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2025.01.20 16:00

データドリブンな意思決定を実現するサプライチェーン・マネジメントの革新

第1回では、NTTデータが注力する法人企業向けオファリングによる「サステナビリティと収益性の両輪で推進する企業価値重視の経営変革」の事例を取り上げたが、今回はサプライチェーンに焦点を当てる。物価高騰や地政学リスクが顕在化するなか、サプライチェーン・マネジメント(SCM)は企業経営に欠かせない要素となっている。NTTデータは、こうした環境下で企業が直面する課題に寄り添い、伴走型支援を提供している。今回は、同社コンサルティング事業本部 サプライチェーンユニット 部長の大居由博が、SCMの要諦と同社の取り組みについて語る。


企業経営に密接に関わるようになったサプライチェーン

昨今の事業環境の変化により、企業にとってサプライチェーンの位置付けが変わりつつあると、NTTデータ コンサルティング事業本部 サプライチェーンユニット 部長の大居由博(以下、大居)は言う。

「サプライチェーンの分野では、以前から経営と販売・製造の現場が情報を共有し、意思決定を迅速にすることでサプライチェーン全体の最適化を図る『S&OP(販売事業計画)』という概念が注目されていました。それに加え、コロナ禍を経て『レジリエンス(回復力)』が企業経営の重要なテーマとなってきました。パンデミックによって供給網が分断され、生産が止まったこともあり、安定的にモノをつくって届ける重要性がより意識されるようになったのです。さらには、『サステナビリティ』の意識の高まりから、守らなければならないルールが企業に課せられるようにもなりました」

こうした変化は、2021年に欧州委員会が提唱した「インダストリー5.0」による影響も大きいと大居は続ける。

「15年ほど前に提唱された『インダストリー4.0』は、自動化を徹底的に推し進めるというものでしたが、機械やAIではすべてを完結できず、最終的な意思決定はやはり人が行わなければならないという現実がコロナ禍に見えてきました。そこで生まれたのが、『インダストリー5.0』です。これは『人間中心』の考えであり、それによって生産性や効率だけでなく『レジリエンス』や『サステナビリティ』といった人間が豊かに暮らしていくための社会的な側面も注目されるようになったのです」

こうした変化によって、企業経営とサプライチェーンが密接に関係し、S&OPが重視されるようになったと大居は言及する。

「企業経営とサプライチェーン・マネジメント(SCM)は、これまで別物として議論されてきました。ところが近年では、どの企業も投下資本利益率(ROIC)経営を重視するようになり、状況が変わってきました。モノの管理から収益の管理へと移行する『S&OP』が重視されるようになったのです。ROIC経営とは言うなれば、投資資本を抑えてリターンをどれだけ上げるかを突き詰めることであり、仕入債務から売上債権回収までの日数を示す『キャッシュ・コンバージョン・サイクル(CCC)』も重視されます。その日数を短くするには、在庫削減などにより在庫日数を短くすることがもっとも効果的と言えるため、SCMが企業経営に直結するものになってきたのです」

企業の収益性を高めるためには、資金を効率的に循環させ、投資から回収までのサイクルを改善することが重要であり、リードタイムの短縮や在庫適正化といったSCMの施策が重要な経営アジェンダになっているのだ。そうした経営課題に対して単にシステムや仕組みを導入するだけではなく、施策を立案し、その成果創出までコミットすることで顧客の経営変革を支えるのがNTTデータだ。
大居由博 NTTデータ コンサルティング事業本部 サプライチェーンユニット 部長

大居由博 NTTデータ コンサルティング事業本部 サプライチェーンユニット 部長

SCMの変革3つのポイント

大居によれば、SCM変革には3つのポイントがある。ひとつ目は、サプライチェーンのプロセスのあらゆるデータを可視化し、集約管理することだ。

「可視化には社内、社外、サプライチェーン全体といった段階がありますが、データの可視化はあらゆるSCM施策を行ううえでのベースになります」

サプライヤーが世界中に点在するグローバル企業にとって、サプライチェーン全体のデータを集約することがいかに困難かは容易に想像されるだろう。NTTデータでは構想策定~仕組み構築、サプライヤーの巻き込みまでを一気通貫で伴走支援することで企業のサプライチェーン全体の可視化を支援している。NTTデータの支援によりそれを実現した企業が、大手グローバルメーカーA社だ。

「A社様の主力製品は、キーパーツだけでもグローバルに100社超のサプライヤーがあります。中国や欧州などに点在するサプライヤーから、在庫状況や納期見込み、出荷実績などの情報を一元的に集める施策を数年かけて実現しました。それによって、クラウドで在庫状況などを把握できるようになり、例えば“複数工場の生産と在庫状況を横串で確認し、全体最適視点でどの工場への部品供給を優先させるべきか”といった意思決定も可能になりました。コロナ禍の際には、この仕組みが大いに役立ったと聞いています。」

文化が違う海外のサプライヤーからデータ提供の同意を得ることは容易ではないが、大居は直接工場を訪問して交渉にあたるなどして可視化実現を支援してきた。また、サプライヤーの参画の負担を軽減すべく、NTT データでは商流データを自社プラットフォーム(iQuattro)上で金流データに統合し、サプライヤーにメリットを与える取り組みも行っている。

