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2019年の日本の出生数が前年比で5.9%減少し、推計86万4000人となった。1899年の統計開始以来、初の90万人割れとなり、予想されていた減少ペースを上回る結果となった。そんな中、大きな注目を集めているのが「男性の育児休業」だ。

2019年4月、70年ぶりの労働基準法改正により各社一斉に「帰れ休め」の大号令をかけた。しかし、既に家族から「早く帰ってくるほうが迷惑」という存在になっていた男性は家ではなく飲み屋に向かい「フラリーマン」と化した。

法律を改正するだけでは何も変わらない。育児のスタート地点でおきた信頼関係の崩壊がその後の家庭にずっと影をおとすのだ。もはや本人が「生産性をあげて、早く帰り、家族と過ごしたい」と思えなくなっているのだから日本の生産性があがらないのも当然だ。

この現状を少しでも変えたいと戦い続ける女性がいる。小室淑恵だ。株式会社ワーク・ライフバランスの代表を務めている。



中学1年生と小学1年生の2人の息子を育てながら、大企業からスタートアップまで数々の企業のコンサルティングを通して働き方改革を進めてきた小室。彼女の助言通り、残業をゼロに近づけたことで業績アップや社員のモチベーション向上に繋がった会社はいくつもある。

そんな彼女が今一番力を入れているのが企業による「男性育休100%宣言」だ。


※画像をクリックすると最新の企業数を確認できます

自社の男性の育児休業取得率100%の実現を目指して取り組んでいる組織の代表に宣言してもらう「男性育休100%宣言」は、現在73社の経営トップが宣言している。アイシン精機、メルカリ、オンワード、大和証券、みずほ銀行、あずさ監査法人など名だたる企業がすらりと並んでいる。

ビジネス界を牽引してきた経営者たちが、宣言する「男性の育児休業100%」。そこにはどのようなメリットがあるのか。5つに分けて説明する。


1. 採用の優位性につながる

日本生産性本部の調査では、2017年度の新卒男性社員の79.5%が「子どもが生まれた時には育児休暇を取得したい」と回答した。これは1991年の調査開始以来、過去最高の数字となった。


日本生産性本部調べ

しかしながら、実際の日本の男性が育児休業を取れている率はたった6%だ。 学生が企業を選ぶ際に、福利厚生や働きやすさを重視する傾向は年々高まっている。今、就活中の学生は厚生労働省のデータベースを見れば、その企業の育児休業取得率や平均残業時間は業界ごとにすぐに比較できる。

採用において男性育休をとりやすい企業風土をつくることは、他社に頭一つ抜きんでる採用戦略として極めて有効なのだ。

2. 大切なひとの命を救える

小室は経営者たち一人一人に「なぜ男性の育児休業が重要なのか」を訴えかけた。

産後の女性の死因の一位は「自殺」である(出典:国立成育医療研究センター調査)。産後うつによるもので、産後うつのピークは2週間から1か月。よく出産後に「うちの母ちゃん、子ども産んだら恐くなっちゃった」と言うが、産後のホルモンバランスの崩れで、激高したり号泣したりする自分に女性自身が一番戸惑って苦しんでいる。

この期間に夫が夜泣き対応を交互に代わって、妻が7時間の睡眠をとれるようにすること、朝日を浴びて散歩に出られるようにすることで、産後うつを予防することができる。何よりも初めてのことだらけで不安な毎日を「2人で」過ごせることがどれほど妻の孤独を救うことになるか。

夫に明日も仕事があると思うと「赤ちゃんの泣き声がうるさいといけないから別室で寝たほうがいいよ」と気遣い、結果的に妻だけが睡眠不足で追い詰められてしまう。夫がこのタイミングで、まずは「たった2週間から1か月だけ」休みを取ることで、愛する人の命を救うことができる。そして今後ずっと続く二人の育児生活の基本となる信頼関係と健康が作れるのだ。 

3. 加速する少子化への解決策になる

第一子の出生時に、夫の育児家事参画時間が多い家庭ほど2人目以降が生まれていることが、同じ夫婦を11年間追跡調査した厚労省のデータでも明らかになっている。年間200回の講演依頼を受ける小室は、日本全国を飛び回って「男性育休がこの国を少子化から救う」と伝え続ける。



年金は2000万円足りないと試算され、日本社会の社会保障が破綻するともいわれている。しかし、男性育休により一人目の出産体験がトラウマではなく、ハッピー体験にできることで真の少子化対策ができれば、未来の社会保障の担い手を増やすことができる。

