【重要なお知らせ:当社を装った偽サイトにご注意ください】

Forbes BrandVoice!! とは BrandVoiceは、企業や団体のコンテンツマーケティングを行うForbes JAPANの企画広告です。

2025.03.14 16:00

REXEVが見据える、EVを活用した新たなエネルギーマネジメントの可能性

2050年の二酸化炭素(CO2)排出実質ゼロに貢献するために「ゼロエミッション東京」を宣言した東京都。2021年度からは、「ゼロエミッション東京の実現に向けた技術開発支援事業」を実施し、ゼロエミッションに向けた企業の技術開発を支援している。

2021年に同事業に採択されたREXEVは、EV車を使った電力調整システムの構築を目指している。事業内容や採択プロジェクトについて、同社代表取締役・渡部健に話を聞いた。


カーボンニュートラルの実現に向けては、従来の石油・石炭をメインとしたエネルギー構造からの変革が求められている。代替エネルギーとして主電源化が期待されているのが再生可能エネルギー(以下、再エネ)だ。現在の再エネの課題は導入・普及だが、今後大きな社会課題と目されているのが太陽光による余剰となったエネルギーの処理だ。電力は発電しすぎても停電してしまうため、需要量と供給量がリアルタイムで一致する"同時同量"にしなければならないなど、エネルギーのマネジメントは非常に難しい。

そこで注目されているのが、バッテリーにエネルギーを蓄電できるEVだ。EVを単なる移動手段としてではなく、電力の安定供給のための社会インフラとして活用するためにシステム構築を進めているのがREXEVだ。

代表の渡部は、大学時代に電力システムを研究し、特に電力自由化に興味を持った。商社での電力取引の経験を経て、2009年にベンチャー企業に転身。11年の東日本大震災後、電力不足という課題に直面する中で、新たなエネルギーマネジメント(以下、エネマネ)の可能性を模索してきた。

「当時も蓄電池でエネルギーを管理するという発想はありましたが、コスト面で実現が難しかった。そこで、一般的に稼働していない時間の長いといわれるEVのバッテリーを活用できないかと考えたのです」

この着想をもとに、19年1月にREXEVを設立した。現在同社の事業の一つとなっているのがEVシェアリング事業だ。小田原市では60台規模で運営を開始した。また自治体との協働も進んでおり、平日は公用車として、休日は市民や観光客向けのシェアリングとして活用するモデルを確立。八丈島では、災害時の電力供給も考慮したV2H(Vehicle to Home)システムを導入している。

このEVシェアリングのノウハウとシステムは全国にも展開。フランチャイズ方式での展開に加え、NTTビジネスソリューションズなど大手企業へのシステム卸提供も行う。

EVを増やすことで再エネも増やせる


もう一つの事業の柱が、VPP(Virtual Power Plant)システムの開発だ。VPPとは、太陽光や蓄電池、EVといった各地に点在するエネルギーリソースをIoT技術によって需給調整などの管理・制御を行い、1つの発電所のように機能させる新しいエネマネの仕組みのことだ。

「エネマネと言っても、数多くのソリューションが存在しています。REXEVでは、ピーク時の電力を分散させて電力の基本料金を抑えるなどの需要家側のエネマネに加えて、『今は電気が足りないから充電を止めてほしい』という電力会社の要請に応える供給者側のエネマネもVPPシステムとして手がけています。電力取引においては多様な取引形態が存在しており、用途に合ったマルチ対応可能なシステムとしてのVPP開発を進めています。需要家側と供給側のエネマネ、両方を手がけているベンチャー企業は、現状そう多くありません。また、エネマネを専門とする企業とは異なり、EVカーシェア事業を展開することで、モビリティに関するビッグデータや知見を深く蓄積しているのが私たちの強みと言えます」



東京都の支援事業では、「EV蓄電池アグリゲーションによる大規模VPP事業」が採択された。

「EVの普及が進めば、当然電力需要も増加します。極端な例ですが、1000万台のEVに5kWで同時に充電すると、東京電力の最大発電量(※東京エリア)に匹敵するほどの電力が必要になる。既存の電力系統では到底応えられません」

そこで同社は、EVのバッテリーを電力系統の調整力として活用するシステムの開発を進めている。再エネの余剰電力を蓄電し、必要な時に放出する。これにより、再エネ導入拡大と電力系統の安定化を両立させる。

「単にEV車を増やすのではなく、社会インフラとして活用できる仕組みを最初から作っておく必要があります。そうすれば、将来的なコスト増を抑えながら、再エネも増やしていける」

採択事業に対しては都から補助金をはじめハンズオンなどの支援、エネルギー系の事業各社から出資、販路や人材などが提供される。

「補助金の使途としては開発費がメインでしたが、マーケティング費用や特許関連費など、採択事業を進めていくための必要経費として活用することができました。事業化を進めていくためには技術開発だけでなく、営業面の投資も必要なので、自由度の高い費用補助はとてもありがたかったです」

そのほか、日本総研といった支援機関がプロジェクトマネジメントを手がけることで、事務局や東京都とのやり取りも円滑に進められた、と渡部は振り返る。

社会インフラとしてのEV


渡部が想い描く未来像は、再エネが主力電源となり、限界費用(追加的な生産に必要なコスト)がほぼゼロとなる社会だ。

「太陽光発電は、設備の投資回収後はほぼコストゼロで発電できます。またEVのバッテリーを使って調整することで、安定的に再エネを利用できる。そうすることで、例えば人材不足や赤字化といった課題が並ぶ地方の公共交通も、自動運転と組み合わせて低コストで解決できるようになる」

エネルギー革命は産業革命の原動力となってきた。石炭による第一次産業革命、石油による第二次産業革命に続き、渡部は再エネによる新たな産業革命の可能性を見据える。

「私たちはEVを社会インフラとして活用する技術を提供することで、持続可能で豊かな社会の実現に貢献していきたいと考えています」

ゼロエミッション東京の実現に向けた技術開発支援事業
2050年にCO2排出実質ゼロに貢献する「ゼロエミッション東京」の実現に向け、脱炭素事業等に取り組む都内のエネルギー/環境系ベンチャー・中小企業が、事業会社等とのオープンイノベーションにより事業化するゼロエミッションに向けた技術開発を対象に、都が経費の一部を補助。ゼロエミッションの実現の推進と新規ビジネスの創出を図る。

REXEV
2019年創業。「全ての人が限界費用ゼロで移動できる持続可能な社会インフラの実現」をビジョンに掲げ、EVの車載蓄電池に着目したエネルギーマネジメントとモビリティマネジメントを組み合わせた独自プラットフォームを提供する。


わたなべ・けん◎住友商事にて中東、アフリカ、欧州向けの電力関連商材貿易実務やプラント建設プロジェクト業務を担当した後、同社子会社のサミットエナジーへ出向し、発電所の開発業務、電力需給管理業務や小売営業など幅広く担当。その後、エナリスへ入社、執行役員 、取締役、常務取締役を歴任し、経営企画や新規事業開発などを担当。19年1月、REXEVを設立。

Promoted by 日本総研 | text by Michi Sugawara | photographs by Shuji Goto | edited by Kaori Saeki