「イオン銀行様との提携により、サプライチェーン・ファイナンスシステムを構築しました。イオン銀行様が提供するサプライチェーン・ファイナンス(バイヤー・サプライヤー間の商流データをもとに企業に融資をするサービス。サプライヤー企業などのキャッシュフローの改善を実現)の仕組みにiQuattroを活用しています」

ふたつ目のポイントは、それぞれの施策が経営指標に及ぼす影響をリンクさせて、施策の妥当性や効果を管理することだ。そのために有効なのが「KPI(重要達成度指標)ツリー」だと大居は解説する。

「施策ごとに、KGI(重要目標達成指標)に結びつくKSF(重要成功要因)、さらにKSFに結びつくKPIへと枝分かれしていくつながりを可視化します。例えば製造リードタイムや納期遵守率というKPIがあったら、それを測るために必要なKSFをプラットフォーム上ですべて管理する。そうすると、KPIがどれくらい向上すればKGIを達成できるかといったシミュレーションが可能になり、経営指標への影響を考慮しながら日々の意思決定をできるようになるのです」

NTTデータではデータドリブンなSCMを実現するプラットフォーム「iQuattro」を導入し、KPIツリーの可視化を実現している。それにより、現場のKPIと経営のKPIをデジタルでつなぎ、経営の意思を反映させた業務改善活動を可能にしているのだ。ある大手電機メーカーでは、直接取引をするサプライヤーだけでなく、その先のTier 2(2次サプライヤー)までデータの可視化を広げているという。

3つ目のポイントは、データドリブンで環境変化に柔軟な意思決定を行うことだ。そのために有用なのが「シナリオプランニング」だという。

「意思決定には大きく2種類あります。需要予測のように先を読んで最適な対応策を講じるというアプローチがひとつ目。もうひとつが、不確実性や外部要因を重視して、複数の可能性に対してそれぞれ対応策を考えておくアプローチ。シナリオプランニングは後者の考え方です。例えば特定の部品が供給されなくなったり、需要が予想以上に急減したりといった、起こりうるあらゆるリスクを想定して、その対応策をあらかじめ考えておく。そして、変化が実際起きたときに即時にその対応策を講じられる。これこそが、『究極のSCM高度化』だと捉えています」

NTTデータは、SCMツールを提供する、キナクシス・ジャパンとの提携により、シナリオプランニングの精度を高めていくという。

「キナクシスはサプライチェーンプランニング分野でのグローバルリーダーであり、シナリオプランニングを高頻度かつ高速で作成できるツールをもっています」

次世代SCM実現へ向け人材育成に注力

柔軟な意思決定を行うための施策としてNTTデータでは、今後は生成AIを活用したさらなる高度化も検討している。従来では、例えば供給不足が起きてもアラートで知らせるだけだったが、生成AIを活用することで、解決のための具体的なアクションまでをリアルタイムに提示するレベルまで引き上げることにチャレンジしているという。SCMのいっそうの高度化が期待されるが、NTTデータが考える次世代SCMの絵姿とは、いったいどのようなものなのだろうか。

「企業の持続可能な成長を実現するためには、サプライチェーンを、さまざまな事業領域や経営アジェンダと融合したテーマとして捉え、企業経営の意思決定を行うことが求められます」

ただし、実現は一足飛びにはできない。NTTデータは、まずは最初のステップとして、サプライチェーン、サステナビリティ、そして経営戦略の判断の基盤となる財務を横断テーマとして捉えたプロジェクトを着実に進めていくべきであると考えている。そして大居は、次世代SCMの絵姿を実現するためには人材育成も重要だと強調する。

「日本では、SCMが物流部門の業務として扱われ、経営アジェンダになりにくい。企業でのOJTはあっても、体系的な学びの場がないのです。そこで当社は早稲田大学らと共同で、SCMの中核を担う次世代のリーダー層を対象にした講座を開設し、企業の人材育成の支援を進めています」

先に見据えるのは、SCMに携わる人たちの地位向上だ。

「海外では調達部門やSCM部門出身の経営者やCSCO(チーフサプライチェーンオフィサー)を置く企業も珍しくありませんが、日本ではほぼ見られないように思います。コンサルティングから実装、変革まで“End to End”で支援することに加え日本企業のSCM人財育成にも貢献することで、SCMが経営に直結するという考えをスタンダードにしていければと思っています」

NTTデータは、日本企業がグローバル市場での競争力を高めるために寄り添い、SCMの高度化を着実に前へ進めているのだ。


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業務コンサルティング | NTTデータ - NTT DATA


おおい・よしひろ◎NTTデータ コンサルティング事業本部 サプライチェーンユニット 部長。製造業向けの中長期IT戦略策定、ITグランドデザインコンサル、SCM-PKG導入に従事。近年は「企業間SCM」をテーマに、DXプラットフォーム「iQuattro」や新技術を活用したSCM業務改革コンサルティング、サプライチェーンファイナンスなどの“業種業態を超えたコラボレーションビジネス創出”をリードしている。

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