The Partner 01 海に潜り、生き物と会話する。そんな私の健康を支える「相棒」たち 二木あい

テレワークや成果主義の浸透により「自己管理能力」が問われている。

本連載「The Partner」では、長期スパンにおいて、「一流」であり続ける方々の自己管理の秘訣に迫る。その要となるのは、「長期スパンで磨き上げてきた心身の健康習慣」とその習慣を支える「相棒」である。

連載第1回は、「私たち人間は地球の一員であって所有者ではない」というメッセージを伝えるために海へと潜る「水族表現家」の二木あい。

「水中の魅力を伝える方法は一つに限らないから」と、時には撮影者として、またある時は自身が被写体として、水中世界と陸上世界の架け橋となるべく、今日も彼女は海に潜り続ける。

「まず自分がやらなければ、周りにも伝えられない。同様に自分自身が健康でなければ、どうして自然や環境を健康にすることができるだろう」と話す二木の生活習慣に注目した。

パイオニアであること、1日1日を大切にしながら長期スパンで考えること、などといった共通点を持つ大塚製薬のサプリメント、ネイチャーメイドの哲学との重なりと共に見ていこう。

Three balances

クジラと泳ぐ二木。水中では相手への警戒感や不安も全て伝わってしまうため、
コミュニケーションをとるのは非常に難しい。
(撮影:Darren Jew)

Three balances

自己管理に不可欠な三つのバランス

二木はフリーダイビング(素潜り)で洞窟の中を一息で泳ぐギネス記録を世界初のフィン無し、フィンあり両方で樹立したスペシャリスト。しかし陸に生きる私たちにとって、海は常に危険と隣り合わせの場所。肉体的にも精神的にも多大な緊張感が求められる場所に身を置いているにもかかわらず、彼女がまとう雰囲気はとてもヘルシーで軽やかだった。

健やかな心身を養うための習慣について尋ねてみると「夜はどうしても遅くなってしまいますが、いくら遅くなっても太陽が昇ったら起きるようにしています。深い眠りだからか夢も見ないし、どこでも寝れちゃう」と笑う。そんな習慣維持に不可欠なものとして、彼女は「頭と心と体」を挙げた。

「心と体が健康でなければいい仕事もできないし、効率も落ちる。人間は脳が発達しているから頭(脳)が自分自身を支配する二等辺三角形のイメージですが、そうではなく正三角形のように『頭と心と体』の三つのバランスが必要なんです。心で納得し、体が実感できれば、頭も理解し、どんな習慣も自然と取り組めるはず」

二木はビーガン(菜食主義)でもあるが、成分を厳密にチェックするのではなく、和食のベースになっているお出汁はOKにするなどといった独自のルールを設けている。一方で、人間の身体は消化に多くの酸素を使ってしまうため、素潜りの時は「貴重な酸素を消化に回す必要はない」と考え食事を摂らない。これらは二木が食事を義務として捉えず、自分なりの向き合い方をきちんと定めているからだ。

「心には本音があるし、体だって無理が続くと病気になってしまう。人間は脳が発達しているぶん考えすぎる生き物ですから、悪い方向への現状維持が続くと結果的に“自分自身”がすり減ってしまう。自己中心になれという訳ではありませんが、一番大事なのは自分の本音。水中で生き物達の些細な反応に注意を向けるのと同じように、自分自身に耳を傾け、尊重する。つまり自分を優しく愛することが、何よりの健康管理です」

Positive mind

笑顔でインタビューに答える二木

Positive mind

怪我で実感した
「ポジティブ」が心身に与える影響

ストイックな生活を続けているが「私は怠け者」と自称する二木。

「ここまでストイックに突き詰めなくていいんじゃないかと思うこともあります。けれど自分に嘘をつくようなやり方はしたくないし、継続の力を知っていますから」

「頭と心と体」での継続を実践する彼女が、中でも「心」に耳を傾けるのには理由があった。

二木は、一度潜水中に誤ってボートと接触し、頭を八針縫う怪我を負っている。水中から離れざるを得ず「次の仕事までに治さなければ」というプレッシャーもあった。しかし彼女は「できる限り笑っているようにしました」と明るく振り返る。ポジティブなムードに自分を置き、屋内でじっとすることなく外で太陽を浴び、足だけでも海に触れて過ごした。すると想定されていた半分の期間で傷が治り、怪我から約2週間半で海に戻ることができた。

「その時“ポジティブパワー”の強さを実感しました。物事はネガティブに捉えればどんどんネガティブになれるけど、たとえ困難に突き当たっても次へのチャレンジだと受け止める。乗り越えれば次のステップに進めるし、出来なかったらもう一回トライするだけ」

心身ともに常に準備運動ができた状態でいれば、必要なとき迷わず力を発揮でき、問題も起きにくい。こうした日々のメンテナンスの重要性は、彼女だけでなく日々都会で暮らす私たちにも響くのではないだろうか。

「『必要になったらやればいい』と構えていてはイザというとき絶対できないので、日々の積み重ねが重要です。ただ、うまくいかない時、すぐに『できないからもうやらない』と自暴自棄になるのではなく、『そういう時もあるよね』と自分に優しくする。分かりやすく目に見える変化ではないので、じれったいかもしれませんが、信じて続けること。それが、自身に寄り添い、心身をポジティブに置くということなんです」

Be kind to yourself

水面の激しい反射に対応するためのサングラス。

Be kind to yourself

「極限」と「リラックス」を
行き交うリズムを作り、ベースを養う

2021年に発売50周年を迎えたネイチャーメイドは、サプリメントのパイオニアとして「生命活動に必要な栄養素を適切に摂取する」習慣を提案し続けてきた。「1日1日を大切に過ごす」意義のもと、飲み続けることで「自分」を形作る。この哲学には二木も共感する。

