ボルボやメルセデス・ベンツの大株主としても知られるGeelyは6月13日、傘下のHubei Xingji Shidai Technologyを通じてMeizuの株式の79%を取得したことを発表した。アナリストは、MeizuがアンドロイドベースのOSのFlymeを、自社開発した点に注目している。
カウンターポイント・リサーチのアナリストのヤン・ワンは、「Geelyは、この買収を通じてMeizuのOSや知見にアクセス可能になり、自動運転の実現可能性に関する重要な洞察を最前線から得られるようになる」と述べている。
ワンはさらに、「自動車がより標準的なハードウェアになる中で、ソフトウェアの重要性が高まり、そこから得られるデータやエクスペリエンスがブランド間の重要な差別化要因になることは、すべてのプレーヤーが認めている」と述べている。
Geelyは昨年、台湾のフォックコンと製造ベンチャーを設立し、エレクトロニクス分野との連携にも取り組んでいる。
過去3年間で、家電の大手メーカーが電気自動車(EV)に進出する動きが起きている。例えばソニーは、3月にホンダと手を組んでEVを開発すると発表した。カウンターポイントのアナリストのソウメン・マンダル(Soumen Mandal)は、「かつて家電業界のリーダーだったソニーは、高度なソフトウェアとセンサーを武器に、自動車業界で頭角を現すはずだ」と述べている。
Geelyは昨年、9200ドルという低価格ながら300キロの航続距離を持つGeometry EX3というEVを発表した。さらに、昨年始動した同社のEVブランドZeekrはFlyme OSを搭載する可能性があるとされている。
スマートフォンメーカーのMeizuも、携帯電話以外の選択肢を模索している模様だ。ワンによると、2003年に設立されたMeizuの中国市場でのシェアは2017年には17%近くに達したが、現在は1%未満だという。
調査会社Strategy AnalyticsのNeil Mawstonは、「スマートフォンは未来の車への入り口になる。ドアのロック解除やエンジンの始動、コンテンツ配信など、様々な場面でモバイル端末が威力を発揮する」と述べている。
さらに、「GeelyとMeizuの取り組みはアップルを意識したものなのかもしれない」と、Mawstonは語った。「アップルが自社の車を発売すれば、それはiPhoneやApple Watchだけでなく、VR(仮想現実)やAR(拡張現実)を活用したものになるだろう。Geelyは私たちが思っている以上に先を見ているのかもしれない」と彼は続けた。