世界の大富豪たちは近年、一部が慈善事業への寄付額を増やしているものの、多くは非営利団体に寄付を行う代わりに自身が設立した財団に資金を投入するようになっている。こうした財団の年間寄付額は多くの場合、保有資産の5%にしか相当しない。
フォーブスは、世界の大富豪のうち実際に非営利団体に対して行っている寄付額が多い人物は誰かを特定すべく、米調査会社シュック・リサーチと協力して2014~18年の米富豪の寄付額を調査。寄付を宣言した額や財団への寄付ではなく、実際に寄付先団体に届いた額を対象としたランキングを作成した。
1位はバークシャー・ハサウェイのウォーレン・バフェットで、5年間の寄付額は147億ドル(約1兆6200億円)に上った。バフェットは友人のビル・ゲイツが妻と共同で立ち上げたビル&メリンダ・ゲイツ財団を通じて寄付を行っており、寄付金の多くは同財団が選んだ慈善事業へと渡った。
2位はそのゲイツ夫妻で、5年間の寄付額は推定99億ドル(約1兆900億円)だった。バフェットとゲイツ夫妻は、貧困対策やポリオ撲滅、HIV/エイズ治療といった活動に重点を置いて寄付を行っている。
3位はヘッジファンドで財を成したジョージ・ソロスの31億ドル(約3400億円)。ソロスは民主主義や人権をめぐるさまざまな活動に寄付を行っている。4位は大統領選に出馬しているマイケル・ブルームバーグで、石炭火力発電所の閉鎖支援やオピオイド乱用問題、肥満人口削減といった分野に30億ドル(約3300億円)を寄付していた。
もちろん、こうした大富豪がこれほどの額を寄付できるのは、500億ドルを保有している人にとって10億ドルの寄付が大した額ではないからだ。この理由から、フォーブスはさらに、保有資産額に占める寄付額の割合も算出した。この点で最も寛大だと言えるのが、免税店DFS創業者のチャック・フィーニーだ。
元ビリオネアのフィーニーは、貧乏人となって死ぬまで寄付を続けると宣言しており、その約束はほぼ果たされつつある。5年間の寄付額は16億ドル(約1760億円)、これまでの寄付総額は80億ドル(約8800億円)に達した。一方、12位に入ったフェイスブックのマーク・ザッカーバーグとプリシラ・チャン夫妻は、保有資産額に占める寄付額の割合が1.2%と、ランキング上位の富豪の中では最も低かった。