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2025.03.06 20:00

身体のリズムを整えて「無駄づくり」に向き合う、藤原麻里菜のクリエイター生活

「怒ると勝手にひっくり返るちゃぶ台」や、「土下座しながら移動できる車」など、頭の中に浮かんだあまり役に立たないものを作る「無駄づくり」の活動が注目を集め、SNS総フォロワー数は50万人以上。唯一無二の創造性を発揮しているクリエイターが、藤原麻里菜だ。独自性あふれるアイデアを、どのように絶え間なく生み出してしているのか。その秘訣に迫った。


ものづくりのために、身体と心のリズムを整える

── 創作活動やコンテンツ制作、会社経営など多彩な顔をもつ藤原さんですが、それぞれの活動にどのくらいの時間をかけているのでしょうか。

1日を大きくA、B、C の3つに分けています。Aは午前中で、勉強したりリサーチしたりするインプットの時間。ランチから夕飯までの6時間くらいがB。広告案件や執筆などのメインタスクをやります。Cである夜は、つくりたいものをつくる個人制作の時間です。

締め切りが決まっていることは昼間にやり、お金にならないけれど自分がやりたいことを夜にやるイメージですね。


── A、B、Cで頭の使い方がかなり違うと思うのですが、どうやって切り替えているんですか?

1日をA、B、Cの3つに分けることが習慣になっているので、朝昼晩のご飯を食べることが頭の切り替えのタイミングになっています。

あとは、その日にやりたいと思ったことを選んで取り組める環境を作っています。「今日は文章を書きたいから執筆に集中しよう」、「手を動かしたいから、ものづくりしよう」とか。実は、決められたことを決められた期間に終わらせることが苦手なんです。だからこそ、タスクの締め切りを守れるよう、時間に余裕を持ったスケジュールを組んでいます。


── A、B、Cそれぞれの集中力が必要な場面で、どのように作業に向き合っていますか。

ものづくりのときは、自分を楽しませるためにラジオや音楽を聞きながらやっています。

執筆は、考えて結論を出す作業になるので、逆に「自分を楽しくする何か」があると集中できないんです。気分を前向きにするために音楽でも聞きながらやりたいのが本音なんですけれど、楽しくなってしまうとなかなか集中しにくくなってしまって……。

なので、20分置きくらいに、こまめに休憩しています。チョコレートを食べたり、ガムを噛むことでリフレッシュして、また作業に戻る感じです。

── ガムはよく噛むんですか?

はい、ガムのボトルが机に置いてあって、口寂しいときに食べています。AやBの時間に食べることが多いですね。

ガムは学生時代から食べていました。当時からものづくりや絵を描くこと、文章を書くことが好きだったので、そういう作業中に。勉強中にも食べていましたね。


── 座って作業をしている時に、ガムを噛むことが多いんですね。

そうですね。私は不安になったり、ザワザワした気持ちになったりすることが多い性格なんです。そういう気持ちになったときに、ガムを噛みます。

口を動かして噛んでいると、身体的にリズムが整って、気持ちも落ち着く感じがして。それに、甘いものを口にすると、単純に嬉しくなるじゃないですか。

私がものづくりをするときは、不安や不快、ちょっとしたズレを出発点にアイデアを考えて、モノを作ります。ただ、実際に作るときにネガティブなモードだと、手を動かそうという気分にならないんです。なので、その前にガムを噛んでリズムを作ってから、心地よくものづくりを始めることを大切にしています。

あと、ガムは噛み続けていると味がなくなるので、過集中になることを止める役割もしてくれると思います。味が薄くなったことに気づいて、我に返ることができるので。

──なるほど。ガムが集中力のコントローラー的な役割を果たしているんですね。

そうですね。私はもともと集中力がない方だと思っているのですが、ものづくりに関してだけは逆に没頭しすぎてしまうことがあります。ガムを噛むことで、適度な集中状態を保つことができますね。

── どんなときに発明のアイデアが浮かびますか?

