートシティに取り組むスタッフ層、つまり若手メンバーが各国を代表して参加している会議体です。3カ月に1回程度でミーティングを開催し、ホストになった地域がそれぞれのプロジェクトについて発表し、参加している各国のメンバーとディスカッションを重ねています。

波多野寛子(以下、波多野)
グローバルに展開するデロイトは、そのスケールとネットワークが大きな強みです。私たち、各国から参加しているアンバサダーは先端の知識を共有し、それぞれの現場でまちづくりを実践するメンバーとグローバルネットワークをつなぐ役割を担 っています。

大庭沙紀(以下、大庭)
ミーティングでは、日本のスマートシティとはまったく異なるトレンドや、事例に触れることも多く、国内だとどのように応用できるんだろう、と思いを巡らせる面白さがありますね。スマートシティと聞くとビッグプロジェクトをイメージしがちですが、海外の先進事例を見ても、必ずしもそうではありません。既存のサービスインフラをベースにネットワーク機能を付与して、公共サービスを快適に提供する、といったシンプルな事例も多いんです。

波多野
スマートシティの領域において、海外が進んでいて、日本は遅れている......そんな先入観があるかもしれませんが、必ずしもそうではありません。スマートシティとは、何が正解なのか、答え合わせすることができません。ただ、グローバルのコミュニティで事例を知り、掘り下げていくことで、日本がどれだけの熱量でどこへ進んでいくべきかを考えることができます。

桑島
ある国のメンバーが発表して印象に残っている事例ですが、自分たちのオフィスを「スマートビルディング」として企画・設計するというプロジェクトがありました。まず、自分たちにとって働きやすい空間を定義し、そのゴールを目指してビル内のオフィスを考え、ITインフラを整備していくのです。スマートシティをぐっと自分ごととして捉え、考えていくという意味で、すごく興味深いプロジェクトでした。

大庭
もちろん、デロイトのメンバーファームが支援する世界各国のプロジェクトや独自の調査は、クライアントの機密情報などを除いて共有可能な範囲でグローバルで情報共有が図られたり、一般化されたノウハウとしてグローバルのデータベース等で整理されたりしています。ただ、膨大なアーカイブから目当ての情報を探し当てるのは容易なことではありません。しかし、アンバサダープログラムでは、それぞれのメンバーファームが共有を前提に情報を取りまとめ、プレゼンテーションします。プロジェクトの担当者の口から直接共有される情報の鮮度、精度は非常に高いものになるのです。スマートシティは常に知見をアップデートしていかなければならない領域です。継続的に、なおかつグローバルでナレッジを共有できるのは得難い経験です。

波多野
私たちもホスト国として日本のプロジェクト、テーマについて発表しましたが、これも大きなチャレンジでした。グローバルメンバーとディスカッションするにあたり、日本で実施している支援について桑島さん、大庭さんと連携して情報を集約し、そこで国内のデロイト トーマツの事例でグループ組織がどのような役割を果たしているのか、深く知ることができました。その後、自身の業務で自治体にコンタクトする際には、関係の深いデロイトチームに橋渡しを依頼することもあります。プレゼンに向けた準備を通し、国内の取り組みを俯瞰して見ること、また国内の連携を強化することにつながっています。

若手の学習と交流の場を広げるグローバルに開かれた議論空間

―皆さんはデロイト トーマツ グループの組織を代表してプログラムに加わっておられますが、どのような思いで活動していますか?

桑島
英語のスキルを生かしてチームに貢献したいと考え、このプログラムへの参加を決意しました。日本チームが英文で作成する資料の作成をサポートすることはもちろん、日本の事例に関する海外からの問い合わせ対応など、英語を駆使する機会には事欠きません。国内外の知見を集積し、積極的に発信・共有することでチームの力になれればと考えています。

波多野
桑島さんと同じく、海外のプロジェクトの事例に触れ、スマートシティの進化、深化を知ることに喜びを感じています。私自身、大学院で都市工学分野を専攻しており、より深い、最先端の事例を積極的に学んでいます。また海外メンバーとの交流では、画面越しであっても、何度も顔を合わせていると気心が知れてきます。顔が見える関係を今後にもつなげていきたいですね。

大庭
私も国をまたいで活躍できる業務にチャレンジしたいと思い、手を挙げました。コロナ禍のここ数年、海外との行き来は途切れ、グループ内でも直接のコミュニケーションは減りがちです。このプログラムは、私たち若手にとって、海外のスタッフとコミュニケーションし、情報を得られる貴重な機会です。

桑島
海外とのコミュニケーションだけではなく、国内でもいい関係ができていますよね。Future of Cities の活動は、デロイト トーマツ グループが一体となって進めています。このプログラムで大庭さん、波多野さんと協同し、日本チームのつながりもより強く、深くなりました。この連携を国内のプロジェクトにも発揮していきたいですね。



プログラム参加を足がかりに新たなビジネスを創り出していく

―アンバサダープログラムで得た知見、経験を今後のプロジェクトでどのように生かしていきますか?

大庭
これまで、まちづくりは個別分野の専門家や首長が決定権を持って進めてきました。しかし、現在のスマートシティプロジェクトはデータやITの活用が不可欠で、限られた人だけで進めることには限界があります。多分野のスペシャリストが意見交換し、知見を共有しながら進めていく必要があります。アンバサダープログラムのディスカッションには、多様な視点が求められるスマートシティ施策へのヒントがあります。今後の新たなまちづくりに生かしていきたいですね。

桑島
グローバルと日本を接続する橋渡し役として、アンバサダーはカタリストの役割を担っていますが、ここで得られた知見・ノウハウをプロジェクトに活用することもできるはず。いかに自分たちのチームに、クライアントに、そして社会に還元していくかが私の課題です。橋渡し役から、自らが提案、実行する立場へ―さらなる進化を目指します。

波多野
ミーティングを通し、課題先進国である日本の取り組みには海外から強い関心が寄せられていることを体感しました。だからこそ、これまでにないチャレンジもできるはずです。目の前のプロジェクトの枠にとらわれず新しいビジネスを創っていくこと、それに向けて専門性を高めながら常にアンテナを張り、刺激を得て自分のものにしていくために、アンバサダープログラムは最適な環境です。感度をさらに高め、今後も活動していければと思います。


本インタビューが掲載されている『Forbes JAPAN 9月号別冊 Future of Cities~新スマートシティ宣言』の紹介はこちら



波多野寛子(はたのひろこ)◎国内外のPPP・PFI事業における官民双方へのアドバイザリーサービスに従事。昨今はTOD(公共交通指向型開発)やスマートシティ等、都市開発分野における市場調査や戦略立案に関する支援に注力。都市工学分野の博士前期課程に在学。 

大庭沙紀(おおばさき)◎大学にて建築・都市計画・まちづくりを学んだ後、アートマネジメント会社、都市計画コンサルタント会社を経て入社。国や地方公共団体の他、不動産開発業者等のスマートシティ、まちづくりに関するコンサルティング業務に従事している。 

桑島美幸(くわじまみゆき)◎多岐にわたる分野・領域での業務経験を経て、官公庁・自治体や民間企業おける社会課題解決に資する支援業務や新規事業立案等に従事。特に行政×民間の連携によるオープンイノベーションや先端技術の実証実験にかかわるPMO業務を多数支援している。 


text by Yusuke Aoyama / photograph by Hiromichi Matono / promoted by デロイト トーマツ グループ

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新スマートシティ宣言