両者の対立は2016年にさかのぼる。ザッカーバーグは、SpaceXのロケットがフェイスブックの衛星を搭載したまま爆発したことに「深く失望した」と発言した。SpaceXはこの爆発を「例外的な事象」だと説明したが、マスクは後に「自分がバカだったせい」だと述べた。2017年にはAIをめぐって対立し、ザッカーバーグはAI規制を訴えるマスクを「いつも反対する人」だと一蹴した。マスクは「この件についてマークと話したが、彼の理解は限られている」とツイートで応酬した。2018年3月には、フェイスブックのデータ不正利用スキャンダルを受け、マスクはテスラとスペースXのフェイスブックページを削除し、「フェイスブックって何？」と投稿した。
2023年にThreadsの登場が報じられると、マスクはザッカーバーグと「ケージマッチ」で戦う意向をツイートした。ザッカーバーグは「場所を教えて」とInstagramのストーリーで応じた。UFCのダナ・ホワイト代表が試合開催を約束したが、マスクが手術が必要だと発言したことでこの一件は流れ、ザッカーバーグも「もしイーロンが真剣に日程と公式イベントを決めるなら、私に連絡できる」と述べて終息した。
Threadsは、マスクによるツイッター買収と大幅な改変でXがユーザー離れに直面する中で、両者の対立を激化させた。ザッカーバーグはThreadsのローンチ時、「開かれた友好的な会話の場を提供する」と、Xにおける混乱を意識した発言をした。
Threadsのアプリは公開初日で3000万回ダウンロードされたが、マスク側の弁護士は、元ツイッター社員から得たノウハウ流用の疑いで法的措置をとると警告した。当時マスクは「競争は良いが、不正は許されない」と発言している。ザッカーバーグは10年以上ぶりのツイートで「スパイダーマン同士が指を差し合うミーム」を投稿し、両者の類似性を揶揄した。マスクは2023年7月、Threadsを「写真抜きのInstagramにすぎない。人々がそのアプリを使う主な理由は写真なのに、それでは意味がない」と批判した。ザッカーバーグは以前からThreadsを10億ユーザー規模に拡大することを目標としており、1月にも「今後数年間で主要なディスカッション・プラットフォームとなり、最終的に10億人に到達する」とCNBCに語っている。
フォーブスの推計によれば、25日時点におけるマスクの推定資産は4819億ドル（約72兆1500億円）で、世界一の地位にある。その資産の多くは、テスラ株の12％とスペースX株の42％の保有による。マスクは2022年にツイッターを440億ドル（約6兆5900億円）で買収し、Xに改名した。ザッカーバーグの推定資産は2568億ドル（約38兆4500億円）で世界第3位の富豪であり、2004年にフェイスブックを立ち上げたメタ株の約13％を保有している。
