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2025.03.12 16:00

子どもたちが明日にも、未来にもワクワクしている社会を目指して——組織の壁を超えて挑む新しい協働のかたち

子どもたちの教育・体験格差が社会課題となっている今、ソニーが声をかけ取り組んでいるのが、企業、NPO、行政などがそれぞれの立場で活動を続けながら同じゴールを目指す「コレクティブ・インパクト」だ。

組織の壁を超えた取り組みが必要なのはなぜか。コレクティブ・インパクトという手法の可能性について、参画する認定NPO法人キッズドア(以下、キッズドア) 理事長 渡辺由美子、特定非営利活動法人 放課後NPOアフタースクール(以下、放課後NPOアフタースクール) 代表理事 平岩国泰、三井住友フィナンシャルグループ(以下、SMBCグループ) 社会的価値創造推進部 上席推進役 大萱亮子、ソニーグループ(以下、ソニー) サステナビリティ推進部 CSRグループ ゼネラルマネジャーの石野正大および、本取り組みにおいてファシリテーターを務めるソーシャル・インベストメント・パートナーズ 代表理事 兼 CEO 鈴木栄が語り合った。


将来の希望にも影響を及ぼす教育機会の二極化

——日本の子どもたちを取り巻く現状と、その課題解決に向けて「コレクティブ・インパクト」という手法に着目された理由を教えてください。

渡辺由美子(以下、渡辺):日本の子育て家庭は今、子どもに教育投資できる層とできない層への二極化がどんどん進んでいます。それは子どもの体験格差となり、例えば夏休みに毎年海外旅行に行く子どもと、どこにも行けない子どもとの差は広がる一方です。

昨今、大学入試でも推薦型が増えている中、多様な体験をしているかどうかが進学にも影響を与えています。頑張って勉強するだけでは埋められない格差にどう向き合うか。私たちが取り組む重要な課題になっているのです。

平岩国泰(以下、平岩):私たちは教育格差の中でも、特に放課後における格差に注目しています。公立であれば学校に通うところまでは同じでも、放課後になると習い事や課外活動に差が出ます。世帯年収が低いほど、学校以外の体験が少なくなっていく 。小学生低学年の時点ですでに周りとの違いを認識し、「うちでは何もやらせてもらえない」と諦める子どもたちがいます。たとえその後に体験のチャンスが巡ってきても、小学生の段階で好奇心の芽が折れてしまえば、差は広がるばかりです。

石野正大(以下、石野):ソニーでは、国内における子どもの「教育格差」という社会課題の解決に向けた取り組みとして、2018年から放課後NPOアフタースクールさんと一緒に「感動体験プログラム」を実施してきました。ソニーのテクノロジーやエンタテインメントを活用したプログラミングやアート系のプログラムなどの体験を提供し、実際に子どもたちにポジティブな変化が生まれていくのを目の当たりにしてきました。ただ、本来継続的に取り組まなければいけない根深い課題に対して、単発のプログラムではできることに限界があります。

大萱亮子(以下、大萱):これからの社会をつくる子どもたちの支援は、事業を行う私たち企業にとっても重要課題のひとつです。SMBCグループでは、金融グループとしてのネットワークを活かして、放課後NPOアフタースクールさんと「地域の子どもたちの居場所づくり」を進めています。具体的には、旧銀行出張所跡を全改装して“居場所”をつくり、同じ思いを持った約20社ほどの企業や地域とともに子どもたち向けの体験プログラムを提供していく予定です。体験格差の背景には、本人だけでは解決できない原因が複雑に絡み合っています。そして我々1社だけの取り組みだけですべてを解決できるわけではないとも感じています。

写真左からSMBCグループ・大萱亮子、放課後NPOアフタースクール・平岩国泰
写真左からSMBCグループ・大萱亮子、放課後NPOアフタースクール・平岩国泰

石野:そうなんです。ソニーはソニーとして、得意とする分野で課題に向き合っていく。加えて、ほかの民間企業やNPO、行政などいろんな主体が、それぞれの視点を持ち寄ることで、より大きく複雑なテーマにアプローチできるのではないかと思っています。