普段の生活の中で、ふと思いつくことが多いです。「テクノロジーの力をちょっと借りれば、もっと便利になるのに」と。たとえば、最近SNSで発信したのは、冷蔵庫の棚に穴を開けて、ネギやごぼうを切らずに収納できる道具です。

無理にがんばらなくてもアイデアが浮かぶのは、生活の小さな不快を見逃さないでいるからかもしれません。そして、それを無駄づくりとしてアウトプットして解決できるのも楽しいんです。

──創作における好循環ができているのですね。それでもアイデア出しで行き詰まったときにしていることはありますか?

アイデアが出ないときは、リサーチ不足なんじゃないかと考えるんです。情報を集めることだけじゃなくて、実際に体験してみることもリサーチに含みます。

身体的にどう感じるかを考えることは、ものづくりで欠かせないポイントです。身体のリズムに気持ち悪さを感じたら、そこにアイデアが眠っている可能性が高い。そうしてアイデアを思いついて、ものづくりをするときに身体のリズムを整える。この繰り返しです。時々、ガムの力を借りながら。

「無駄」と「無駄ではないもの」の境界線はあいまい

 ── 藤原さんが思う「“無駄なもの”の必要性」とは何でしょうか?

無駄は、人や時代によって異なるものだと思います。たとえば、Y2Kファッションのように、昔流行った洋服がまた人気を集めることがありますよね。このファッションも、流行が過ぎたときは「無駄」だったはず。ところが、再流行したら価値があるものに変わります。

そう思うと、私の無駄づくりも、未来にはスタンダードになっているかもしれない。「無駄」と「無駄ではないもの」の境界線はあいまいなんだと思います。

作業中によく食べるガムも同じで、噛みカスはゴミになるので無駄かもしれないけれど、私の過集中を止めてくれるという意味では、無駄ではありません。


── 場合によっては意味があるものなのに、あえて「無駄」と名づけているんですね。

私が無駄づくりと言っているのは、「無駄」と呼ぶことで、ものを作るハードルを下げたかったからです。ものづくりは、高等教育を受けて技術をもつ人がやるイメージがありますよね。私は、一般的な学校を卒業しただけで、技術的な専門教育を受けたわけではありません。それでも、ものづくりをしたかった。

中でも、自分の生活を楽しくする道具を作ることが好きなんです。自分にしかメリットがないという意味でも、無駄づくりという言葉を使っています。必ずしも社会全体の役に立つとは限らないものづくりがあってもいいんじゃないかな、と思っています。

── 無駄づくりクリエイターとして今後チャレンジしたいことや、作りたいものなどはありますか?

場を作っていきたいです。ものづくりを人に教えたりしながら、みんなが居心地よくいられて、お互いの感覚をわかり合えるリアルな場所を作る時間を増やしたい。そう思って、今は子ども向けの工作教室で月2回、アルバイトをさせてもらっています。

私はずっとインターネット上でビジネスをしてきたので、誰かに大きな影響を与えていたとしても、自分でそれを実感できることがほとんどありませんでした。SNSでコメントをいただいても、お互いの表情や雰囲気までは伝わらない。今後、テクノロジーが発展したら、もっとリアルな空気感までインターネットで伝わるようになるかもしれないですけれど、今のところものづくりを通じてリアクションを交換できる一番いい場所は、リアルの場です。

場を運営して、人と直接関わることでものづくりの楽しさを伝える。相手が作りたいものを一緒に考える。こういう活動を、ビジネスとしてやっていくことにチャレンジしたいと思っています。

ガムを「噛むこと」についての情報はこちら


ふじわら・まりな◎コンテンツクリエイター、文筆家、株式会社 無駄 代表取締役。1993年、神奈川県生まれ。頭の中に浮かんだ不必要な物を何とか作り上げる「無駄づくり」を主な活動とし、YouTubeを中心にコンテンツを広げている。2013年からYouTubeチャンネル「無駄づくり」を開始。2018年、国外での初個展「無用發明展- 無中生有的沒有用部屋in台北」を開催。25000人以上の来場者を記録した。「総務省 異能vation 破壊的な挑戦者部門 2019年度」採択。Forbes JAPAN 30 UNDER 30 2021に選出。青年版国民栄誉賞TOYP会頭特別賞受賞。

Promoted by ロッテ/text by Miyo Takako / photograph by Bito Yoshinobu/ edited by Takeda Mao