データ分析会社アスタミューゼ(2006年−2016年間の統計)によれば、ワトソン開発元である米IBMが3049件で1位。第2位はマイクロソフトの1866件、第3位グーグル979件となっている。上記3社が「AI三強企業」となると、現時点での「AI大国ナンバー1」は米国と言えそうだ。ただこの“称号”は今後、中国によって取って代わられる可能性がある。
際立つ中国の躍進
ランキングの続きを見てみたい。すると第4位が中国国家電網公司の757、第5位に日本企業トップとなるNTTの567と続く。上位10社の内訳は米国が5社、中国が2社、日本が3社となっており、この3国で世界の特許件数約7割を占める。上位10社に日本企業が3社入っているが、国別では中国が第2位。急速な伸び率で米国を猛追している状況だ。
2010年〜2014年の4年間で7割増という世界のAI特許数の大幅成長は、中国の躍進に負うところが大きい。2005〜2009年と2010〜2014年の各期間毎の件数を比較すると中国は約2.9倍。これは米国の約1.26倍をはるかに凌ぐ成長率である。ちなみに日本は3%減で勢いに欠ける状況だ。
急速な成長をみせる中国AI産業を牽引するのは、特許数の出願人別世界ランキングで第7位の北京大学、第13位の南京大学など名門大学である。ランキングを中国に絞ればトップ10の内、6つを大学が占めている。
特許数を都市別にみると、北京大学、清華大学を始めとする名門校が多く学術研究が集積する北京が最多で、次いで南京大学がある江蘇省、通信機器大手ファーウェイやZTEが本拠地を構える広東省が第3位となっている。
では、特許数を技術分野別で見るとどうだろうか。
中国のDT財経、新華網および南方都市報聨が共同出版した<グローバル人工知能発展報告書(2016)>によると、分野別ではロボットが最多で38.3%、次いでニューラルネットワーク17.9%、画像認識10.4%、音声認識8.1%、コンピュータービジョン5.9%と続く。中国は産業用ロボットの世界一の市場になっており、製造業の賃金上昇による人手不足を工場自動化によって解決を目指している。
さらに従来の製造業と人工知能を含むハイテク産業を融合させ、産業構造を大きく変えていこうと国を挙げて取り組んでいる。この動きがロボット分野での人工知能研究を加速させる要因になっているようだ。