鈴木栄(以下、鈴木):それがまさに、コレクティブ・インパクトの本質ですよね。

私が代表理事を務めるソーシャル・インベストメント・パートナーズは、社会課題の解決に向き合うNPOなどの非営利組織への資金提供と経営サポートを行っています。さまざまな団体と接する中で、NPOの皆さんが一生懸命取り組んでも、社会はなかなか変わらない……と厳しい現実に直面します。

一方で、コレクティブ・インパクトという手法で社会が変わる事例が出てきました。コレクティブ・インパクトは、コラボレーションや連携とは違い、ひと握りの団体が共同して同じ活動をするのではなく、何十、何百の団体・企業の、何百、何千もの人達が、同じゴールに向かって、それぞれができるバラバラの取り組みをしていくものです。それぞれ違うことをしながら集合体(=コレクティブ)でインパクトを出すところが、この手法の強みであり、魅力だと感じています。

写真左からソニー・石野正大、キッズドア・渡辺由美子、ソーシャル・インベストメント・パートナーズ・鈴木栄
写真左からソニー・石野正大、キッズドア・渡辺由美子、ソーシャル・インベストメント・パートナーズ・鈴木栄

同じゴールに向かって異なるアプローチを

——ソーシャルセクターと企業とが協働することに、どのような可能性を感じていますか。

渡辺:キッズドアでは貧困の子どもたちの支援として、無料の学習会を開いています。でも、勉強をする場をつくっても、勉強する先の未来が見えなければ、なかなか取り組もうとしません。そこで、多様な体験機会を増やそうと、企業との協働機会を活かして行っているのが「オフィス見学」です。子どもたちがオフィスで働く大人の姿を見る機会は、なかなかありません。そんな彼らがオフィスに行くと「こんなカッコいいところで働いている人がいるんだ!」と目をキラキラ輝かせるようになる。こうした機会は、NPO単体ではなかなか広げることができません。

平岩:日本財団が行った18歳意識調査では、日本の若者の「将来希望」が諸外国と比較して顕著に低いことがわかっています。さらに「自分の行動で国や社会を変えられると思う」と答えた人も著しく少ない。もしかしたら、私たち大人の姿を見て、「つまらなそうだな」「何をやったって変わらないんだろうな」と思っているのかもしれません。これは社会全体で解決すべき問題であり、自治体や企業が協力してくれる仕組みが重要になります。18歳の若者たちが 「夢がない」と下を向いてしまう 社会を変えていくためには、企業の皆さんとともに、参画者を増やしながら共通のアジェンダを持って動いていくことが必要です。

提供:日本財団公式ウェブサイト(http://www.nippon-foundation.or.jp/)
提供:日本財団公式ウェブサイト(http://www.nippon-foundation.or.jp/)

——子どもたちを取り巻く課題に対するそれぞれの思い、これから目指したい社会の在り方についてお聞かせください。

鈴木:皆さんとの議論の中で生まれた共通の目標が、「子どもたちが明日にも、未来にもワクワクしている社会」を目指す、というものでした。私たち大人がワクワクできていないと、子どもたちも明るい未来を描くことはできません。大人たちが「未来を変えていける」と自己効力感を持つことができれば、それを見た子どもたちも、同じように考えることができるのではないでしょうか。

渡辺:子どもたちが置かれた現状は深刻で、日本の10代の死因の1位は自殺です。そんな国は、G7の中で日本だけです。未来にワクワクできれば、自ら命を絶つ子どもたちは減っていくはず。未来は遠くても、まずは明日を楽しみに生きられるような、そんな社会をつくっていきたいですね。

平岩:私たち大人は、将来のために今は我慢しなさい、これをやりなさい、というコミュニケーションをとりがちです。それが間違いとは言いませんが、もっと「今の目の前の幸せ」を追求してもいい。子どもたちは「今を生きる」人たちで、今の積み重ねがあるから、未来も幸せであると信じられるのでしょう。だから「明日にも、未来にも」というのはすごくいい言葉だなと思っています。

