この動きは、グーグルに脅威を与えることになるかもしれない。ニュースサイトThe Informationは、ネットフリックスの幹部が、同社の広告事業がフェイスブックやグーグルに対して戦いを挑むことになるかもしれないと懸念していると報じた。
グーグルは、大手ブランドが放送やケーブルテレビに費やす広告費を奪おうと躍起になっている。2020年に同社はプレミアム広告を「YouTube Select」としてリニューアルし、大手広告主向けに広告商品を統一した。YouTube Selectは、ブランドが安心して広告を出せるトップのクリエイターのコンテンツや、YouTube TVなどに、テレビCMに近い形で出稿することを可能にする。
一方で、これまで長年、広告なしの定額制モデルを採用してきたネットフリックスは、広告付きの無料配信に関心を示している。Hub Entertainment Researchの調査によると、消費者の57%はストリーミングサービスで多少の広告を許容できると回答していた。
ネットフリックスが広告を導入すれば、停滞していたサービスに新しい道が開ける可能性があり、同社がスポーツ中継に乗り出すことも想定できる。ヘイスティングスは昨年9月のドイツメディア「シュピーゲル」の取材で、将来的にF1の放映権の入札に参加するかもしれないと述べていた。
また、同社がPeacockのように膨大なライブラリーを活用したライブTVサービスに乗り出すことも考えられる。
マーケティング担当者も、ネットフリックスの広告事業に期待している。世界最大のメディアバイヤーの1つであるGroupMのグローバルプレジデントのブライアン・ウィーザーは、21日のCampaignの記事で、「多くのマーケッターが、ネットフリックスの広告を通じてインパクトのあるメッセージを発信し、消費者にリーチできると考えている」と、コメントした。
一方で、Crossmediaの投資主任のChristine Merrifield-Wehrleは、インサイダーの取材で、「この動きは、フェイスブックとグーグルにとって脅威となる」と述べた。
しかし、グーグルとネットフリックスが手を組むシナリオもあるかもしれない。先日の決算発表でヘイスティングスは、同社が広告ソリューションを自社で開発せずに、外部の企業に委託する可能性が高いと述べていた。
「我々はパブリッシャーとしてのポジションを維持し、広告のマッチングやデータの統合は外部の企業にに任せるというやり方が考えられる」と彼は述べていた。グーグルが、すでにこの件に関与していたとしても不思議ではない。