ブルームバーグの「ビリオネア・インデックス」によると、ロシアの富豪たちはウクライナ侵攻後のロシア株急落などによって資産を減らしたものの、彼らがもつ富の総額の国内総生産(GDP)比は3月3日時点でも15%超と、米国(15%弱)などよりも高い。侵攻前の2月23日時点では21%弱と米国(約14%)との差はもっと大きかった。
エコノミスト誌によれば、ロシアの富豪がもつ富の約85%はいわゆるクローニー(縁故)部門に由来するという。プーチンは長年、自身に忠誠を誓う経済人らとの関係を利用して権力基盤を固めてきた。そのひとりゲンナジー・ティムチェンコは英国から制裁を科され、ピョートル・アーベン、ミハイル・フリードマン、アリシェル・ウスマノフは欧州連合(EU)の制裁対象になっている。
超富裕層の富のGDP比は米国もかなり高いが、GDP規模が大きいこともあってロシアよりはやや低くなっている。ビリオネア・インデックスに名前のある世界の富豪500人のうち、35%は米国人が占めている。
ロシアや米国以外で超富裕層の富のGDP比が高いのは、スウェーデン(3月3日時点で約15%)やフランス(約14%)、インド(14%弱)など。これらの国では、資産額が1490億ドル(約17兆2000億円)にのぼるフランスのベルナール・アルノー(LVMHモエヘネシー・ルイヴィトン会長)など、富豪のなかでもとくに裕福な個人の存在が比率を高める主な原因となっている。
こうした突出した大富豪の少ない国は比率も低い傾向にあり、たとえばドイツは7%、英国は4%、日本は1.8%にとどまっている。
GDP規模で米国を追い上げる中国の比率も6.4%と、現時点ではそこまで高くない。ビリオネア・インデックスで中国人の資産額トップは飲料大手の農夫山泉を創業した鍾睒睒の740億ドル(約8兆5000億円)、2位が「TikTok(ティックトック)」を運営する北京字節跳動科技(バイトダンス)創業者の張一鳴の450億ドル(約5兆2000億円)となっている。