私たちが目指しているのは、全ての子どもたちに“居場所”と“出番”のある社会です。自分らしさが発揮できるような“出番”があることで、18歳の若者の状況を改善させていけるように頑張っていきたいです。

大萱:SMBCグループでは子どもたちの教育格差の解消に取り組んできた中で、そのより手前で日々幸福を感じる、つまり“ワクワク”できる状態をつくるには、体験や経験が非常に重要だと感じてきました。

体験が少ないと、好きなものや得意なものを見つける機会に巡り合えない、そして挑戦する機会が減ってしまいます。幼い頃からの人生でいかに興味を引かれるものに出会えるか、好きなものに熱中してきたかという体験が、将来「好きな仕事に就きたい」「こういう大人になりたい」という目標や「自分にもできる」という自信や自己肯定感につながっていきます。生きる力を育むのが体験であり、それを企業として支援したいと考えています。

石野:ソニーは「クリエイティビティとテクノロジーの力で、世界を感動で満たす。」というPurpose(存在意義)を掲げています。明日にも未来にもワクワクする社会というのは、“感動”を会社の存在意義の中心に据えた、ソニーが目指すあり方ととてもマッチしています。これからこのコレクティブ・インパクトを通じて、市民、企業、NPO、行政等さまざまなアクターが集合体となって社会の変革を行い、「子どもたちが明日にも未来にもワクワクできる社会」をみんなで実現していきたいと思っています。

(後編に続く)

ソニーグループポータル | ホーム
https://www.sony.com/ja/


いしの・まさひろ◎ソニーグループ サステナビリティ推進部 CSRグループ ゼネラルマネジャー
ソニー(現ソニーグループ)に入社後、本社環境・CSR部門において、環境マネジメントシステム運用、環境規制対策、NGOとの共同プロジェクトの企画、サプライチェーンの人権対応、サステナビリティ情報開示、統合報告書企画・制作、欧州における環境・安全衛生・CSR担当など、サステナビリティ全般の業務に従事。現在はサステナビリティ推進部CSRグループを統括。

わたなべ・ゆみこ◎認定NPO法人キッズドア 理事長
2009年内閣府の認証を受け、特定非営利活動法人キッズドアを設立。子どもの学習支援および居場所を首都圏および宮城で運営。 2020年からは、日本全国の困窮子育て家庭を支援する「ファミリーサポート事業」を開始。近年では、行政や他団体、民間企業と連携したコレクティブ・インパクト事業を行う他、支援の制度化に向けて政策提言を行っている。

ひらいわ・くにやす◎特定非営利活動法人 放課後NPOアフタースクール代表理事
1996年に丸井入社。長女の誕生をきっかけに、放課後NPOアフタースクールを立ち上げ、21校のアフタースクールの開校に携わる。 2019年新渡戸文化学園理事長就任。日本のモデルとなる未来の学校づくりに挑む。 2013~2019年、文部科学省中央教育審議会委員。2017年より渋谷区教育委員。

おおかや・りょうこ◎三井住友フィナンシャルグループ 社会的価値創造推進部 上席推進役 シニアサステナビリティエキスパート
1999年、住友銀行(現三井住友銀行)入行。大企業法人営業、国際業務、米国大学院MBA派遣、リスク管理部門を経て、2017年より経営企画部CSR室で社会貢献企画、ESG開示や評価機関対応を担当。2023年4月より社会貢献グループ長を経て、現職。公益財団法人三井住友銀行国際協力財団専務理事。

すずき・さかえ◎ソーシャル・インベストメント・パートナーズ 代表理事 兼 CEO
物理化学の研究から、経営コンサルティング、PCの製造販売企業、航空貨物のスタートアップ、製薬業界に特化したコンサルティング、プライベート・エクイティー投資先企業の業績拡大支援などを経験した後、NPOや社会的企業への投資とインパクト拡大支援をする現職に就任。

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