現在、ダンス経験者は国内に1000万人いると言われている。2011年に中学校学習指導要領で必須化されたことをきっかけに、ダンスは身近なスポーツの一つとなった。競技人口だけをみると、10代20代を中心に600万人となっており、サッカーの750万人、野球の730万人に近づきつつある(バスケットボールは570万人)。潜在市場規模は600億円と見込んでおり、2024年のパリオリンピックでは公式競技化が進んでいる。
「近年、ダンスに触れる機会が増加しています。きっかけはSNS。ティックトックやユーチューブなどでダンス動画を発信されると、広く拡散する傾向があるのです。カラオケの誕生が、人が歌うことを恥ずかしくさせなくなったように、動画配信の誕生が、踊ることの恥ずかしさを排除しているのではないでしょうか。こういったダンスの動画で使われた音楽がヒットすることもある」こう語るのは、神田だ。
株式会社Dリーグ COO 神田勘太郎
では、実際にD.LEAGUEはどのように実施されるのだろう。開幕は2021年1月を予定しており、現在8チームのエントリーが決まっている。8人制のダンスコンペティションリーグで、半年間にわたってレギュラーシーズンの12試合を行う(のちにチャンピオンシップ・アワード・スペシャルカップがある)。
チームパフォーマンスを順に披露するコンテスト形式で、時間は2分〜2分15秒と設定されている。毎試合に全チームが参加し、その対戦を観てダンサー審査員2名、文化芸能人審査員2名、オーディエンス全体で審査員1名として勝敗を決める。専用アプリを用いて「いいね」を押してオーディエンスも参加できるのが新しい。
参画企業はエイベックス、コーセー、サイバーエージェント、セガサミー、セプテーニ、フルキャストホールディングス、ベネフィットワン、ユーセンネクストホールディングスが決まっている。それぞれにディレクターと呼ばれる監督がおり、そこにはFISHBOYやJUN 、RIEHATAらが名を連ねる。
株式会社Dリーグ CEO 平野岳史
その昔、ダンスはアンダーグラウンドのイメージがあったと語るのは平野だ。
「学校教育に取り入れられてから雰囲気が変わった。いまやダンスはエンタメ性・スポーツ性を兼ね揃えたもの。600万人もの競技者がいるにもかかわらず正式な舞台がない。そこを経済界がバックアップしていくのが今回の取り組みです」(平野)
HIROも続いた。
「私の役割はD.LEAGUEをエンターテインメントとして成立させること。自分もダンスに夢中になっていた時期があった。周りが見えないほどだったが、それは貴重な財産となっている。いまの若い世代は、ぜひ、それを突き詰めてほしい。D.LEAGUEで夢を叶えてほしいですね」
これまでダンサーの仕事は、インストラクターやバックダンサー、振付師と限られていた。D.LEAGUEを経て、新たな価値創造を行う者も出てくることだろう。Dリーガーの選手の多くが16歳から20代となる。なかには年俸1000万円にもなる選手もいるようだ。今後、公式サイト通じて順次情報が開示されていくようだ。2021年1月の開幕に向けて、徐々に全容が明らかになっていく。