テクノロジーを活用して参加型で課題を解決する。例えば、日本でいち早く感染状況が視覚化された東京都のサイトは、開発用のプログラムが公開されており、市民プログラマーが開発に参加できるほか、全国の自治体が活用できる。開発参加者はまず、都民の健康を守り、正しい情報を伝える、といった「行動規範」を読む。共感したら、参加するという仕組みだ。
もともとITエンジニアだった関は、東日本大震災で、被災情報をとりまとめた活動をきっかけに、参加型で課題を解決するコミュニティづくりを応援しようと考えた。
「理不尽なことでシステムがうまく動いていないことに対して、『直したい』という感覚がある。そこが根本だと思います」
だが、東日本大震災で現地に行き、それ以外のことの重要性に気づいたという。
「組織や人間の行動をきちんと理解してから、アプローチしないといいテクノロジーがあっても使われない。ガバナンスや民主主義などに興味をもつようになりました」
Code for Japanがいま取り組んでいるのは、DIY都市プロジェクトだ。全国で、住民が主体的に参加するまちづくりを行い、自治体やコミュニティを支援する。具体的には、行政と市民がともに目指せる「幸せ」を中心としたKPIづくり(Smart CityInstitute Japanという団体による住みやすさを表す「リバリティ・インデックス」等)、市民が意思決定に参加できる政策づくりのプラットフォームの展開、スマートシティのオープンソースのOSづくりの3つを柱にしている。
「自治体では予算がないとできない。我々は『まず必要だからつくろうよ』と入ることができる。行政職員や技術者、課題の当事者などさまざまな人が参加しながら『勝手』に参加してくれるんです。大事な価値はやはり民主主義。誰もが関われて、建設的に意見が言えて、文句を言うだけじゃなくて手も動かす。『ともに考え、ともにつくる』こと。その環境づくりにこそテクノロジーを使うべきだと思います」
せき・はるゆき◎1975年生まれ、ITエンジニアを経て、2009年にGeorepublic Japan社設立。2013年にCode for Japan設立。内閣官房IT室政府CIO補佐官等を歴任。