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2025.04.28 09:00

フィンテックの新トレンドはAIエージェント活用の投資調査、迅速化や効率化を狙う

Shutterstock.com

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ここ最近、フィンテック分野の新たなトレンドとして浮上しているのが、AIエージェントを投資判断に活用することだ。ここ1カ月ほどの間で、トレーディングアプリのRobinhood(ロビンフッド)に加えて、グーグルの元幹部が設立した投資アドバイザーのスタートアップArta Finance(アルタファイナンス)が、消費者向けの新たなAI機能を発表した。

また、AlphaSense(アルファセンス)やHebbia(ヘビア)、RavenPack(レイブンパック)、Rogo(ロゴ)などの主にニューヨークを拠点とする新興企業の一群が、投資銀行や投資家向けにリサーチ業務を迅速化するAIツールをリリースしている。

これら企業の多くはまだ初期の段階のスタートアップながら、金融分野で長年改善が求められてきた労働集約的タスクの効率化に取り組んでいる。この記事では、それら企業の特徴や強みを順を追って説明する。

金融機関や法律事務所のリサーチ業務をAIで支援する、Hebbia

Hebbiaは、ニューヨークを拠点とする設立5年の企業で、金融機関や法律事務所がリサーチ業務を効率化するためのAIツールを提供している。同社は2024年、7億ドル(約1000億円)の評価額で1億3000万ドル(約187億円)を調達しており、出資者にはインデックスベンチャーズやピーター・ティール、アンドリーセン・ホロウィッツらが名を連ねている。

Hebbia創業者兼CEOのジョージ・スヴルカによると、同社は金融サービス分野で特に未公開市場のデータ分析に力を入れている。企業が資金を調達したり、買収を検討したりする場合は、一般的には、オンライン上にある機密データの共有スペースを通じて、監査済みの財務諸表や株式の保有状況、特許、進行中の訴訟といった情報を投資家候補に提供する。Hebbiaのソフトウェアはこの共有スペースと連携し、その企業が特定の顧客層に依存していないかや収益成長の強さ、経営陣の資質などを分析する。

また、資料で省略されたリスク要因や懸念事項の特定も目指しており、分析内容を基にメモを作成する機能もある。Hebbiaは、プライベート・エクイティ企業(PE)が同社の製品を活用した場合に1案件あたり20〜30時間を節約できるとうたっている。

Hebbiaは、この分野の多くの新興企業と同様に複数のAIモデルを使用している。オンライン上の共有スペースからデータを抽出・分析する部分は自社開発のモデルを使用し、レポートの生成にはOpenAIやAnthropic(アンソロピック)などのモデルを顧客の好みに応じて使用している。

スヴルカによれば、Hebbiaの顧客には、ボストンを拠点とするPEのCharlesbankやニューヨークの資産運用会社Oak Hill Advisorsなどの数百社が含まれており、それらの顧客に「数万ドル」から「数百万ドル」(数百万円から数億円以上)の費用を請求している。

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編集=上田裕資

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