二木はトレーニングやストレッチを毎日欠かさず行い、体の様子を注意深く観察している。知らず知らずのうちにすり減った「マイナス」を「プラマイゼロ」にするために、何より大切な時間だ。

「力を出しきったままにするのではなく、穏やかな水面のような精神に毎日リセットすることも大事だと思っています。極限のままでは心身に大きな負担がかかり、マイナスにつながります。体にいいものを摂取しても“体側”に受け取る準備ができていなければ、外に流れ出てしまう。体の『声無き声』を敏感に感じ取り、補い、ベースを整える。その繰り返しが、より豊かな自分との対話を生むんじゃないかな」

二木のライフワークである「素潜り」を安全かつ快適にし、自分が好きな自分でいるために「相棒」となる日用品たちを、彼女は「気づいたら側にいる存在」と紹介してくれた。ここでも「頭と心と体」での実感は重要だ。例えば、私たちがルーティーンで飲むサプリメントも「良いと評判だから飲む」ではなく、「気づけばいつも手に取っていた」という心身での実感を重視する。

「どんな習慣も頭でっかちでは長続きしません。また、ルーティーンは大事ですが『これがないから、できないから今日はもうダメだ』と依存してしまうのも違うと思います。知らず知らずのうちに、日々の生活の一部になっていた。ふと、気がつくと1日のルーティーンにそれが入っていた。が、最高ですよね。私たちは年齢関係なく、日々成長できると思います。継続のためには「頭と心と体」のバランス、そして自分を優しく愛することですね」

二木あい マイボトル

どこにでも
持ち歩くマイボトル。
毎日2リットル以上の水を飲む。

二木あい ストレッチ器具

筋膜リリースを行う
ストレッチ器具は毎朝使用。

二木あい レインコート

ダイビングの後、
防寒対策にもなるレインコート。

今日も、ただ自分に出来ることを継続していく

海の中――大自然の中では考えてから行動しては遅い。野生動物がひしめく世界に、人間一人。常に五感を研ぎ澄ませ「何度も海に入ってるから私は大丈夫」という驕りは絶対にもたない。それでも先駆者のいない「水族表現家」のパイオニアとして彼女が海に潜り続ける理由は「私たち人間は地球の一員であって所有者ではない」というメッセージを伝えたいから。「一人でも多くの人に『私は地球と共に生きている』と心から本当にそうだ!と感じてもらえたら世界は変わっていくはず」と環境問題に向き合う彼女の心は、とても穏やかだ。

「ヨガで学んだことですが、『何か、誰かを変えよう』という行為はこちらのエゴでしかない。私は自分の信じるやり方で、水の中からお伝えしている。どう受け取るかは、皆さん次第だと思っています。でも、真剣に向き合った水中からのメッセージは、どういう形であれ、必ず伝わると信じています。私の活動は、皆さんの心の扉をノックしたり、心への種まきだったり、インスピレーションの元、何かの始まりであって欲しい。なので、もし伝わらなかったとしても『そうか。今じゃなかったんですね』と海に帰るだけ」。二木はそう微笑みながら、

「変えようとした結果、相手が変わらないと『どうして!』と怒りをもちがちですが、それでは何のプラスにもなりませんから」と、その口調はあくまで淡々としている。

しかしもちろん、自分に出来ることは常に全力で。

「生き物たちは非常に敏感で、その目に見つめられると心の中まで見透かされている心地になるんです。だから、できる限りのことはやっていると胸を張れる自分でいたい。そのためにできることを続けたいんです」

こんな面白い話も聞かせてくれた。人間には水中に潜ると心拍数に変化が起こる「潜水反射」が備わっているそうだ。つまり、海洋哺乳類のように心臓の鼓動が遅くなり、手足まで巡っていた血が大事な臓器へと集中する。「水中にとどまるなんて無理」という思い込みがそうさせているだけであり、「いよう」と思えば水中にいることは難しくない。

素潜りをすると「自分がどれだけ自分の可能性を閉じてるか」を実感できるそうだ。私たちの中には、まだまだ広大な海のような可能性が眠っている。それをいかに目覚めさせるかは自分次第なのだ。

ネイチャーメイド

全く新しい領域へと踏み出した二木あいと同様、日本のサプリメントにとってパイオニアであるネイチャーメイド。

二木あい

Profile

二木あいふたき あい

水族表現家・環境省「森里川海プロジェクト」海のアンバサダー・mymizu アンバサダー
素潜りギネス世界新記録を2種目樹立。水族表現家という日本国内外問わず唯一無二の存在として、水中と陸上の架け橋となるべく世界を舞台に活動。空気ボンベを使わず、海洋哺乳類と同じ様に自分の肺一つで潜り、彼らの中に溶け込むことで仲間の一員となり、ありのままに、ある時は被写体、そしてまたある時は自身が撮影者として「私たちは自然の一部であり、自然と共に生きている」そんな繋がりを表現している。

TEDxTokyoスピーカー、2012年情熱大陸「二木あい」ワールドメディアフェスティバル金賞。NHK特別番組「プレシャスブルー」がシリーズ番組となっている。近年では、ISSEY MIYAKEや世界的な写真家とのコラボレーションなど国の枠を超えて活躍。写真家として個展「中今」を2019年にスペイン マドリード、2020年に東京 銀座にて開催。

取材・文:伊藤七ゑ 写真:小田駿一 ヘアメイク:谷川彩霞 衣裳協力:ECOALF(エコアルフ)