マンドワイラーのレストランからの視点は、その見立てを穏やかに裏づける。Maple Hospitality Groupでは、スウェーデン発の脱アルコールワインブランド「Oddbird」のスパークリングノンアルコールワインを提供しており、彼女によれば「大ヒット」だという。ただし、レストランにおけるペアリングカテゴリーとして完全に定着したとまでは言わない。
ノンアルコールワインが真のフードペアリングとして信頼を得たかと問われたマンドワイラーはこう答えた。「ほとんど、だ」。
「Oddbirdのノンアルコールワインは、これまで味わったなかで最も良い」と彼女は言う。「ただ、全体のペアリングとして需要があるかどうかは分からない」
ノンアルコールワインはいま、本格的なドリンクリストに載る価値があるのかもしれない。だが、それは明日からすべてのレストランが、このためだけにフルのペアリングメニューを組むべきだという意味ではない。
ストリールマンの経験は、消費者側が急速に動いていることを示唆する。最近のドイツ旅行では、生産者が舞台裏でどれほどの取り組みを重ねてきたかが明確だったという。
「多くの生産者は、脱アルコール化と風味保持に何年も投資してきた」と彼女は言う。「このワイナリーが私たちのグループに、1つや2つではなく12種類ものノンアルコールワインを提供したと聞いたら驚くだろうか。そして、それらが美味しかったとしたら」
世界最大級のワイン見本市「ProWein」が発表している年次調査報告書「ProWein Business Report 2026」は、業界が注目していることを示す。今後2年間でゼロ/ノンアルコールワインが好調に推移すると見込む割合は、生産者で61%、取引関係者で54%だった。
ノンアルコールワインの成長シナリオが崩れる点
ノンアルコールワインを強気に見る根拠は確かにある。だが限界もある。1つ目は規模だ。成長は速いが、より広いワイン市場に比べればまだ小さい。
「このカテゴリーが繁栄し、より広い市場が苦戦していると言うのは、少し誤解を招く見方だ」とマンドワイラーは言う。「ワイン市場と比べれば微小な市場の話だ。ノンアルコールワインが売上を倍増させても、ワイン産業全体に比べればごく一部にすぎない」
ノンアルコールワインは有望だが、より大きなワインビジネスが抱える構造問題を解決できるほどの規模ではない。
2つ目の限界は品質、とりわけスティルの赤ワインのスタイルにある。ワインの「ボディ」「香りの運び」「骨格」「余韻の長さ」はアルコールに由来する。これを取り除くと、薄く感じたり、甘く感じたり、余韻が唐突に途切れたりする可能性がある。
この品質ギャップは重要だ。試してみることと、継続的に選ばれることの間には大きな違いがあるからである。
「多くの人はノンアルコールワインを一度試す。多くの場合1杯10〜15ドル(約1590〜2380円、米国での価格)を払って、期待に届かなければ戻ってこない」とストリールマンは言う。「製品が良くなければ、カテゴリーは前に進まない」
これが、おそらくこのカテゴリーにおける最も厳しい真実だ。好奇心は強力だが、それだけでは足りない。多くの消費者がカテゴリー全体の信頼性を見極めている段階では、最初の1杯が期待外れだと深刻なダメージになり得る。


