ステファニー・ディロンはStephanie Dillon Artのチーフ・アイデエーターである。
「イノベーション」。ビジネス界で頻繁に使われる言葉だ。多くの人がこの概念を支持し、ビジネスリーダーにイノベーションを起こすよう—さらには破壊的創造さえも—提唱しているのを目にしてきた。イノベーションは企業を新たな高みへと導く究極の解決策として位置づけられることもある。イノベーションを起こしていなければ、何か間違ったことをしているように感じるかもしれない。
しかし、イノベーションは常に答えなのだろうか？これは最近私の頭から離れない疑問だ。
イノベーションのメリット
明確にしておくと、私たちは生存し繁栄するためにイノベーションを必要としている。抗生物質、電気、現代の災害警報システムは、人々を助ける重要なイノベーションのほんの一例だ。イノベーションはまた、スマートフォン、電子レンジ、航空旅行など、今日私たちが楽しみ、恩恵を受けているさまざまな製品やサービスをもたらした。
企業にとって、イノベーションは存続と閉鎖の分かれ目となりうる。それは誰もが知る名前になるか忘れ去られるかの違いをもたらす。未来を形作るか、競合他社がそれを定義するのを見ているだけかの違いとなる。
イノベーションのない世界は生きるのが困難な場所だろう。さらに、イノベーションのない世界が存在し得るとは思わない。イノベーションを望むことは人間の本性の一部だと思う。結局のところ、私たちは何世紀もの間そうしてきたのだから。
イノベーションのデメリット
しかし、イノベーションにはデメリットもある。私の見解では、イノベーション（あるいはイノベーションを起こしたい、革新的に見られたいという欲求）には主に4つの欠点がある。
まず、イノベーションは必ずしも問題解決を意味するわけではない。Juiceroという高性能ジューサーを考えてみよう。これは「ジュースカートリッジを手で絞るだけで400ドルのマシンを使わずに済むことが明らかになった」後、間もなく閉鎖された。私の意見では、Juiceroは本物の問題を解決していなかった。
イノベーションは新たな問題を引き起こす可能性もある。例えば、ソフトウェア企業がワークフローをさらに効率化するための新機能をリリースするかもしれない。しかし、それらの機能が最終的に顧客にとって複雑さを増し、タスクの完了をより困難にする可能性がある。
イノベーションは詐欺への道筋にもなりうる。残念ながら、イノベーションを起こす過程で—あるいはイノベーションを起こしたい、革新的に見られたいという欲求から—一部のリーダーは倫理を損なうことがある。Theranosはイノベーションが道を誤った顕著な例だ。バージニア大学ダーデン・ビジネススクールのウェブサイトの記事によると、同社のデバイス「Edison」は「不正確で一貫性のない結果を出し、Theranosは血液処理のために第三者の機器に頼るようになり、結果がTheranosのマシンから出たという印象を与えながら、サンプルをクリニックに送り返していた」。革新的に見せたいという欲求から生じた詐欺の他の例？フォルクスワーゲンの排出ガススキャンダル（「ディーゼルゲート」としても知られる）とニコラ・コーポレーションの創業者による「電気または水素で動くゼロエミッションの18輪トラック生産における同社の進捗に関する誇張された主張」だ。
イノベーションは人々に心理的な負担をかけることもある。常に新しいアイデアを考え出すプレッシャーの下にあることは、感情的に消耗する可能性がある。マッキンゼーによると、「イノベーションは突然死のリスクをもたらすわけではないが、それでも不安を引き起こす。それはどのビジネス活動よりも曖昧で、不確実な結果に直面しながらも大胆な賭けをし、挫折、批判、自己疑念にもかかわらず忍耐する意志を必要とする」。
答えはイノベーションを止めることではなく、減速し、段階的で測定可能な変化に根ざすことだ
私の見解では、イノベーションを中心としたビジネス文化は、本物のつながりを形成し、道徳的・倫理的基準を維持することの重要性を見落とす可能性がある。
しかし、それらのリスクが意味するのは、イノベーションを完全に止めるべきだということではないと思う。イノベーションのない世界は機能しないだろう。イノベーションがなければ、私たちの生活を向上させることができない。立ち往生してしまう。
しかし、イノベーションは常に答えなのだろうか？その質問に対する私の回答は「いいえ」だ。ビジネスリーダーとして、私たちは減速し、そんなにイノベーションを起こそうとするのをやめるべきだと思う。あらゆる場面で物事を破壊する必要性を感じるべきではない。物事をそのまま受け入れるべき時もある。そして、イノベーションを起こすと決めた時は、誇大宣伝ではなく、段階的で測定可能な変化に根ざすべきだ。イノベーションは革命的な新しいアイデアや物事のあり方の完全な覆しを意味する必要はない。それは私たちの能力の限り—そして可能な範囲で—物事を改善するために一歩一歩取り組むことを意味する。
