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中竹竜二(日本ラグビーフットボール協会 コーチングディレクター)photographs by Shuji Goto

ラグビーの「知性」と「野性」を巡る、コーチングディレクター中竹竜二の探求心

2009年1月10日の「荒ぶる」

中竹竜二には忘れられない試合がある。記憶は一足飛びに、冬の乾いた空気に「荒ぶる」が響き渡る、2009年1月10日の国立競技場へと遡る。大学選手権決勝戦、この日、早稲田大学は強豪帝京大学に勝利して寛仁親王杯を手にした。試合中、中竹氏はエンジと黒のネクタイを締め、早稲田大学ラグビー蹴球部監督として観客席からフィールドを見つめていた。

早稲田は、前年11月の対抗戦で帝京に敗北を喫していた。足掛け8年で積み上げた53連勝が途切れた試合でもあった。敵陣ゴール前の相手ペナルティで、早稲田はトライを欲張りスクラムを選択。帝京にターンオーバーされ無敵の布陣が崩された。「われわれには驕りがあった」と中竹氏。

この過ちを繰り返さないよう、選手と話し合い、同様の状況ではショットで得点を刻むことを確認した。そして抗えぬ運命のように、同じ場面が選手権決勝戦で巡ってくる。何度も確認した場面だ。だが選手たちはグラウンドで話し合い、あの日と同じスクラムを選択する。「何やってるんだ!」。観客席のスタッフやコーチから怒号が飛ぶ。しかし、中竹氏はスタッフに「選手を信じよう」と声を掛け、その後の展開を見守った。「彼らはあえて難しい選択をした。その選手たちの信念を信じようと思った」


ハーフタイム。あのチャンスで7点を獲得した選手が意気揚々と引き揚げてくる。

「決勝戦の大事なチャンスでチャレンジを選ばなければ、このチームは終わってしまう。中竹さん、だからオレたちチャレンジしましたよ」と、選手らは誇らしげに語った。フォロワーシップがリーダーシップを超えた。

「この時、彼らは指導者を超えたなと思った。監督が目指すのは勝利ですが、選手のベストをいかに引き出せるかがその前提にある。今が彼らの最高の力の発揮の仕方だと知った時、これで負けるのならしょうがないと思いました」。その手応えは心中で「今日は勝てる」という確信に変わる。「試合に勝つためには、ビジネス同様にセオリーがある。でも、それとは関係なく、選手全員が全人格で最大限に個性を発揮して、チャレンジしたから手が届いた優勝だったと思う」

この年の早稲田大学ラグビー蹴球部のスローガンは「Dynamic Challenge」だった。

あの日、エンジと黒の歓喜に溢れた国立競技場は、2020年に向け急ピッチで建て替え工事が進んでいる。中竹氏が運転するアウトランダーPHEVは、同じ霞ヶ丘競技場内の「秩父宮ラグビー場」を目指した。そのグラウンドで、彼の「フォロワーシップ」の原点を振り返る。

Promoted by 三菱自動車 文=橋場一男 編集=明石康正

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