ビジネス

2022.06.06

カネ、人手より経営者に必要なものとは


道場破り型「B to P」


面白い事例がある。心臓ペースメーカーなどで知られるある米大手医療機器メーカーは、約2000社のサプライヤーに対して、自社への依存比率を決めているという。規定の比率を超えたら「切る」のだ。優等生的な下請けを求めているのではなく、自主独立を模索させる仕組みだ。取引先を増やすと経営も安定する。この取り組みは、いわば道場破りの他流試合をさせるようなものだ。業界内や地域内から出して、「外」に目を向けさせて、開発能力を磨かせるのである。L型が寄り添い型なら、G型は自分で評価をされに行くタイプと言える。

私が過去のスモール・ジャイアンツで提唱した概念に「BtoP」がある。Pはプロフェッショナルで、これはG型だ。世界的なPに食らいついて一緒に開発に取り組み、Pをパートナーにすることで世界市場を狙う。2019年のスモール・ジャイアンツでグローバル賞を受賞した、高山医療機械製作所がそうだ。世界屈指の脳外科医のもとに飛び込み、何度もトライ&エラーを繰り返しながら手術用のハサミやメスを開発。Pにその機能を評価されたことで、世界にいるフォロワーの医師たちに浸透していった。

和食の世界でも海外の超一流に評価されに行き、市場を広げる事例はある。

L型とG型のどちらが重要かというものではない。次の問いを胸に刻み続けることが大事なのだと思う。それは、「あなたに親身になってくれる目利きは何人いるか」だ。


KENICHI UCHIDA 内田研一◎IT、経営コンサル会社を経て2007年から経産省地域活性化支援事務局ジェネラルマネージャー。その後、波力発電ベンチャー等ファウンダー、経産省等の委員を多数歴任。19年より微細加工工業会事務局長、Small Giants Award 審査員長。

編集=フォーブスジャパン編集部

この記事は 「Forbes JAPAN No.092 2022年月4号(2022/2/25発売)」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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