今まで日本政府は「少子化対策」の具体策はいつも「母親をサポート」「子どもにお金を配る」という観点だった。しかしながら本当のポイントは「男性の育休・働き方改革」なのだ。男性育休が社会保障の破綻を防ぎ、サステナブルな社会を作る。

4. 真の女性活躍につながる

平成は女性活躍が進んだと見られがちだ。しかし小室曰く、「女性が家庭サイドから仕事の領域にも頑張って進出し、家庭も仕事もこなすスーパーウーマン化することでなんとか成り立っている危険な状態」だ。男性は職場の風土に阻害されて、仕事領域から家庭領域に参画できていないままだ。

スーパーウーマン化した女性たちは疲弊して限界が来ている。夫の参画を期待するほうが苦しいから「パパは死んだものだと思っている」と語るワーキングマザーの声が話題になった。それを見ている子どもの世代は「両立があんなに大変なら、私は専業主婦になる」という女子が増え、「あんなに妻や子どもに関われない父親になるなら、結婚したり子どもを持ったりしないほうがいい」という男子学生も増えている。

スーパーウーマンの疲弊の上に成り立っているニセモノの女性活躍時代はもう平成で終わりにして、「令和は男性の家庭活躍の時代にしなければならない」と小室は言う。夫婦が真のイコールパートナーシップを体現できてはじめて「パパやママのようになりたい」と次世代が前向きに結婚・就労・子育てに前向きになれるのではないだろうか。

5. 職場の生産性を落とす「属人化」を解決できる

1000社の企業をコンサルティングし、残業を減らして業績は向上させてきた小室が、どうやってその成果を出したのかと問うと「属人化排除」だという。仕事がブラックボックス状態で行われていて、情報・やりかたが個人に属してしまっている企業ほど長時間労働の実態がある。

そして連合の調べでは、男性が育児休業を取れない理由の1位も「代替要員がいない」。これはそもそも、日本の職場のほとんどが誰か一人が休んで回らなくなるような体制で回している危険な状態であることを表している。

そういった職場ほど「人手が足りない」と人員追加を希望するが、仕事が属人化している職場にどんなに人を追加しても、本格的な仕事をできるような情報が共有されていない人材には雑用しか渡せず、全く職場の生産性は上がらないのだ。

男性が育児休業を取得した職場では、それまでブラックボックス化させていた仕事を必然的に引き継ぐことになる。見える化・共有化が進むことで、多様な人材がバトンをつないでアウトプットを出すことのできる職場に生まれ変わることができる。

日本では一企業の男性が休むことで職場が回らないと騒ぐが、他国では国会議員が育休を取っても問題なく議会が回る制度を整えている。イギリス議会では代理投票でき、ノルウェーでは、比例代表名簿上位の落選議員が代理を務める仕組み、ニュージーランドでは首相が6週間育休を取得した。パンデミックや震災の対策という面でも、誰かが職場に来れなくても仕事が回る仕組みをあらかじめ作っておけなければ、組織として脆弱なのだ。


ここまでメリットの多い男性の育児休業でも、取得率が低いのはその後のキャリアへの影響を気にする声が大きいからと言われている。自分から「育休を取得したい」ということがあまりにもハードルが高すぎるのだ。

それならば、企業のトップから男性の育休を奨励することで、新しい会社のカルチャーを作り、環境をつくっていくのが先決と思われる。

今回、株式会社ワーク・ライフバランスはForbes JAPANを通して「男性の育児休業取得率」をもっと高めるためのメッセージを出した。核となる動画では、「男性の育休100%取得宣言」をした7社の企業に集まってもらい、自身の子育て体験を赤裸々に語ってもらった。

そこから見えたのは、経営者として成功をおさめながらも子供やパートナーと「#もっと一緒にいたかった」と吐露する後悔の念だ。こんな思いを次のビジネスリーダーたちにさせてはいけない。強い覚悟を持ったトップリーダーたちがアクションを起こしていく。

小室から始まった一つの企画が、今やムーブメントとなって日本社会を変えていく。

【#もっと一緒にいたかった 男性育休100%プロジェクト】




がむしゃらに働き、家庭をかえりみない…。そんな働き方はもう時代遅れだ。7社の名だたる企業のトップが宣言した「男性育休100%」。パートナーや子供と「#もっと一緒にいたかった」という後悔と誠実に向き合いながら、次世代のビジネスリーダーにその熱い思いを届ける。

Promoted by ワーク・ライフバランス text by Forbes JAPAN BrandVoice Studio

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