ワークライフバランスの向上が、生産性の向上につながることは以前から指摘されていた。日本マイクロソフトによると、今回の取り組みでは生産性の向上だけでなく、約23%の電力消費の削減や、約59%の印刷用紙の消費量の削減効果も見られたという。
同社はこの試みの第2弾を今年の冬にも実施する計画で、フレキシブルな勤務形態を推奨していくという。
柔軟な勤務形態によって生産性が向上した事例は、他にも報告されている。2018年に週休3日制のトライアルを行ったあるニュージーランド企業は、24%の生産性向上を確認した後、この制度の継続を決めた。
ハーバードビジネスレビューも、中国の旅行エージェンシーがコールセンターの職員に在宅勤務を認めた結果、生産性が13%向上したケースを報告している。2017年のスタンフォード大学の調査では平均的な労働者たちが、自由な労働時間と引き換えに20%の給料の減額に応じるとされ、在宅勤務の場合は8%の減額を受け入れるとされた。
日本は世界で最も労働時間が長い国の1つとして知られており、CNBCによると2016年時点で日本企業の4分の1近くが、月に80時間以上の残業を社員に求めていたという。
CNNによると日本の残業カルチャーの問題は、2015年に大手広告代理店の社員が、過度な残業の後に自殺して以降、注目を集めるようになった。2017年にも、月に159時間の時間外労働を行った女性記者が過労死したことが報じられた。
その後、安倍晋三首相は働き方改革を推進し、2019年4月に年間の残業時間の上限を720時間とする法律が施行された。しかし、働き方改革によって大企業の労働環境には改善が見られるものの、業務の負担が中小企業に引き継がれた懸念もある。
週の労働日数を短縮することでメリットがもたらされるという報告がある中で、これに異論を唱える企業幹部もいる。勤務日数の削減と引き換えに、長期休暇の日数の短縮を求めるオーナーも存在する。
オレゴン州ポートランドのテック企業の場合、週勤4日制を試験的に導入した結果、従来通りの週勤5日制に戻すことに決めた。その会社のオーナーは、週勤4日制を続けた場合、競合企業との競争に敗れると判断したという。