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2017.03.31 15:00

今、リーダーに求められている「脱リーダーシップ論」とは


コーチングディレクターという新しい視点と発想

「一発勝負ではなくシーズンを戦うラグビーは、フィールドだけではなく、オフ・ザ・フィールド、つまり普段の生活の姿勢や態度を含めた全人格が勝負に直結する。球技としてはルールも人数も多く、絶体絶命や千載一遇の場面で爆発的な力を発揮できる『野性』と、全員で考え戦略を立てる集合知としての『知性』を兼ね備えていないと勝てない。複雑で難しいスポーツです。だからこそ、絶対に勝てるという準備ができない。主将や指導者だった頃はそこに恐れを感じることもありました。資質を含め『優秀な選手』がいるのと同じように、コーチにも『優秀なコーチ』がいます。でも、選手もコーチも人間ですから何もしなければ成長しない。コーチを育成するコーチも必要なのです。現職の日本ラグビーフットボール協会のコーチングディレクターはそれを担う新しい職能。だから新しい視点と発想が必要になる」

当初は「4年間しか指導経験がないオマエがベテランのオレに何を教えるんだ」と、監督時代の最初の頃のように、受け入れてもらえず窮屈な思いもした。


「大学の選手は大人になるプロセスで学んでいくが、コーチは大人ですから、自分の価値観や成功体験があり、自分より能力や経験値が低いと思う相手の話は届かないのです。人は大人になるほど学びづらくなる。それは仕方がないこと。コーチングを教えるのではなく、一緒に学び、本人が内省する学びのスイッチをいろいろな角度から押すことが今の仕事。壁を壊せば、50代でも60代でも人はまだ成長できる。それに気付いてほしい。ぼくはこうした大人の学びの場を追求したいと思っている。さらに競技を超えてこの場を広げていきたい。すでに横の連携が生まれていて、プロ野球やJリーグのコーチへの指導も始まっています」

朝、目覚めると同時にPCの電源を入れ仕事が始まり、夜は遅くまでミーティングが続く日々を送る。基本的に休みはつくらない。中竹氏のハードワークの背景には、小学校で形成されたマインドセットがある。小学校低学年の頃、彼には読字障害があった。人前で国語の教科書をうまく音読できない自分が悔しくて、ある時、前日に教科書の文章を暗記したことがある。丸暗記すれば、外目にはスラスラと読んでいるように見える、と考えたからだ。

「翌日の授業で普通に教科書を読めたが、先生や友人の褒め言葉はなく授業は進められました。その時、能力が低くても努力すれば、あるレベルには到達できることと、できない人が普通のことをできただけでは褒められないこと、この二つを小学生ながらに理解したのです。同時に自分の中に、スペックが低い人間は倍以上努力しなければならないという覚悟が生まれ、褒められたい承認欲求もなくなった。だから逆に、選手の舌打ちやため息も気にならなかったのだと思う。同世代と比較して、選手時代の練習量も、現在の日々の仕事量も圧倒的に多い自負があるが、これもこの頃の覚悟に根ざしていると思います」

日本ラグビーフットボール協会コーチングディレクターに加え、2017年1月までラグビーU20日本代表のヘッドコーチを兼任。また自身でもリーダー育成を行う会社を経営し、年の半分は海外、日本でも仕事の出張や合宿、遠征が多く、移動と仕事を切り離して考えることはできない。PCと電源があれば、そこが駐車場でも中竹氏のワークプレイスになる。アウトランダーPHEVのリアゲートを開けてPCを電源プラグに接続する。

「この給電機能にはどこでも電気が使える安心感がある。走りながら発電し、また、電気がなくなるとエンジンで発電する仕組みも秀逸だ。優秀な選手は中間速で走りながら体力を回復し、トップスピードで走る時のエネルギーを試合の中で蓄える。どんな悪路も安定して走破する四駆制御技術はまさにアスリートのフィジカルそのもの。その有り余るフィジカルを効率的にマネジメントするのが、PHEVがつかさどるインテリジェンス。アウトランダーPHEVの性能構造は、これまで見てきた多くのトップアスリートのそれと重なります」

未知の新領域の仕事に正解や定説はないから、間違えたら立ち戻りまた進む。日本初のコーチングディレクターの「探求心」そのものが、この国のスポーツ界に新しい道をつくっていく。今日も中竹竜二は、あの日の選手たちと同じように「Dynamic Challenge」に挑んでいる。


中竹 竜二(なかたけ りゅうじ)◎公益財団法人日本ラグビーフットボール協会コーチングディレクター。1973年福岡県生まれ。早稲田大学人間科学部卒業。レスター大学大学院修了。三菱総合研究所勤務を経て早稲田大学ラグビー蹴球部監督就任。2010年、日本ラグビーフットボール協会、コーチングディレクター就任。12年より3期に渡りラグビーU20日本代表ヘッドコーチに就任。また自身で会社も経営、企業のリーダー育成に取り組んでいる。主な著書に『部下を育てるリーダーのレトリック』(日経BP)、『マネジャーの最も大切な仕事』(英治出版、監訳)

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